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DONの落書き部屋

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「Muv-Luv 小説」
第一部

番外編

 

 荒廃した建物が並び住む人がおらず廃墟と化した町。


 BETAと呼ばれる人類の天敵たる生物に蹂躙された町。


 そしてG弾と呼称される兵器を用いた人の手によって、永久的に朽ちることを運命付けられた町。




 横浜・・・・・・そう呼ばれ、かつては多くの人で栄えた町。




 だが前述した通り、横浜と呼ばれた町があったこの場所には、以前のようなにたくさんの人で溢れ活気のあった面影は一切存在しない。


 あるのは・・・・・・荒涼とした台地と、地面に横たわるBETAの死骸と、活力を失った軍人達と、空を飛ぶ戦術機達のみ。




 この町は二度死んだのだ・・・・・・BETAの手と、人類自らの手によって。





 ほんの数時間前、BETAによって蹂躙され化け物の巣とも呼べるハイヴを作られたこの地に、人間は自らの生きる場所を取り戻すべく戦線を開いた。


 作戦名、明星作戦・・・・・・明けの明星、金星、もしくは堕天の名を与えられたその作戦名を、ダレがどのような考えでそのような不吉な命名をしたのだろうか?

 

 だが結果として見れば作戦は成功、人は多大な犠牲を払った上でこの大地を取り戻した。



 戦場で己が信念と意地を貫いて戦った人達の思いを、G弾と呼ばれる圧倒的で無慈悲な暴力を用いてBETAごと薙ぎ払い、人が安全に住める保証も無い不毛の地に帰しながらも・・・・・・確かに人は国土を取り戻したのだ。









 この話は、そんな明星作戦に参加した一つの部隊の話である。












番外編  かれのもしかしたらあったかもしれないお話、その壱





1999年8月5日 13:00
地球・周回軌道上



 地球は青かった。


 宇宙飛行士第一号であるユーリー・ガガーリンの有名な言葉である。


 広大な宇宙において、奇跡ともいえる確率で生物が存在できる環境を整え、人類の発祥の地である惑星。


 人類の母星、母なる大地、帰るべき場所、人は・・・・・・その偉大な姿を改めて認識した時、誰もが感動を覚えるのかもしれない。



 だがユーリーが今の地球を見て以前と同じ台詞を口にするだろうか?


 今でも地球は青い・・・・・・確かに青いのだが、大地と呼べる場所はどうだろうか?


 町が、緑が、ある場所にはある、だがユーリーが見た頃に比べれば圧倒的にソレは少ないに違い無い。


 夜になれば見えたであろう地上の星星も、ユーラシア大陸においては今は殆ど見ることが出来ない。



 全てはそう・・・・・・忌まわしきBETAのせいで。



 1973年4月中国の新疆ウイグル自治区喀什に、BETAの着陸ユニットが落下してから、地球の生態系は全てが狂った。

 BETAは緑を食い荒らし、山を削り、町を破壊し、そこに住む全ての動植物を駆逐しながら大地を蹂躙し、荒廃した大地を次々に築き上げた。


 地球規模で気候が変動し、生活できる土地が減少し、このままでは人類は、遠からず地球での生存権をBETAによって奪われ、滅びの道を歩むしかなくなってしまう。



 地球を、母なる大地を、愛する祖国を・・・・・・化け物などに犯されてしまう。



(・・・・・・やらせるか)



 煮えくり返りそうになる感情を押さえながら、網膜投影に映る祖国の姿を見据える。


 四季が織り成す見事な自然の美しさに溢れた国・・・・・・日本。


 しかし憎むべきBETAの手によってこの宇宙から見る日本は、国土の半分が荒廃した大地で覆われ、美しかった自然が見る影も無く減少している。


 新潟の佐渡ヶ島にはBETAの巣であるハイヴが作られ、故郷である横浜にもBETA共の醜悪なハイヴが作られつつある。


 今からその横浜を奪還するために、元は故郷であった戦地へと赴くのだが・・・・・・日本にあるハイヴを二つ潰したとしても、元の美しい日本に戻るまでには気の遠くなるような月日が必要に違い無い。



 少なくとも自分が生きている間には・・・・・・あの美しい日本の姿をもう一度見ることは出来ないだろう。



『夕凪よりランサー01へ、降下予定ポイントに到着しました』


「了解、送って頂き感謝する」


 ヘッドセットのスピーカー越しに聞こえた、帝国軍第二軌道降下兵団旗艦・夕凪のオペレーターを務める女性の声に礼を述べる。


『いえ、私達は皆さん達を見送ることしかできません・・・・・・今も地上で戦闘を継続している友軍の援護も出来ず、これから戦地へ赴くあなた方と一緒に行くことも出来ません』


 網膜に映る、夕凪のオペレーターの女性はそう言って悔しそうに顔を顰める。


「ここまで自分達を連れて来た事で、君は十分作戦に貢献している・・・・・・ありがとう、見送ってくれる人がいるから俺達は行ける」


 そう言って微笑む、先ほどまでBETAのことを考え憎しみに歪めていたとは思えないほどの笑顔を彼女に見せる。


『突入予定時刻まで、もう少々時間があります・・・・・・何かご希望があれば?』


 彼女なりの精一杯の激励の言葉なのだろうが、生憎と戦術機ごと再突入殻に閉じ込められている自分に、何か望むことなどある筈も無かった。


「いや、大丈夫だ・・・・・・どうか自分の職務を全うしてくれ」


『はい・・・・・・日本を頼みます、どうか後武運を』


「ああ、ありがとう」


 見事な敬礼を送ってくれた彼女の姿が網膜投影から消える。


 地上での作戦は既に始まっている、明星作戦と呼ばれた甲22号目標・横浜ハイヴへの侵攻作戦は刻々と着実に進んでいる。


 自分達に与えられた任務は一つ、軌道上からハイヴへ降下し中枢部である反応炉の破壊。


 軌道降下作戦、一部のトップエースにのみに与えられる任務に、自分たちが選ばれた事実が今は少し誇らしいが作戦の失敗は絶対に許されない。


 もしこの明星作戦に失敗すれば・・・・・・日本に未来は無い。


 日本帝国軍の総力を結集したこの作戦が失敗となれば、それはすなわちBETAに反抗する戦力が無くなるということに繋がる。


 だから、どれほどの犠牲を払ってでも、この作戦は成功させねばならない。 


 佐渡ヶ島に作られたハイヴの醜悪なモニュメント、それを殿下がいらっしゃる帝都城から見える位置に作られることなどあってはならない。
 それにBETAの再度侵攻が始まれば・・・・・・最早帝国軍にそれを押し留める戦力など残ってなどいない。



