DONの落書き部屋

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「Muv-Luv 小説」
第二部

ソ連編 10話

 




 ソ連編  かれらの責務



 2001年 8月19日
 ソ連軍 ц04前線補給基地・某所

 壁面に幾つもの大型ディスプレイが埋め込まれた管制室の中は・・・・・・ただひたすらに混乱していた。
 原因はコード991の発令。
 基地から15㎞と離れていない地点に突如としてBETAが出現したのだ。
 瞬く間に通信回線は混沌とした情報で溢れかえり、試験を行う小隊の現状は愚か、出現したBETAの進路予想すら掴めない状況に陥ってしまった。 
 コンソールを前にしたオペレーターが浮かべる表情は困惑と恐怖に彩られている。
 が、それも致し方無い。 この管制室・・・・・・正確には大型トラックを改修して建造された移動型管制室は、日本の一企業である光菱が用意した車両なのだ。 当然、オペレーターは軍属の人間では無く光菱の社員たちが務めている。 実戦の経験など皆無に等しい彼らに、警報が鳴り響く中で冷静な対処を求めるのは酷な話だろう。

「―――いやぁ、メンツに拘る人たちのお膳立ては流石としか言いようがないねぇ。 ・・・・・・しかしこうなると、君の上司はこの状況すら織り込み済みでアレを一局に渡した気がするなぁ」

 幾つものディスプレイがエラーと表示されて赤く塗染まるのを眺めていた石井が、振り向くこと無く背後にいる孝之へそう問うた。

「―――確かに、例えこの状況を香月副司令が推測していなくとも、終わった後で全て計算尽くだった・・・・・・と、あの人なら平然と言うかもしれませんね。 兎にも角にもハッタリと人を欺くのが大好きな人ですから」

 横浜にいる本当の上司の姿を思い出しながら孝之が答え大きく肩を竦めると・・・・・・小さな金属音が幾つも響き渡った。
 カチン、カチンと、硬い金属が触れ合う音。 それは孝之が身に付けた強化装備を構成する装甲板が触れ合う音だった。 
 一見するとソレは衛士が着用する強化装備にも見えるが、衛士強化装備の一番の特徴たる半透明保護皮膜をソレは一切使用しておらず、胸部や大腿部と言った箇所は分厚い装甲板で覆われていた。
 スマートな衛士強化装備と違い・・・・・・ソレのイメージに一番近いのは中世の騎士が纏う鎧だ。
 だが流麗な騎士甲冑と違い、その鎧は艶のない黒で塗り固められており、文様のない無骨な表面は見る者に圧迫感を持たせるだろう。

 ―――そんな夜よりも深い闇色の鎧が、身に付けた孝之の動きに合わせて甲高い金属音を響かせている。

「そうそう、あの手の人は他人を利用することに悦を感じる厄介な性癖を持ってるんだよねぇ。 でも逆に自分が利用されてると知るや激怒するから・・・・・・いやぁまいったまいった」

 ポンっと自分の頭に手をあて困った相振りを見せる石井だが、彼が浮かべるニコヤカな表情を見ていると、その言葉が本心からのものとは到底思えない。 むしろ、先述した人間を手玉に取って楽しんでいるように見えてしまう・・・・・・あくまで孝之の主観ではあるが。

「ほんと気難しい人だね、香月副司令は。 ミツコさんと違って人情味に欠けるのがなんとも・・・・・・まぁ彼女が抱えているものを考えると、ソレも仕方の無いことだとは思うけどねぇ。 ・・・・・・きっと彼も大変な思いをしてるんだろうなぁ、うんうん」

 目の前で右往左往するオペレーター達の様子など目に入らないのか、気楽に世間話をし始めた石井の姿に孝之は軽い目眩を覚える。 
 これから自分達が行うことに何ら緊張感を感じていないのかと、孝之が冷めた目で石井を見ていると・・・・・・彼の背後にある重厚な扉が空気の漏れる音と共に開き、二人の男が入室してきた。

 一人はロシア人だった。
 大小様々な勲章が飾られたソ連軍制服の上に白衣を着こみ、一見して科学者然とした風体をしている。
 無表情を作り一見冷静を装っている風にも見えるが、その瞳は不安げにキョロキョロと動き周囲の様子を注意深く伺っていた。
 ・・・・・・もう一人の男は何ら周囲の様子を気にかけること無く、孝之の横に並び口を開く。