 故にここが天王山、退くことも負けることも許されない。帝国軍の全ての人間が己ができる全ての力を持って当たらなければ死中に活は見出せない。



 操縦桿を握る手に我知らず力が入る。


「気負いすぎだな・・・・・・コレでは」


 今の自分の状態を認識して小さく苦笑する。


 部隊長の自分がコレでは部下のヒヨッコどもはさぞや脅えていることだろう、パネルを操作しデータリンクで部隊全員の機体と通信を繋げる。


「ランサー01より全機へ・・・・・・調子はどうだ?地球の青さを体感しているか?」


『大尉、今はそのような話をする時では』


 副長、神宮司の言葉に苦笑が強まるのを自覚する。

 データリンクが繋がったことで、網膜投影に部下全員のバストアップされた顔が映し出される。


「何、これが今生の別れになるかもしれないからな、皆の顔をじっくり目に焼き付けておきたくてな」


『・・・・・・』


 自分の言った言葉に全員が僅かに息を飲む。


 戦闘前に不謹慎かとも思うが、自慢の部下がそんな弱気な連中だとは思ってなどいない。


『冗談・・・・・・自分は大尉と添い遂げるまでは死ねません』


『ち、ちょっと栞・・・・・・あんたこんな時になにを』


『なによ水月?文句あんの?あんただって教官の事が良いって前言ってたくせに』


『ぬぐ・・・・・・は、はるか~』


『栞~それこそ今は関係ないよ~』


『あら遙?貴女までそういうこと言うわけ?』


『うぅ・・・・・・孝之く~ん』


『おいおい橘・・・・・・その辺で止めておけよ』


『黙ってなさいヘタレ、二人の間をフラフラしてるあんたに言われたくない!』


『ひでぇ・・・・・・どう思うよ慎二?』


『うひゃ~言われたな孝之~?』


『あんたもよ慎二、何時まで裏方に徹しているつもり?気持ちははっきり伝えないと何時までたっても伝わらないわよ?』


『い、痛いことを・・・・・・伊隅中尉、橘を止めてくださいよ』


『橘少尉、あまり同僚を苛めるな・・・・・・』


『あら?伊隅中尉?自分は独り占めできているから余裕の発言ですか?』


『ひ、独り占めって!?・・・・・・わ、私はその正樹とは・・・・・・』


『そ、そうだぞ橘少尉?・・・・・・俺はその』


『違うんですか前島中尉?わざわざ配置転換を希望してまで百里に来るあたり、ダレでもそう思うんですが?』


『・・・・・・じ、神宮司中尉・・・・・・自分達では止められません』


『・・・・・・橘、人の恋路を邪魔するものでは』


『ですよね~神宮司中尉もそう思いますよね~?この部隊カップル率多すぎです・・・・・・死ねばいいのに』


 底冷えするような彼女の声に、今度こそ全員の背筋が凍る。


『・・・・・・栞、あなた少しいい加減にしなさい・・・・・・やりすぎよ?』


『あら葵どうしたの?船に乗れないお嬢様がなんのよう?』


 部隊のCPである城崎は降下作戦に同行できない、そんな彼女が地上の基地からわざわざ通信を繋いだと言うのに、橘は口を尖らせわざとらしく聞き返した。


『はぁ・・・・・・中佐が今頃面白いことになってるから繋いでみたらって言うから繋げば・・・・・・本当にそうだったわ』


 ヤレヤレといった感じで城崎は肩を落として言ってくるが、中佐の単語が聞こえた瞬間、全員が表情を少しだけ固くする。


『ちょっと城崎、早くどきなさい・・・・私が話せないでしょう?』


『は、はい失礼しました香月中佐!』


 網膜に帝国軍参謀本部付のエリートである香月夕呼が映し出される。


『悪いわね、作戦前の貴重な時間を奪っちゃって』


『いえ、むしろ緩み過ぎそうになったので丁度いいかと』


『まりも、やっぱあんたは硬いわ・・・・百里に飛ばして彼と一緒に教官職までやらせたのに変わらなかったわね?』


『いえいえ香月中佐、神宮司中尉は教官だったころはそれはも~デレデレと・・・・・・』


『速瀬!!余計なことは話すな!!』


『ええ、見てて気が落ち着くことが無かったわ・・・・・・うふふふ』


『栞~なんか黒いよ~怖いよ~』


『でもさ~孝之・・・・・・教官・・・・・・いや大尉って婚約者いるんだろ?』


『ああ、麻美さんだろ?』


『ふ、ふふ・・・・・・こんな事実が麻美さんの耳に入ったら・・・・・・』


『ま、前島中尉・・・・・・大丈夫ですか!?』


『やめろ慎二・・・・・・前島中尉は麻美さんに会ったことがあるそうだ・・・・・・その時のトラウマが抜け切れてないらしい』


『・・・・・・じゃあ帝都の部隊から異動願い出したのは・・・・・・』


『そのせいかもしれん』


 止まらない会話を続ける部下達の姿に、我知らず軽く溜息を付いてしまった。


『・・・・・・隆、あんたも色々言われてるのね』


「まったくです・・・・・・きっかけ作ったら一気にこいつら弾けましたよ」


 憐憫の視線を送ってくる香月にシミジミト答える。


 初陣が5人もいると言うのに、ドイツもコイツも緊張感が全く見られない。
 まぁ、自分と神宮司の自慢の教え子達なわけだから、そんな姿を見て頼もしいといえば頼もしいのだが。


 この部隊の部下は、元々自分が教官、まりもがその補佐を務めていた頃の教え子達の一部だ。


 伊隅、前島の二人は実戦を経験しているが、他の5名は今回が初陣だと言うのに、よくもまぁピーピー騒げるものだと感心してしまう。 


 だが初陣にも関わらずに、この軌道降下作戦に参加資格を得た連中の実力は、教え込んだ自分が一番分かっている。


 速瀬の操縦技能、涼宮の作戦立案能力、鳴海の状況判断能力、平の広い観察眼・・・・・・そしてムードーメーカーたる橘の存在、実力的に何処の最前線の部隊に送り出しても恥ずかしくない連中だと思っている。


(苦労した教え子だからな・・・・・・多少は贔屓目かもしれんが)


 内心で嘆息して、香月の視線を受け止める。

 
『あっそ、別にいいけどね~・・・・・・地上での作戦は順調に進行中よ、帝国軍、国連、大東亜連合が上手く連携して戦闘を行っているわ・・・・・・米軍も今のところ素直に従っているわね』


「なるほど・・・・・・」


『降下時刻に変更は無し・・・・・・この私が見出したあんた達よ、わざわざ苦労して全員分の不知火を用意したんだから・・・・・・反応炉なんてもんはさっさとぶっ壊してきなさい!!』


『『『『『『『了解!!』』』』』』』』


『いい返事ね・・・・・・生きて帰ってくること、私から言うのはコレだけ・・・・・・隆ちょっといいかしら?』


「はい」


 夕呼に促され通信を秘匿通信に切り替える。


「んで・・・・・・なんだ?」


 部下が聞いていないので普段の彼女へする話し方へと切り替える。
 堅苦しいのが嫌いな彼女だ・・・・・・何も問題は無い。


『米軍の動きが妙だわ、地上部隊や降下部隊を投入してるわりには積極的に前線に出ない』


 先程とうって変わって渋い顔をする夕呼に苦笑する。


「なるほど・・・・・・気をつけろと、そういうことか?」


『ええ、東京湾に入港した米空母からF/A-18Eの発進も確認したわ・・・・・・私の見立てが正しければアレは』


「電子戦術機・・・・・・米軍は明星作戦を利用して何かをしようとしている・・・・・・か」


『ええ恐らく・・・・・・そんな渦中にあんた達を突っ込ませる、ほんと苦労させるわねあんたとまりもには?』


「はっ・・・・ナニを今更、学生時代からの付き合いだろう?それにその台詞はまりもに直接言ってやるんだな」


『そうね・・・・・・帰ってきたら話してあげましょう』


 意地悪く言う彼女の表情に笑う。これが自分たちのいつものやりとり・・・・・・夕呼がまりもをからかい、自分が横から口を挟んで諫める。


 そんな掛け合いを昔から繰り返し・・・・・・二人とはもう長い付き合いになる。


 高校までは同じ学校に通い同じクラスで机を並べた思い出、大学に進む際に自分は徴兵され訓練校へ入り、三人の付き合いもここまでかと思ったが、一年後にはまりもが志願して訓練校へ転がり込んできた。

 夕呼は高校卒業を待たずに、自身の才能が認められ帝国大学へと編入していったが、自分やまりもが任官した際に、何故か自分達の上官として現れるという離れ業をやってくれた。


 大学で専攻していた研究が結局進展せずに頓挫し、行き場を失った彼女だったらしいが、有能な彼女は軍の参謀本部の目に留まり士官待遇で引き抜かれたらしい。
 相変わらずの態度と振る舞いに最初は戸惑ったが、彼女の内心では自身が追い求めていた研究が実を結ばなかったことに酷く落胆していることに長い付き合いで気づくことが出来た。


 人に弱みを見せたがらない気丈な夕呼を、まりもと二人で彼女に気づかれずに慰めることは本当に苦労した。


 そして、文官出身にも関わらず優秀な夕呼の下で、無茶な仕事を幾つもこなしてきた。

 彼女から優秀な卵を集めるから二人で育てなさいと言われ、大陸の前線から関東の百里に飛ばされ教官職に就いたこともある・・・・・・その時の教え子が今の部下達なのだが・・・・・・


 他にも無謀とも言える作戦に借り出された経験は多々ある、よくもまぁ今まで生き残れたものだと自分自身に感心してしまう・・・・・・よっぽどあの世に嫌われているか、悪運が強いのか、まぁどちらかだろう。


 だから今回も生き残るとしよう、まだ死ぬのは早い、自分も、自分の歳若い部下達も。


『それと・・・・・・愛する妹からの伝言』


「へぇ・・・・・・なんだって?」


 聞こえてきた言葉に頬が緩むのを自覚する。


『早くお土産持って帰ってきてだって、ちなみに自分も衛士になるって決めたそうよ?』


「ぬぅ・・・・・・それはそれで・・・・・・複雑な気分だな」


 周りからも妹を溺愛し過ぎと言われる自分だが・・・・・・むろん自覚症状はしっかりある。妹には出来れば後方にいて欲しいが、このご時勢だ身内とはいえそんな甘えは許されないだろう。


『あっそ・・・・・あとあんたの婚約者だけど・・・・・・』


 そこで言いよどんだ夕呼に向けて笑いかける。


「何も無いだろ?・・・・・・麻美はそ~いう女だ」


『・・・・・・はぁ、まったく・・・・・・麻美ももう少し気を利かせてもいいと思うんだけど?』


「無理だろ?彼女の部署も今が一番忙しい筈だ・・・・・・降下作戦に随伴すると言っていたが彼女の立場がソレを許さないだろうしな」


『・・・・・・ま、あんたがソレでいいならいいけどね・・・・・・ったく、なんでこんな優良物件見逃したのかしら私は』


「何か言ったか?」


 ブツブツと聞き取れない言葉で呟く彼女に聞き返すが、夕呼は『なんでもない』と言ってソッポ向いてしまう。


『ま、そういうわけね・・・・・・後は隆に任せたわ』


「あいよ・・・・・・わざわざありがとうな、作戦前に色々教えてくれて」


 妹とも麻美とも、作戦が始まる前にろくに挨拶も出来なかった。


 これから向かう場所が、地獄などと言う言葉ですら生ぬるい場所だとは誰もが分かっている。だが、それでも二人と今生の別れなどをするつもりは無いので、何時も通り家を出たのだ。


 確かに、行けば高確率で死が待つ場所だが・・・・・・生憎とそう易々と死ぬ気は無い。


 麻美を幸せにするまでは・・・・・・妹の幸せを見届けるまでは・・・・・・自分は絶対に死ねない。


『別に・・・・・・ほら城崎、あんたも何か話すことある?』


『ええ?私はその大尉にお話するようなことは・・・・・・』


 向こうの会話が聞こえてきて嘆息する。


 城崎とも考えてみれば長い付き合いかもしれない・・・・・・家が近くで、学生の頃は家庭教師なんてものを頼まれていたので、本来なら一庶民が関わることなど出来る筈も無いであろう大企業のご令嬢様である彼女と関係を持つことが出来た。


『え、ええっと・・・・・・隆さん?』


「なんだ葵?」


 階級では無く、昔からの呼び方で此方を呼ぶ彼女に合わせて笑顔を見せてやる。


『か、必ず帰ってくるのよ!!貴方には光菱としてやってもらう事がまだまだあるんですから!!えっと・・・・・・今度の斯衛用の新型のデータ取りだとか・・・・・・新兵器の新しい概念だとか・・・・・・わ、私の秘書とか・・・・・・』


「わかったよ葵・・・・・・真奈美に宜しくな」


『あ、当たり前じゃない!?私の大切な妹よ!?隆さんに言われなくても私がこれからもずっと大切にしていくわ!!』


 顔を真っ赤にして捲くし立てる彼女の姿に感謝し・・・・・・こんな皆とのやり取りを必ず、これからも繰り返したいと胸中で強く思った。








 そんな地上との通信をしている最中・・・・・・自慢の部下達はというと。






『で・・・・・・さっきはああ言ったけど、実際どうなのよ二人とも?』


『な、なにがよ・・・・・・』


『孝之でいいのかってこと?二人が訓練校時代は教官のこと見てたのを、私はしっかり見てたわよ?』


『うぐぅ!?・・・・・・は、遙・・・・・・栞になんとか言って』


『栞~だからソレは違うよ~大尉は「頼れるお兄さん」って感じだったし』


『そ、そうそう、孝之なんかと違って大人で頼りになって優秀だし、憧れるのも無理無いわよ?』


『へ~そう・・・・・・なら二人に聞きたいけど、将来結婚して一緒になって子供つくって一生添い遂げるとしたら・・・・・・どっち?』


『・・・・・・』×2


『・・・・・・もういいわ、その顔で十分過ぎる程分かったから』


『ま、待って栞、あんたなんか勘違いしてる!!だからその目でみるの止めて!!』


『そうだよ栞~私達だって麻美さんに挑戦する勇気なんてないよ~!!』






『・・・・・・いいのか孝之?』


『ああ・・・・・・大尉には俺なんかじゃ勝てないよ』


『だが安心しろ・・・・・・大尉には麻美さんがいる・・・・・・麻美さんがいる限り絶対に他の誰かとくっ付く事は無い・・・・・・そうあってたまるか・・・・・・ふ、ふふふふ』