「―――部長、準備が整いました」

 淡々とした口調でそう告げる黒尽くめの男。
 アジア系にありがちな黒い髪と黒い瞳を持ち、黒のシャツの上に黒いコートを羽織るといった、見るだけで陰惨とした雰囲気をその男は醸し出していたが、一切振れる事無く佇むその姿は・・・・・・まるで鋭利な刃物を匂わせる。

「―――ん、ご苦労様、黒 (ヘイ) 君」

 男・・・・・・黒にそう答え、石井は満足そうに頷いて椅子から立ち上がる。
 黒と呼ばれた男、そしてその背後に控えるロシア人、最後に孝之に視線を向けてから、石井は浮かべる笑みをより一層深くして口を開く。

「観客が少ないのが残念だけど折角の機会だからね、これを利用しない手は無いでしょ。 ・・・・・・皆さん、手筈通り宜しくお願いしますよ?」

 その言葉に孝之と黒は無言で敬礼した後、足早に管制室から退室して行く。
 残ったのは石井とロシア人のみ。 石井は再び壁面に埋め込まれた大型ディスプレイに向き直り、楽しそうに・・・・・・心から楽しそうに笑いながら呟いた。

「―――歴史の闇に埋もれた技術の一端。 出来るなら、次はもっと大っぴらにお披露目出来るといいですねぇ」







 前線補給基地・南ゲート付近

「―――はい。 受け入れは予定通りに・・・・・・ええ、必要とあれば国際法を振りかざすべきかと」

 背後から聞こえるその声を聞きながら、慎二は基地から脱出する車両や輸送ヘリの姿を仰ぎ見ていた。
 スピーカーから流れていた警報が、BETA出現を知らせるコード991から何時の間にか基地放棄を伝えるコード202に切り替わっている。 この短時間で基地の放棄が決定されたと言うことは、かなり不味い場所にBETAが出現したのだろう。

(―――これじゃ奈華宮大尉を迎えに行くどころじゃ無いな)

 慎二は内心でそう嘆息し、ルームミラーで後部座席に座る麻香の姿を確認した。
 コード991が鳴り響いた直後から、彼女は自前の通信機で自らが指揮する補給部隊へ幾つもの指示を与え、今は何処かと連絡を取り合っている。 会話の内容から察するに、相手は恐らくカムチャッキー基地に停泊中の母艦だろう。
 ・・・・・・そんな麻香の姿は、先ほど狼狽した様子で声一つ出せなかった女性とは思えないほど毅然としたものだった。

 誰も崩せなかった麻香のポーカーフェイス。 それが突然破綻した理由で思いつくのは一人の男。
 今回の遠征に合わせて帝国軍から派遣された衛士の中で、絶えずサングラスを掛けて素顔を晒さなかった社とか言う男と顔を合わせた瞬間・・・・・・麻香はその表情を一変させたのだ。
 何らかの接点が二人にはあるのだろう。 それが何かは分からないが、あの男は麻香に動揺を与えるほどの人物に違いは無い。

 ―――社隆。
 社と言う名だけならば聞き覚えがある。 夕呼に付き従っていた少女が確か同じ名前だと記憶している。 親類とは思えないが、二人にも何らかの接点があるのかもしれない。

(・・・・・・篁中尉は良く知っているようだったな。 機会があれば後で聞いてみるか)

 そう思いながら慎二は唯依が消えた方角へ目を向ける。
 唯依は警報が響いた直後に走り去ってしまった。 恐らく試作99型砲が格納されている第18番ハンガーに向かったのだろう。 あっという間のことで確認したわけではないが、彼女の立場を考えれば十中八九間違い無い。
 帝国軍の二人も、彼らが用意していたLAVに乗ってその後を追って行った。 彼らもまた自分達の乗機がある第19番ハンガーへ向かったのだろう。