『ま、正樹!?ちょっとしっかりして!!ほ、ほらカメラのレンズを見るのよ!?覗き込んで映った自分の姿を見て落ち着いて!!』


『はぁ・・・・・・そうなのよね~私がもっと速くアタックしていれば・・・・・・駄目ねただの仲の良いクラスメイトじゃ・・・・・・私の人生で一番の後悔だわ』






 なんてやりとりがあったりなかったり・・・・・・






『夕凪艦長、一文字だ・・・・・・ランサーズの諸君、準備はいいかな?』


「ええ、いつでも行けますよ・・・・・・艦長さん」


 そろそろ降下予定時刻・・・・・・今頃横浜の地は地獄の蓋を開け、魔女の釜の如く血みどろの惨状が繰広げられていることだろう・・・・・・



 そこに今から飛び込む・・・・・・はっ、望むところだ。



『ふ・・・・・・隆、お前は衛士、俺は船乗り・・・・・・道を違えて早幾年、今は貴様が本当に羨ましく思うぞ』


「そうかい?俺は船乗りになったお前が羨ましいけどな・・・・・・でかい乗り物を動かせるんだ、男としてそっちのほうが憧れるよ」


 不適に笑う一文字に合わせるように自分も口元に笑みを作る。


『お前は昔からそうだったな・・・・・・戦術機に乗ることこそが兵士としての憧れだというのに、おかしい男だ』


「ま、今に始まったことじゃないだろう?」


『そうだな・・・・・・では・・・・・・後は任せた、お前の自慢の槍を見させてもらうぞ』


「ああ・・・・・・またな、一文字艦長」



 網膜投影に映った彼の姿が消え、戦術機を内包した再突入殻を搭載した駆逐艦がゆっくりと機首を下げていくのを機体から伝わる振動で感じる。


 ウィンドウの一つには予定時刻までのカウントが始まり、隊長権限でしか見ることの出来ない様々な情報が幾つも忙しなく表示される。



「さて・・・・・・皆時間だ」


 通信を再び繋ぎ、部下達に声を掛ける。


『・・・・・・』


 一瞬で全員の表情が真剣なものに変わり、それが頼もしくて口元に笑みを作ってしまう。


「お前達は、俺と神宮司が育てあげたヒヨッコどもだ・・・・・・お前らがどれだけ優秀かは俺と神宮寺が一番よく分かっている・・・・・・技能において俺を凌駕する奴がいることがちと許せんがな」


『・・・・・・大尉』


「・・・・・・そんな俺はしょせん鳶だ、だがお前達は鷹だ、鳶が鷹を生めたことに俺は誇らしく思う」


『・・・・・・ってなると大尉と神宮司中尉は夫婦ですか?』


「今は茶化すな橘!!・・・・・・ったくお前はいつもソレだから・・・・・・」


『私はいつでも大尉の隣を狙っておりますので!ああ・・・・・・妥協して二番でもいいですけどね?でも二番です、それは誰にも譲りません』


「やれやれ・・・・・・では皆・・・・・・下で会おう」


『『『『『『『了解!!』』』』』』』』



『夕凪よりランサーズヘ予定時間です、全機突入を開始します!!』





「いくぞ、お前達!!騎兵隊の出陣だ!!」



『『『『『『『おおっ!!』』』』』』』









同日 13:30  甲22号・横浜ハイヴ 
南西5キロ地点   SW21ゲート付近


『がぁぁぁ畜生どもが!!』


『でていけ!!俺達の国から出て行けぇぇぇ!!』


『誰か弾をくれ!!支援はまだなのか!?』


 数機の撃震がBETAの溢れる戦場で雄たけびを上げながら戦闘を繰広げている。

 戦闘開始から既に数時間、操る衛士の疲労も、機体の損傷も既に無視できないレベルになりつつあるが、退くことだけは絶対に出来ない。


 自分の明日のため、仲間の明日のため、守るべき人たちの明日のため、そして日本の明日のために絶対に退くことはできない。


『CPより展開中の部隊へ、軌道降下部隊の突入が開始された!該当地域の死守に全力を尽くせ!!』


『『『『『『了解!!』』』』』』


 撃震を駆る衛士達が叫ぶ。

 自分の乗機はBETAの返り血でどす黒く変色し、右腕を失いながらも残った左腕に保持した突撃砲を駆使しBETAか一歩も退くことなく戦場に立っていた。


 ヘッドセットのスピーカーからは機体の異常を知らせるアラームがひっきりなしに鳴り響いている。


 仲間の機体も似たような姿だった、好調な奴などダレもいない、全員が自分や機体を騙し騙しやりながら戦っている。



 なんのために?



 最早一瞬後には死ぬかもしれないのに。



 ダレのために?



 要撃級の一撃をくらった仲間が死んだ。



 どうして其処まで戦う?



 弾薬が尽きた突撃砲を投げ捨て、予備の短刀を装備させる。



『全機ここを死守しろ!意地だ、俺達の意地をBETAに見せてやるんだ!!』



『『『『『『おおおおおぉぉぉ!!!』』』』』』



 そう、もはや残っているのは意地だ。
 帝国軍人としての、日本人としての、地球に生きる人間としての意地が、この場に留まらせてくれる。


 湯水のように溢れかえる戦車級の群れをかわしながら、背を向けた突撃級の柔らかい背中に取り付き短刀で切りつける。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 身体も悲鳴を上げている、急激な機動を繰広げているので内臓が痛い、機体の右腕を持っていかれたときのショックでアバラにひび位は入ったかもしれない。


 機体も動くたびに各所から嫌な音を立て、センサーも幾つか死んでいる、推進剤の残りも少ない。


 あと何分この場所を維持していられるだろうか?


 データリンクで僚機の数をチェック、一個大隊もいた数が今では中隊規模しか残っていないことに愕然としつつ、それでもこの降下予定地点を今現在死守できていることに誇りを持つ。


 降下部隊が降りてくれば、自分達の仕事は終わりだ・・・・・・後は内部に突入する連中がきっと反応炉を叩いてくれる。


 失敗するなんて可能性は微塵も考えない、この作戦に参加する全ての帝国軍人がそんなことなど考えているわけが無い!!


 俺達は勝つ、勝って日本を取り戻す!!



『隊長!!3時方向から要撃級30!!』


 部下の言葉にはっとする、戦場で気を抜けば終わりだと教えたくせに、疲れの余り一瞬気を抜いてしまったようだ。
 目の前に迫る醜悪な要撃級の姿を見据え睨みつける、こんな連中が自分にとっての死神だとしても、そう易々と死ぬつもりは無い!!



「・・・・・・簡単にこの命くれてやるものかぁぁぁぁぁ!!」


 相打ち覚悟で一矢報いるために要撃級へ向け短刀を突き刺そうとした瞬間、目の前の要撃級がどてっぱらに大穴を開けて吹き飛んでいく。

 その後続の要撃級にも何発もの砲撃が降り注ぎ、BETAどもの死骸の山があっという間に積み上がっていく。


『はっはははは!!戦術機は大人しく飛んでろ!!でないと戦車砲の餌食になるぞ!!』


 そんな交信の後、何両もの戦車が機体の足元をすり抜けて行進していく。


 そして打ち出される戦車砲、戦術機の携帯火器よりも圧倒的な威力でBETAを次々と駆逐していく。

 戦術機の登場によって追いやられた戦車だが、未だその火力は戦術機の及ぶところではない。


『ここは俺達戦車乗りが食い止める!!戦術機は突撃級や光線級をやってくれ!!』



 勇猛な戦車乗りの言葉を聞いた瞬間、疲れで握力を失っていた手に・・・・・・力が入った。





高度14000・第二軌道降下兵団


「ちぃ!!思ったよりも早い!!」


 大気圏に突入した瞬間から、光線級からのレーザー照射警戒警報を知らせるアラームがひっきりなしにヘッドセットから耳に響き渡る。
 
 第一次照射が済んだ瞬間、まだ生きていることに感謝しつつデータリンクで戦況を確認。

 自分の部隊に被害は無し、全機健在なことに安堵しつつ・・・・・・他の隊の状況を確認して愕然とする。


(・・・・・・い、インパルスが半壊!?)


 第二軌道降下兵団の本命とも言える、ブルーインパルスの機体を示す光点が元の半数に減っている・・・・・・残った機体も、光線級の照射を受けた突入殻が自動でパージされ蒼穹色の不知火が大気へ露出している。


「ランサー01よりドルフィン01へ!!早く回避行動を取ってください、そのままじゃ狙い撃ちに合います!!」


 悲鳴のような叫び声を上げながら彼らに退避を促す。


『ドルフィン01よりランサー01へ・・・・・・そりゃ無理だな、どっちにしろこの高度じゃ逃げ場は無い』


 聞こえてきた気だるげな返答に返す言葉が見つからない・・・・・・当然だ、ここは高高度、身を隠す遮蔽物も無く、幾ら万能兵器の戦術機と言えど、この高度では満足な機動がとれる筈も無い。


「松土・・・・・・少佐」


『ランサー01そんな声をだすな、聞かれていたら部下が心配するぞ?・・・・・・さてドルフィン01よりイルカ乗り達へ・・・・・・生きてるか?』


 データリンクで確認すれば良い事をわざわざ彼は口にする。


『ドルフィン02、残念ながら健在だ』


『ドルフィン03、生きてますよ~』


『ドルフィン06、勝手に殺さんといてや』


『ドルフィン08、まぁ時間の問題でしょうがね』


 返ってきた返答に彼は満足そうに頷く。


『さて・・・・・・自分達のすることは分かっているな?』


『了解・・・・・・後輩達に道を作りますか』


『そうだね~頑張らないとね~』


『はぁ・・・・・・もっと暴れたかったわ』


『ついに自分達の番が来た・・・・・・か』


 残った不知火達が手近で落下を続ける突入殻の破片を回収しながら、次々と自分達の前へと躍り出る。


 その行為をただ黙ってみていることしか出来ない。


 彼らは自分達の身を盾にして後続の自分達を守ろうとしている。



『俺はな隆・・・・・・お前をインパルスに誘わなくて良かったと思っている』


「・・・・・・」


『ま、本音を言えば香月から色々釘を刺されたのも事実なんだがな・・・・・・お前は人に教える才能があったようだ、神宮司と教官をやっている姿を見てそう思った、俺はな』


『でも~かなり後悔してましたよね~少佐~?』


『言うな杉原・・・・・・人にはそれぞれ役割がある・・・・・・俺達は此処で盾になる運命だったわけだ・・・・・・後は任せたぞ・・・・・・百里の騎兵』


「・・・・・・少佐も・・・・・・ご武運を」


『ん~残念だな~もっと隆さんのこと見てたかったけど・・・・・・じゃあね、無事に下まで送ってあげるからね』


「瞳ちゃん・・・・・・ありがとう」


 網膜から二人が映ったウィンドウが消える。



『さて・・・・・・長いようで短い付き合いだったな隆?』


「静流先輩・・・・・・」


『・・・・・・夕呼とまりもに宜しく伝えてくれ・・・・・・エンプレスは雄々しく散ったとな』


「貴女と過ごした学生時代・・・・・・一緒に戦った戦場を・・・・・・俺は忘れません」


『ああ、私もだ・・・・・・楽しかったよ本当にな・・・・・・さよならだ、隆』


 そして静流も消える。


 皆消えていく・・・・・・戦場で仲間を失うなんて事は良くある事だったが、何時までたっても慣れることなど出来ない。


 麻美からは根性無しと言われるが・・・・・・自分は大切な人が死んでいくのを笑って見送れるほど強くは無い。


 後悔と悔しさと悲しみで・・・・・・顔の形が保てなくなりそうになるが・・・・・・



『ようロリコン』


『それとシスコン』


 ・・・・・悪友達の見慣れた顔を見て、なんとか苦笑する。


「お前らは・・・・・・最後までそれか?」


『言ってろや、こちとら訓練校からお前とのしょ~も無い付き合いをしてたんやから』


「川井、俺は・・・・・・楽しかったがな」


『・・・・・・まぁな、わいもや』


『それが見れなくなるのは・・・・・・残念だな』


「桐嶋・・・・・・」


『それよりももっと残念なのが・・・・・・お前さんの結婚式にでれないことだ、まったく女性陣全員を嗾けてカオスな修羅場を見物しようと思ったんだが・・・・・・』


『ああ、それが楽しみやったわ~』


「・・・・・・来てくれよ、何してもいいからさ」


『・・・・・・ま、幸せにな隆、お前の番はまだまだ先のはずだが・・・・・・向こうで酒でも飲んで待ってるよ』


『そやな、生きて帰るんやで?じゃないと麻美が怖くてあの世でもおちおち寝てられへんからな』


 そんな言葉を残して、最後に残っていたインパルスのウィンドウが消える。


 騒がしかったのにあっさりと静寂に包まれる・・・・・・聞こえるのは突入殻が大気との摩擦に耐える音と機体を包む振動。


 もう・・・・・・誰の声も聞こえない。


 その静けさに・・・・・・ほんの、ほんの一筋だけ・・・・・・涙が零れた。








地上、SE11ゲート付近


『HQより各機へ、軌道降下部隊が予定通り降下を開始した。SE11付近にいる光線級の排除がまだ済んでいない、降下してくる部隊のためにも早急に光線級を叩け!』



 光線級の排除、ソレが自分達に与えられた任務だ。


 周回軌道上からの降下部隊、虎の子のエースで構成された連中を無事地表へと送り届けるための仕事。


 現在のハイヴ攻略の最有力手段とされる、軌道降下部隊のハイヴ突入作戦。

 AL弾の砲撃によってハイヴ上空に重金属運を作り出し、飛翔体を狙う重光線級の密集地域への艦砲射撃によって駆逐、それでも残った光線級を地上の戦術機部隊が殲滅する。
 おおよそ7割がたの光線級を排除せねば、ハイヴ攻略の要たる彼ら降下部隊を安全に地上に迎え入れることが出来ない。