「―――ええ、実は先程三澤大尉から話しを・・・・・・・・・・・・ちッ」

 思案に耽っていた慎二は、突然聞こえた舌打ちは自分の気のせいだと思った。
 だが再びルームミラーで背後を確認すると、忌々しげに通信機を睨みつけている麻香の姿がミラーに写っている。
 それを見た慎二は再び息を飲む。 先ほどの狼狽した姿もそうだが、苛立ちを見せる姿も普段の彼女からは想像もつかない姿だからだ。
 通信機にトラブルでも起きたのか、それとも相手の返答が面白くなかったのかは分からないが、笑顔で部下や知人に毒舌と直接的暴力を振るう女性が明らかにイライラしている・・・・・・ 慎二はBETAと相対した時とは違った恐怖を覚悟し竦み上がってしまった。

「―――平中尉」

「は、はいッ!!」

 その麻香に呼びかけられ、慎二は反射的に背筋を伸ばして返事をする。

「ご苦労様でした。 此処でけっこうです」
 
 なのにあっさりと麻香はそう言い放ち、ドアを開けて車外へ降り立つ。 そして後続に控えていた帝国海軍所属の輸送車に向けて歩き出してしまう。
 
「―――金谷大尉ッ!!」

 慌てて慎二は彼女を呼び止めるが、続く言葉を見つけられずに途方に暮れる。
 驚愕と苛立ちと言う、普段の麻香には似つかわしく無い表情を浮かべた今の彼女の様子は明らかにおかしい。 
 だが、声を・・・・・・彼女へ掛けるべき言葉が見つからない。
 麻美なら、彼女の実妹たる彼女なら、こんな時なんと言うのだろうか?
 自分や孝之へ言うように、自らの責務を果たせと姉にも言うのろうか?
 二年と言う、決して短くは無い時間を共に過ごした彼女の性格を考え慎二は逡巡するも、

「―――くッ」

 唇を噛むことしか出来ない。
 彼女たちの背景。 奈華宮家の実情を朧気にしか知らない自分が想像で搾り出した言葉など、麻香に言ったところで何ら意味は無いだろう。

「―――私はこのままカムチャッキー基地へ向かいます」

 そんな慎二の苦悩を察したのか、麻香は振り返らずに答えた。

「平中尉、貴方は貴方の責務を果たしなさい・・・・・・ 貴方にもやらねばならないことがあるはずでしょう?」

「―――ッ!!」

 やはり二人は姉妹なのだと、慎二は心の何処かで深く納得する。
 掛けるべき言葉を逆に掛けられた、そのことに気恥ずかしさを感じながらも自分の責務を思い出した慎二は、直ぐ様車の向きを変える。

 石井から聞いていたプランとは若干違うも、これだけの騒ぎが起きれば何らかの動きが双方にあってもおかしくは無い。
 石井が動くと言うことは・・・・・・間違い無く、この基地へ秘密裏に運び込んだアレらを使用するはずだ。
 孝之がマユの代わりに白百合へ搭乗することは事前に知らされている。
 彼には、あの腐れ縁の男には、伝えなければならない言葉がある。 
 彼自身も分かっているだろうが、肝心なことは何時も自分で決められない男には周りが教えてやるほか無い。

 横浜へ、あの二人の元へ孝之を帰すために。
 それこそが麻香に言われた自分の責務だ。

(・・・・・・ったく、損な役回りばっかりだな、俺って男はッ!!)

 逸る気持ちをそのままに慎二はアクセルを強く踏み込む。
 麻香が輸送車に乗り込むのを脇目に見ながら、慎二は基地の中心へと引き返して行った。







 ミリコヴォ地区西岸部 F地点 

『見えたッ!! あそこが指定座標だッ!!』

 歓喜を含んだユウヤの叫び声がスピーカーから響く。
 網膜に表示される戦術マップに目を向ければ、確かに先程HQから指示された地点がマップ内に確認できた。  
 だが真奈美は、指定地域に到着すれば次の指示があると思っているユウヤと違い、胸中に湧き上がる不安を押し殺すのに必死だった。
 基地近郊にBETAが出現したとの報があり、その後一方的にこの地点への退避を通達されたのみで、基地が今どんな状況になっているのかは全く知らされていないのだ。
あの前線基地には僅かな兵力しか残されていない、出現したBETAがどれほどの規模かは分からないが、もし旅団規模以上であれば瞬く間に蹂躙されてしまだろう。