 ゆえに光線級の排除はハイヴ攻略の戦力を少しでも残すために、自分達が絶対に成さねばならない責務なのだ。


「ホーク01よりHQへ支援砲撃はまだか!?このままじゃ降下部隊が狙い打ちにあうぞ!!」


 上空にはAL弾によって重金属雲が発生しているが、それとて重光線級のレーザーを絶対に防げるわけではない。
 大気による減衰を全く見込めない程の高出力レーザーを照射する重光線級の閃光は、易々とその金属雲の中を進む戦術機を堕としてしまう。


『HQよりホーク隊へ、現在支援砲撃は他の降下予定地点に現存するBETAへ優先的に行われている、そちらの重光線級の残数は残り4、優先順位が低いため支援砲撃は行えない!!展開する戦力で重光線級を殲滅しろ!!繰り返す、重光線級を殲滅しろ!!』


『ちぃ!全機聞いたな!?支援砲撃は望めない・・・・・・俺たちだけで重光線級を殺るぞ!!』


『『『『『『了解!!』』』』』』


 部下から返ってきた返事に満足して頷き、内心で彼らを死地に向かわせなかればならない自分自身に腸が煮えくり返りそうになる。


 だがコレは任務だ、私情などは割り切らなければならない。

 データリンクで部隊の現状をチェック、自分の撃震を含めて残り8機。

 たったそれだけの戦力で敵陣深くに存在する重光線級を排除しなければならない。



 必死に重光線級が密集する地域へ機体を向かわせるが、その間も空に向かって死の閃光が無情にも放たれる。

 その光景に絶望を感じつつ部下への指示を絶やさない。



「これ以上レーザーを撃たせるな!!重光線級へ砲撃を集中させろ!!」


『隊長!!駄目です!!重光線級の周囲に要塞級多数!!砲撃が届きません!!』


「なんだとぉぉぉ!?」


 部下の報告に奥歯を噛み締める、いち早く殲滅しなければならない敵までこのままでは届かない。

 最早時間も残り少なくなってきている・・・・・・部下達に突貫を指示するのも時間の問題だと考え始めた矢先。


 目の前に迫ってきていた戦車級の群れが、自分達以外の砲撃によって次々に撃破されていく。


(何処の部隊だ!?)


 この地域の防衛に回せる戦術機の部隊など存在している筈が無い。

 今はこの横浜の全てが激戦区なのだ、余計な戦力など残っている訳が無いと思いながらデーターリンクで戦場を確認する。

 戦術マップには味方を示す青い光点が10数個に表示され後方から猛然と此方へ向かってきている。 



 だが、その光点が表示する機体ステータスは・・・・・・



「なんで後続の戦車隊が前線にいる!?下がれ!!」


 後方で支援砲撃を行っている筈の戦車部隊を目視して叫ぶ。


 平野部で遠距離からの砲撃ならともかく、元は市街地であった遮蔽物の多いこの地域では、戦車はBETAの格好の獲物でしかない。


『光線級は自分達がやります!!戦術機はご自慢の機動性でBETAどもを引き付けてください!!』


(馬鹿な・・・・・・)


 返ってきた戦車兵の言葉に内心で呻く。

 機動性が望めない戦車でBETAに突っ込むなど連中は死ぬ気なのか?


「特攻する気か貴様!?」


『違います!!BETAの攻撃優先目標を考えてください!!』



 指摘されて今更気づく。

 知性を持つかどうか怪しいBETAにも攻撃優先順位は明確に存在する。


 歩兵よりは車両を、車両よりは戦術機を、戦術機よりは航空機を、BETAは攻撃目標を切り替える。


 光線級の出現によって戦場から航空機の姿が消えた昨今、BETAどもが戦術機を最優先で狙ってくることを考えれば・・・・・・自分たちが囮になり、BETAの壁に隙が出来た瞬間を戦車部隊に任せるのは確かに策としては有効かもしれないが・・・・・・


 戦車隊が生き残る可能性は限りなく低い。


『し、しかし、支援砲撃も無いのにBETAを引き付けるなんて・・・・・・』


 部下の尻込みした言葉に一瞬怒りを覚えるが。


『安心してください、支援は続けます!!』


 返ってきた返答に今度こそ目を剥く。


「ならばお前達をダレが守る!?中、大型種は引き付けられても小型種までは全て引き付けられんぞ!?」


『それは随伴する機械化歩兵部隊がやってくれます!!任せてください戦車級や闘士級なんて機銃掃射で薙ぎ払ってやります!!』


 瓦礫と化した通りを爆走する10数台の戦車、その脇で重機関銃を掃射しながら戦車に随伴する機械化歩兵部隊。


 彼らが止まる筈も無い・・・・・・そして自分も止められる筈も無い・・・・・・我が身を省みず自分達の責務を果たそうとしている彼らの邪魔を誰が出来ようか?


「・・・・・・わかった、大型種は任せろ・・・・・・光線級は頼む」


『はい!!行くぞ貴様達!!此処が一世一代の戦車乗りの見せ場だ!!!』








高度2000・第二軌道降下兵団



 高度2000に達した瞬間、戦術機を覆う突入殻の爆発ボルトが起爆して瞬時に外殻を覆う装甲がパージされた。

 クリアになる視界、眼下に広がる灰色の雲、そこから立ち上る死の閃光、雲を抜けた先を想像するまでも無く目に浮かぶ・・・・・・地を這う化け物共と、必死に戦う友軍の姿。


「全機、噴射降下!!地表に張り付いてゲートから突入するぞ!!」


 叫びながらスロッルを押し込んで全力で降下する。


 インパルスの盾があったお蔭か今のところ全機健在、だがこれから地表にたどり着くまでに果たして何機堕とされてしまうのだろうか?


 必死に友軍が重光線級の排除を行っているのだろうが、余裕などが無いBETAとの戦場で安全に降下できる保証など一切無い。


 恐らく・・・・・・地表にたどり着くまでには何機か喰われるだろうが、それでも地上からハイヴへ進入するためのゲートに向かうよりは遥かに被害は少ない・・・・・・身を挺して戦う地上の彼らに感謝する。


 乗機を包んでいた突入殻の破片が、再加速を始めながら重金属雲へ落下していく。


 先に分離した突入殻の破片が盾となって地表へと先行し、ソレそのものが質量兵器となってBETAを押しつぶす姿を期待した瞬間、一番懸念していた光線級の死の閃光が金属雲を抜け空へ光の筋を作る。


「ぐぅぅぅぅ!!」


 ヘッドセットのスピーカーからレーザー照射を知らせる警報が鳴り響く中、必死に操縦桿を操作しながら回避行動を試みる。

 急激なGに翻弄されるなか、突入殻の装甲がレーザーに捕らえドロドロに溶解するのさまが視界に映る。

 もしあれに照射されれば幾らレーザー減衰塗料が塗られている不知火といえど、数瞬後にはあっさり焼き尽くされてしまう。


(皆・・・・・・死ぬなよ)


 そう思った瞬間、溶解した突入殻の破片が近くを降下していた部下の不知火へと降り注ぐのが見えてしまう。


「!?ランサー05、直ぐに回避行動に入れ!!避けろぉ!!」


『え?』


 聞こえてきた彼女の声を・・・・・・それ以上聞くことは出来なかった。

 降り注いだ破片が激突したショックで機体の姿勢を崩し、突入殻の盾から外れた瞬間・・・・・・レーザーに狙われ一機の不知火が空中で爆散する。


『は、はるかぁぁぁぁぁ!!』


 水月の悲痛な叫び声がヘッドセットから聞こえる。

 幸いだったのは・・・・・・きっと涼宮が即死だったことか。戦車級に喰われる恐怖を感じずに死ねた涼宮は、幸せだったかもしれない。
 

『孝之・・・・・・遙が・・・・・・遙が・・・・・・』


「ランサー07!!ランサー06のカバーに入れ!!このままじゃ二人とも失うぞ!!」


 鳴海へ叫びながら指示を出し、目前に迫る重金属雲を睨み付ける。

 中に入ればデータリンクで僚機の存命が把握できなくなる・・・・・・果たして何機この雲を抜けられるか。


(・・・・・・すまない、涼宮)


 突入した瞬間、彼女の死を悲しむことも許されない現状に、胸中を包む悲しみが更に増していった・・・・・・







地上・SE11ゲート付近



 戦車隊がその砲塔を旋回させ、BETAを陽動する戦術機部隊の援護の為に、戦術機に引き付けられたBETAに向かって砲撃を続ける。


 彼ら戦車の進路上に群がる小型種を、随伴する機械化歩兵部隊が重機関銃で迎撃する。


 銃撃で動きが鈍り弱ったところを、戦車がその堅牢な装甲と自重を持って戦車級を吹き飛ばし、小型種を頑強なキャタピラでミンチに変える。


 勇ましい戦車部隊の姿に感化されるかの如く、自分や部下達が駆る撃震も多くのBETAを引き付けるべく大胆な機動を繰り返す。


 こちらに寄せ付けられた突撃級の群れに後方から戦車が放った砲撃が炸裂し、次々と崩れ落ちていく姿を見ながら陽動の成功を確信した瞬間。


『隊長!戦車隊の進路上に突撃級が!!』


 群れから逸れたとでも言うのか、一体の突撃級が戦車部隊へと向かって突き進んでいくのを部下の声で確認する。

 突撃級の一体など戦術機にとって見れば然したる脅威でもない。

 幾ら頑強な甲殻と言えど、背後に回ることでその甲殻の覆われていない柔らかな尻に銃弾をくれたやるなり斬撃するなりであっさりと斃せるのだが、戦車にとって見ればたった一体の突撃級でも、至近距離での遭遇では恐ろしいまでの脅威となる。


 戦車に戦術機のような機動が望めるわけもなく、戦車は突撃級の頑強な甲殻と真っ向から相対せねばならない。


 モース硬度15とされるその甲殻も、戦車砲の直撃にそうそう耐えらるものでは無いが今は状況が最悪だった。


 慌てて数両の戦車が砲塔を突撃級に向けすかさず砲撃、集中砲火によって突撃級は姿勢を崩し崩れ落ちるが最高速170キロともされるその勢いは直ぐには止まらない。


 戦車部隊の進路上を、二転、三転しながら突撃級は地面を転がり回る。


『くそぉぉぉ!!こっちにくるなぁぁぁ!!』


 戦車部隊の何れかに乗っていたであろう兵士の叫びが耳に響くが、突撃級は地面を転がりながら数両の戦車と何人もの機械化歩兵を巻き込みながら沈黙する。


 轢きつぶされた機械化歩兵部隊、吹き飛ばされ炎上を始める数両の戦車。


 たった一体の突撃級だけで戦車部隊が瓦解した・・・・・・かに見えたが。


『戦車乗りの意地を見せろぉぉおお!!』


『『『『『『うぁぁぁぁぁあああああ!!!』』』』』』


 戦車は止まらない、狂った馬車馬の如く猛進し、目の前に立ちふさがるBETAを吹き飛ばし、すり潰し、何両も脱落しながらも・・・・・・ついには重光線級の懐に数両の戦車が飛び込む!!



 戦車などに目もくれず、ただ上空に向けて死の閃光を放っていた重光線級が、そこでようやく足元に辿り着いた戦車へその死の視線を向けるが、時既に遅い。



『全車!!ててててぇぇぇぇぇっっ!!!』



 至近距離からの砲撃によって・・・・・・該当地域の重光線級は戦車部隊の手によって全て駆逐された。







『HQより降下地点確保部隊へ通達、軌道降下部隊が重金属雲に入った、先行する突入殻の破片に注意!!落着の衝撃に巻き込まれるな!!』






 HQからの通信に戦術マップを確認し、戦車部隊の尽力により予定数の重光線級の排除が成功したことに安堵しながら指示を飛ばす。


「聞いたか戦車隊!?君達のお蔭でこの地域は大丈夫だ!!全力で後退しろ!!突入殻の落着に巻き込まれるぞ!!」


 乗機の撃震を全力で後退させながら英雄とも言える働きをした彼らに通信を入れるが・・・・・・


 戦車部隊は尚も砲撃をBETAに向けて続けている。


『・・・・・・自分達は最後まで此処でBETAの数を減らします、まだ目玉小僧は残ってますしね、どっちにしろ戦車の速度じゃ間に合いません』


「・・・・・・」


 聞こえてきた声に絶句することしか出来ない。

 確かに・・・・・・戦車の足では最早安全区域まで間に合わないのは明白だ。


『降下してきた部隊にも、自分達はお荷物です・・・・・・ハイヴ突入後の戦術機の援護は同じ戦術機にしかできません』


 そう・・・・・・ハイヴ内戦闘は如何に早く奥へ進めるかだ・・・・・・地を這うことしか出来ない戦車にその任は重すぎる。


「・・・・・・」


『ホーク隊は彼らの手助けをしてください・・・・・自分たちは良い見せ場を貰いました・・・・・・この橋頭堡、なんとしても死守してみせます!!』


 そう言う声は・・・・・・まだ歳若い少年の声だった。


「戦車乗りに・・・・・・感謝を」


 操縦桿を握る手に力を込めながら、ただ感謝の言葉を伝えることしか出来なかった。









 この光景は、この戦場において実は幾つも見られた光景だった。





 戦術機達を文字通り死ぬ気で援護する彼ら戦車乗り達、この作戦の主任務がハイヴ内の反応炉の破壊が目的だと分かってから・・・・・・彼らは戦術機の衛士達の道を切り開くべく覚悟を決めたのだ。


 それは意地だったのかもしれない、BETAの出現によって戦車や航空機が旧世代の兵器に成り下がり、ハイヴの中へ、憎むべきBETAの巣の中へ、入っていけない戦車の不幸を呪った彼らが、出来る最後の責務を貫くための意地。


 結果として、その意地を貫いた戦車乗り達によって、軌道降下部隊は予定数以上の降下を成功させ、地上に展開していた戦術機の多くがBETAの露払いとして随伴することができたのだ・・・・・・