(―――壱型丙は兎も角、完調の不知火が二機あるんだ。 いざとなったらそれに乗って逃げるはずだから、皆大丈夫・・・・・・大丈夫だよね)

 基地に残してきた三人の仲間、そして日本から同行している多くのスタッフの安否ばかり考えてしまう。
 出来れば直ぐにでも引き返して仲間の脱出を支援したい。 皆が無事に基地を脱出する姿を見届けなければ、この不安が消えることは無い。

 ―――自分の知らないところで大切な誰かが死ぬ。

 母と姉をそうして亡くした真奈美は、そんな結果だけは絶対に回避したいのだが、帝国軍人として私情で動くことは到底許される行為では無かった。
 今護衛に就いているアルゴス試験小隊が運用する弐型やACTVは、将来日本の・・・・・・いや人類の新たな剣となる貴重な機体なのだ。 その重要性は今基地に取り残されている全ての人間の命よりも・・・・・・遥かに重い。

「・・・・・・ッ」

 強く噛み締めた唇から血が流れるも、後悔に囚われた真奈美にはその鉄の味を感じることが出来なかった。

 この状況は・・・・・・もしかしたら自分の迂闊な発言が招いた結果なのかもしれない。
 ブリーフィングにてユウヤの出撃を自分が後押ししなければ・・・・・・ 弐型が出撃せず、部隊の護衛機がACTVだけならば、帝国軍とは関係無いと言い捨てて基地へ帰還することが出来たかもしれない。
 周囲の仲間は誰もソレを口にしないが、その可能性を考えてしまった真奈美は自責の念に囚われ続けた。

 12機の編隊、試験小隊を中心に右翼をジャール、左翼をランサーズの小隊で固めた編隊は、重光線級の出現を万が一に備えNOEで地面スレスレを飛行し続けた。
 やがて編隊は戦術マップにF地点と明記された圏内に入り、緩やかに跳躍ユニットの出力を落として主脚走行へと切り替える。
 真奈美も機体姿勢を調整しようとフットペダルに微細な力を掛けようとしたのだが、視界に端に何か光るもの見て顔を上げる。

「・・・・・・え?」
 
 小隊のトップ、静流が乗る機体のセンサーがチカチカと点滅している。
 その意味を直ぐには理解出来なかった真奈美だが、一瞬後にはそれが発光信号と気づき、即座に脳裏でその意味を読み取る。

(―――背部兵装担架のセーフティ解除・・・・・・逆噴射制動用意・・・・・・反転後、速やか噴射滑走・・・・・・10秒後・・・・・・・・・・・今ッ!!)

 先頭を行く弐型が地面に足を付けた瞬間、タイミングを見計らったかのように四機の不知火が逆噴射制動を掛けて速度を殺し反転する。
 アルゴス試験小隊やジャール隊の各機がその行為に気づくより速く、反転した四機の不知火は跳躍ユニットに火を入れ、砂煙と轟音を残して基地の方向へと飛び立って行った。

『何をしているランサー01ッ!! 』

 爆発的な加速に翻弄される中、ジャール隊の小隊指揮官の叫びがスピーカーから響き渡る。
 相変わらず通信にフィルターが掛かっているせいで声しか送られてこないが、小隊長である少女が憤慨しているのが声の調子から見て取れた。
 
『―――基地に忘れ物をしたのでな、我々は此処までにさせて貰う』

『なんだとッ!? 貴様達は試験小隊の護衛を放棄するつもりかッ!?』

 ご尤もな発言に、真奈美も内心で同意してしまう。
 自分達の任務である試験小隊護衛を放棄したのだから、これは明らかな命令違反だ。
 自分が必死になって堪えた私情、此処に来て静流がそれに流されて任務を放棄した・・・・・・とは考え難いが、突然の行動に納得出来ていないのは確かだ。

『―――問題ない、護衛なら代わりが来る予定だ』

『なに? ・・・・・・レーダーに反応? ・・・・・・この識別信号・・・・・・JN (日本帝国海軍) だとッ!?』

 少女の叫びと共に、戦術マップの端に四つの光点が表示された。
 何れも友軍を示す青。 そして少女が言った通り、不知火のIFFも光点を帝国軍所属機と表示している。
 
 機体識別は日本帝国海軍所属機、国連軍コードはTYPE98。
 日本での名は【流星】。
 不運な背景から生産数が少ない希少機として有名な機体だ。
 専用空母を持たない帝国海軍が保有する数少ない戦術機が四機、アルゴス試験小隊が辿り着いたF地点へ向かっている。

 一体何処から? そして何故このタイミングで?