 そして・・・・・・多くの機械仕掛けの巨人が地獄へと降り立った。










『HQより各機へ、軌道降下部隊が重金属雲を抜けた、残存する部隊は地表降下までの援護を!!』








 その通信で地表の部隊が一気に騒然とする。







『降下部隊が金属雲を抜けたぞ!!!!』







『抜けたのはどいつだ!?・・・・・・インパルスか!?』







『違う・・・・・・抜けたのはランサーズだ!!百里の槍が抜けたぞ!!』








 SE11と呼ばれる、横浜ハイヴ南東3キロの地点に、5機の騎兵と・・・・・・長大な槍を携えた一機の騎士が颯爽と舞い降りた。








「ランサー01より各機・・・・・・槍壱型陣形へ」


 残機6、涼宮に続き前島と平が重金属雲を抜けることが出来なかった。

 それでも失った機体はたったの三機、十分成功と言わなければならない。


 ゲートに近いというのに、降下地点の周囲には驚くほどBETAの姿が見えない。


「俺が切っ先になる」


 ここを死守してくれた部隊の尽力に・・・・・・静かに感謝する。


 ここからは自分たちの出番だ、身を挺してこの場を守ってくれた彼らのためにも、空で散った多くの友人達のためにも・・・・・・ここから先はただ突き進むのみ。


 不知火が手にしている92式多目的追加装甲の裏側に備え付けられた部隊の名を示す武装のロックを外す。

 爆薬式のノッカーが音を立てて外れ、ゆっくりと自重によって傾くその長大な獲物を不知火の両手で保持させる。

 多目的追加装甲はそのまま左腕部のナイフシースを廃し固定具に変更した場所へ装着。


 90式近接用槍、欧州のイギリス軍が主に採用している長大な刺突兵装。

 ダイヤモンドよりも硬いとされるタングステンの芯と先端、スーパーカーボンに包まれた円錐状の外殻、そして中ほどから垣間見える内部に仕込まれた銃口、中世の馬上騎士が持つランスをそのまま肥大化させたこの槍。


 これが自身の一番信頼たる獲物だ。
 

 長大で恐ろしく取り回しの悪い槍、機体全体に負荷がかかる程の自重を持つ槍、突撃級にでも正面から突っ込めば反動で此方の機体が圧壊しかねない程に使いづらい槍。




 しかし、幾多の戦場でこの槍を振るい、数多のBETAを刺し貫いて来た自分に、そんな些細な事は問題ではない。




 ランサーズに必要なのはその名が示す突破力。


 BETAどもの横っ腹に風穴を開ける強固な先端を必須とし、それを可能とするのがこの長大な槍。


 要撃級を刺し殺し、突撃級を掬い上げ抉り殺し、戦車級をすり潰し、光線級の目玉を貫き、要塞級の甲殻を抉じ開け風穴を開ける・・・・・・そのための槍。


 長大と言われる先端を振り回し、機体に負荷を掛ける程の自重で持って突撃し、止まることを知らない槍の切っ先を自身が務める。


「・・・・・・」


 機体が軋み音を上げるが・・・・・・その音を聞いて獰猛な笑みを我知らず浮かべる。


 自身の準備は出来た・・・・・・後は・・・・・・


 戦術マップを見れば、既に残った僚機が自身の背後へと集結している。


 自身を槍の先に見立て、背後に一機、その後ろに二機づつ並ぶ。


 こうして・・・・・・一本の槍が戦場に出来上がった。


「伊隅・・・・・・いけるな?」


『は!!』


 今にも泣きそうな顔をしているが、返ってきた返事を聞き彼女の強さに感謝する。


「速瀬、鳴海・・・・・・敵は取るぞ」


『『はい!!』』


 2人とも怒りで目を剥いているが・・・・・・新兵にとても見れないその希薄に感謝する。


「神宮司、俺は前に行く・・・・・・後ろの連中を任せたぞ」


『ええ大尉・・・・・・存分に貫いてください』


 親友の心強い笑みに感謝する。



「橘・・・・・・俺の背中を頼む」


『ハイ!!大尉の背中は私のものです!!』


 返ってきた橘の声に感謝する、部隊で最も相性の良い彼女に後ろを任せての突貫・・・・・・これならば自身はただひたすら前へ進める。




『ホーク01よりランサーズへ!!生き残りの自分たちが君たちに随伴する、BETAの露払いは任せろ!!』


 周囲に集まってくる満身創痍の撃震達、勇敢な彼らと共に戦えることに感謝する。


「ランサー01よりホーク隊へ、支援感謝する・・・・・・だが自分達は槍だ、BETAの心臓を貫くために突き進む一本の槍だ、悪いが周りを見る余裕は無いぞ」


『望むところだ、足手まといなら何時でも置いてくれていってかまわん、百里の槍・・・・・・しかとこの目で見させてもらう!!!』


「ああ・・・・・・了解した」


 短く答え、主機の出力を一気に最大値まで跳ね上げる。


「・・・・・・全機抜刀!!俺達の意地をBETAドモに見せるぞ!!自分達の意地を貫け!!」




『『『『『『『『『『『『了解!!!!』』』』』』』』』』』』




「全機俺に続けぇぇぇ!!!!目標は反応炉!!群がるBETAは全て貫きとおせぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!!」




 そう自分たちは全てを刺し貫く、ハイヴもBETAも絶望すらも、目前にある全てを、己の身体と意地を槍に変えてただ突き進む。


   

 引くことをしらず、ただ前に、がむしゃらに前へと突き進む。






 後に続くもの達のために。






 今戦う全ての仲間のために。





 それが・・・・・・俺たちランサーズ【騎兵】の意地だから。
 













 1999年8月5日

 甲22号、横浜ハイヴへ降下した帝国軍第二軌道降下兵団に臨時編入された帝国軍百里基地所属の二つの部隊。


 <ブルーインパルス>及び<ランサーズ>。


 ドルフィンライダーと称される百里の精鋭部隊は降下中に重光線級の照射を受け全滅。

 百里の槍と称されるランサーズは、三機を失いながらも地表へ降下、SE11ゲートよりハイヴ内部への侵入に成功した。


 彼らランサーズが侵入してから一時間後、その時点では部隊の二機が未だ健在だったと記録されている。


 その更に15分後、横浜に展開する全ての部隊が謎の電波妨害に晒され、全てのデータリンクが一時寸断された直後、戦場に漆黒の火球が膨れ上がり・・・・・・ハイヴやBETA・・・・・・戦場に展開した周囲の部隊全てを灰燼と帰した。


 後に米軍から、新型爆弾であるG弾を使用した際の余波で一時的に電波障害が起きたとの報告が国連を通して帝国軍に伝えられた。

 
 BETA由来の兵器ゆえ意図せぬ障害が起きたと。

 戦場へ展開中の部隊への退避勧告が電波障害のせいで遅れたと。


 この知らせを聞いた陸軍参謀本部付情報佐官である香月夕呼中佐は、周囲が今まで見たことがないほどに激怒したとされる。



 G弾の使用によって横浜ハイヴは攻略された。



 最後まで生き残ったランサーズの二機は・・・・・・データリンクが寸断された影響でその位置をロスト、そのまま二度と見つかることは無かった。




 全ては無駄死にだったと後に語られるが、その戦場で散った幾ばくかの将兵の思いを・・・・・・ここに記したい。




 


 これが、もしかしたらあったかもしれない話の結末である。









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