 真奈美の脳裏にそんな疑問が幾つも湧き上がるも、答えは一つしか無い。
 静流と麻香、二人が何らかのやり取りをした結果がコレなのだろう。
 三人を残してきたこと、そして海軍へ護衛を引き継いでまで基地に戻る理由・・・・・・漸く真奈美も静流が描く思惑の一端を掴むことが出来たが、それでもどうしても腑に落ちない点が一つだけあった。
 流星が登場したタイミングが余りにも出来過ぎている。
 ブリーフィングの直後に静流が麻香へ何かを提案したとしても、僅か数時間の間にアヴァチャ湾に停泊している艦隊から此処までの距離を移動できる訳がない。
 ・・・・・・この状況が予想されていなければ起き得ない行動の速さに、真奈美は疑問を抱かずにはいられなかった。

『だとしてもだッ!! 全ての試験小隊は我が軍の指揮下に入るよう通達された筈だッ!! 勝手な真似は許さんッ!! 直ちに停止しろッ!!』

 脅し・・・・・・だとは思いたいが、ジャール隊のSU-27が此方をロックしたことを報せるウィンドウが網膜に表示される。
 既に互いの有効射程圏外だが、真奈美は背部兵装担架に搭載した突撃砲の照準を彼らに向ける。 あくまで手動で、銃口を向けていることを悟られないよう照準用レーダーは発信せずに。

『―――悪いが、我々は帝国軍だ。 国連軍でも、ましてやソ連軍でも無い。 しかも今は帝国海軍の命で動いている・・・・・・文句があるなら、今頃オホーツク海を北上中の艦隊に打診するんだな』

『―――なッ!!』

 珍しく強い口調で静流が言い放った言葉に、ジャール隊の小隊指揮官が息を飲むのが分かった。
 その間にも見る見るうちに彼我の距離は開き、やがてジャール隊の機体が目視出来ない地点を越える。 真奈美はホッと安堵の吐息を漏らし操縦桿のトリガーから指を離した 
 BETAに銃口を向けるのに躊躇いは無いが、相手が人間ならば話は別だ。
 人殺しをするために衛士になることを志願したわけじゃない、出来る事なら金輪際こんな真似はしたくなかった。

『ま、待ってくれ!! だったら俺達も今からアンタ達の旗下に入る!! 基地に残っている仲間を助けに行きたいんだッ!!』

 二人の会話に割り込む形で、ユウヤの懇願する声がスピーカーから聞こえてきた。
 彼の気持ちは痛いほど分かる・・・・・・分かるが、彼らと自分達とでは立場が違う。
 試験小隊のメンバーはただの衛士では無い。
 彼らは人類の剣たる戦術機を生み出せる技能を持った、言うなればマイスターたる存在だ。 そんな貴重な人材たる彼らが、必要以上のリスクを負う必要は無い。 基地要員の救助は、例え死んでも大局に影響を及ぼさない一兵士が行うのが望ましい。
 静流は一応のケジメをつけるために、HQが指定した退避地点までは護衛の任を続けたのだろう。 海軍の命、と言うのが嘘か誠かは分からないが、彼女が根拠のないハッタリをするとは思えない。
 ・・・・・・最初から彼女は、何らかの動きがあった場合基地に帰還するつもりだったのだろう。

『―――さっきからグチグチ五月蝿いのよアンタはッ!!』

 唐突にスピーカーから響いた怒声に、真奈美は自分が叱責されたのかと思いビクっと身体を震わせる。
 
『仲間を助けたいとかナマ言ってんじゃないわよ!! あんたブリーフィングであれだけ駄々こねたくせに、これ以上自分の我侭を通したいわけッ!?』

 ・・・・・・が、それは真奈美の気のせいだった。
 網膜にはツリ目で怒り狂っている栞と、その剣幕に圧され気味のユウヤのウィンドウが表示されている。 

『なッ!! そんな個人的感情で言ってるんじゃねえ!! スタッフ達に何かあれば、計画そのものに支障をきたすと考えて言ってるんだッ!! あんたらだって手は多いほうがいいだろう? 弐型の推進剤にはまだ余裕があるんだ!! 突撃砲だって撃てる!! だから同行させてくれッ!!』

『調整も済んでない機体で巫山戯たこと言ってんじゃないわよッ!! アンタらに何があったら誰が責任取ると思ってんのよッ!! ウダウダ言ってないでアンタらはそこで大人しく待ってなさいッ!!』

『指咥えて待ってるなんて出来るわ・・・・・・』

『うっさいッ!! こっちはねぇ、あんたの我侭なんか聞いてる暇無いのよッ!! 以上、交信終わりッ!!』

 尚も何かを言いたそうなユウヤの言葉を一方的に遮り、栞は通信をカットしてしまった。

『―――ったく、これ以上イライラさせるんじゃないわよ』

 ブツブツと呟く栞の声を聞きながら、真奈美は場違いと思いつつも嬉しくて仕方がなかった。
 ユウヤの言葉に怒って喚いてイラついて、それは全て基地に残してきた仲間が心配で焦っているせいだろう。
 それを露にする彼女の態度は・・・・・・ここ最近の何処か無理をした姿では無い。
 自分に正直で、周りの迷惑なんてコレっぽっちも考えていない、以前の彼女そのものだ。

(栞さん、素直じゃないなぁ)

 堪えきれずクスっと真奈美が苦笑を漏らしていると、栞の他にウィンドウが二つ網膜に立ち上がる。

『さて・・・・・・お前たち、後でMPに絞られる覚悟だけはしておけよ?』

 開口一番、ニヤリと口元を歪めた静流がそう言った。

『・・・・・・絞られるだけなら構いませんが、任務放棄で軍法会議直行・・・・・・って可能性も考えたほうが良さそうですね』

 久志が肩を竦め、呆れた口調で答える。

『うへぇ・・・・・・ 禁錮刑って暇なのよねぇ、やることなくて』

 ついさっきまで怒りで眉根を釣り上げていた栞が、うんざりした様子で何度も頭を振る。

「・・・・・・禁錮室に入ったことあるんですか?」

 真奈美は思わずそう質問してしまった。
 どこぞのグラサンが百里に赴任した直後、基地内での戦術機の無断使用で禁錮室にぶち込まれてはいたが・・・・・・彼女までそんな場所に入ったなんて初耳だった。

『ふふん・・・・・・ナ・イ・ショ。 いい女には秘密がつきものでしょ?』

 ウィンクして何時もの調子で答える栞に、三人は揃って苦笑を漏らす。
 先日までの態度は何処にいったんだと、此処に隆がいれば間違いなくそう叫んだだろう。
 無論、三人もそう言いたかったが、現金な彼女の性格に一番振り回されたのは隆だ。 ソレを言う権利は隆にあるだろう。 三人は申し合わせたわけでもないのに同じ考えに至り、揃って苦笑してしまったのだ。

『ふん、図太い部下を持てた私は果報者だな。 では、残りの連中の様子でも見に行くとするか・・・・・・データリンクが機能しない以上、基地の状況は行ってみなければ分からん。 もぬけの殻ならいいが、万が一連中が残っていれば何をしていようと強制的に引っ張ってこい・・・・・・いいな?』

『『「了解ッ!!」』』

『よし。 03は私と一緒に滑走路へ、06、07は格納庫へ迎え。 推進剤の消費を考え、BETAとの交戦は原則禁止とする。 いいか? 生き残ることだけを考えろよ・・・・・・此処は私たちが死ぬ場所では決して無いからな』

『―――下手に部下に死なれると、隊長の指揮管理能力が問われますからね』

『―――桐島、貴様の言うとおりだよ。 だが私は百里には全員で帰りたいんだ・・・・・・欧州か此処まで欠けること無く来た、だから此処に来ての欠員など・・・・・・私は絶対に許さんからな』

『―――どうしたんですか隊長? 珍しく塩らしいこと言っちゃって・・・・・・』

「そうですよ。 作戦前にそう言った弱気な言葉は言うもんじゃないって隆さんが言ってましたよ・・・・・・フラグでしったけ? 言うと縁起が悪い言葉があるとかなんとか」

『―――そうだな。 ならば言葉を変えるとしよう・・・・・・お前たち、いつも通りそつ無くこなせ。 私からは以上だ』

 その言語を最後に静流のウィンドウが網膜から消える。
 珍しい彼女の態度を怪訝に思うも、真奈美は基地に残された仲間の安否を考え、不知火の機動に集中することにした。







 補給基地内 兵員宿舎付近

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 つんざくような葵の悲鳴が響く中、隆はブレーキペダルを勢いよく踏み込んだ。
 ガクンっと減速Gによって車重のあるLAVの車体が前のめりに傾き、アスファルトに接していた後輪の接地感が希薄になる。
 隆はシート越しに伝わってくるその感覚を捉え、ステアリングを右に切ってサイドブレーキを引く。 途端、盛大なスキール音とタイヤ痕をアスファルトに残しながらLAVは横滑りし、前方を塞いでいた輸送車の列を掠めてやり過ごして行った。
 輸送車のステアリングを握っていた隊員は猛烈な勢いで滑りこんでくるLAVとの激突に備えて身構えていたのだが、姿勢を回復させ何事も無かったかのように走り去って行ったLAVの姿に唖然とした顔を浮かべてしまう。

「―――まだ洋平と連絡は取れないのかッ!?」

 サイドミラーでそんな彼らの表情を一瞥しながら、隆は助手席に座る葵へそう質問する。

「え、ええ、無線はさっきからノイズばかりで・・・・・・ひぃッ!!」

 トラックとトラックの間を通り抜けた瞬間、押し殺した悲鳴を漏らして身体を縮こませる葵。
 さっきから幾度と無く見せる彼女の姿に呆れつつ、隆は小刻みにステアリングを切って鈍重なLAVを疾走させる。

「くそッ!! なんなんだよ一体ッ!!」

 横Gで安定しない身体をドアに押し付けた膝で保持し、隆は苛立気に叫んだ。

 突然のBETA出現。
 その後一方的に通達された基地放棄。
 何故か繋がらない無線。
 そして・・・・・・よく知る女性の存在。

 一辺に色々なことが起き過ぎて、正直隆の頭はパンク寸前だった。

 格納庫に向かわないと。 葵がそう言ってこなければ、あそこで何時までも思考停止していたに違いない。

(―――でも麻香さんだった・・・・・・間違いなくあの人は麻香さんだったッ!!)

 だが、どんなに冷静になろうと心がけても、先ほど顔を合わせた女性の存在はそんな努力を容易く崩してしまう。
 彼女は麻香だ、麻美の実姉たる中村麻香だ。 
 麻美とよく似た彼女の顔を間違える筈がない・・・・・・他人の空似など絶対に有り得ない。
 麻香がいると言うことは・・・・・・この世界にも麻美がいるに違い無い。
 当たり前のことだが、この世界にも自分が愛した女性がいるのだ。
 この世界の彼女達がどうなっているのかを知るのが怖くて、必死に意識しないよう心がけてきたと言うのに・・・・・・まさか向こうから現れるなんて誰が予想出来ただろうか?

(こんな場所で麻香さんに会えるなんてな・・・・・・ ん? さっき・・・・・・篁中尉は麻香さんのことなんて言った? 聞き間違えじゃ無ければ、かな・・・)

 そう何かに気付きかけた隆だが、突然響き渡った自走砲部隊が吐き出す轟音で我に返り、轍に取られるステアリング操作に集中する。
 基地に残してある予備兵力まで投入・・・・・・しかも射程が30㎞にも満たない榴弾を形振り構わず砲撃していると言うことは、BETAの出現位置は思った以上に基地に近いのだろう。
 そんな自走砲部隊を脇目に、基地の西ゲートに向かって突き進む戦車隊の隙間を縫うようにして走り抜けると、

「いやぁっぁぁぁあ!! もう私だめぇぇぇ!!」

「葵、喚くな!! 気が散る!!」

 隆が葵に向けて叫ぶと、彼女は身体を固定するためにダッシュボードに足を乗せ、紅潮した顔でキッと隆を睨み付けた。

「喚きたくもなるわよッ!! 基地内でこんなにスピードだして!! 死ぬ気!? 隆さん正気なのッ!?」

「俺がそんなヘマするかッ!! ロールがちょっくらキツイがこの程度・・・・・・ぬぉッ!!」

 突然格納庫の影から現れた小型トラックを辛くも避ける。
 が、車重のある車体は慣性の力に従い大きく右に傾く。 地面に車体を縫い付けるかのように、ストロークのあるサスが大きく沈み込むも、姿勢を崩した車体はその許容範囲をあっさりと越えてしまう。

「なんとぉぉぉぉぉッ!!」

 LAVがスピン状態に陥る寸前、隆は意図的にギアをニュートラルに入れてサイドブレーキを引いた。

「ひやぁぁぁぁっぁぁあ!!」

 葵の悲鳴をBGMにフロントガラス越しの風景が横に流れ・・・・・・車体は横滑りしながら一回転した後、何事も無かったかのように走り続ける。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・ 私、知らなかった。 隆さんって運転上手いのね・・・・・・ で、でも・・・・・・うッ・・・・・・なんか気持ち悪くなってきた」

「おいおい・・・・・・戦術機の機動に比べればどうってことないだろう?」

「それとはベクトルが違うわよッ!! ハンドル握ってるのが隆さんよッ!! 信用しろってのが無理な話じゃないッ!!」

 顔を真赤にして何やら失礼なことを喚き散らす葵なのだが、隆は半目でそれを聞き流しつつ、先程から気になっていたことを彼女に指摘した。

「―――どうでもいいが、その格好だと見えるぞ」

「・・・・・・何が?」

 揺れる車体の中、キョトンとした顔を見せる葵。
 隆はそんな彼女のある一点を無言で指差す。
 今の葵の格好は、常日頃から良家の淑女たらんとする普段の彼女であれば絶対にしないであろう態勢を取っている。 なんたって椅子に座りながらダッシュボードに足を当てているものだから、タイトスカートの裾が腰までめくれ上がってしまい、彼女の長い足を包む黒ストッキングが腰元まで露になってしまっているのだ。
 しかも、黒地の奥にうっすらと透けて見える白いラインは・・・・・・言うまでもなくアレだろう。

「ちょ、ちょっとそんなトコ見ないでッ!! きゃぁぁぁ!!」

 ワタワタと焦った様子で必死にスカートを降ろそうとする葵だが、再び隆が横合いから出てきた車両を避けるためにステアリングを切ったお陰でますます酷い状況に陥っていった。

「だ、駄目ッ!! 隆さんこっち見ないで・・・・・・ああぁぁもう!! このベルト、なんでこんなトコに食い込むのよッ!!」

(・・・・・・何やってるんだか)

 下半身丸出しにしてベルト相手に悪戦苦闘している葵を横目に、隆はチラチラと何度もルームミラーを確認して後を気にしていた。
 すれ違う車両は基地から脱出するものばかりで、少なくとも自分達を追いかけてくるような車は今の処無い。
 静流から示唆された話も杞憂で終わるかと、隆が安堵した瞬間、

(―――来たかッ!?)

 バックミラーに突如として現れた一台の装甲車。
 その姿を見て隆は確信する。 基地放棄が決定している最中に自分達を追いかけてくる物好きなど・・・・・・余程の理由が無ければ居るはずがない。
 
『そこの帝国軍所属の車両、直ちに停車しろッ!! コード202が聞こえないのかッ!? 』

 装甲車は速度を上げ、LAVと並走しながら至極真っ当な警告を伝えてくるも、隆はそれを無視してアクセルを踏み続ける。

「た、隆さん、止まったほうがいいわよ」

「止まって、そのまま車ごと吹っ飛ばされてもか?」

「―――隊長が言ってたこと、本気で信じてるの?」

 不安気に聞いてくる葵に隆は無言で頷いた。
 確かに荒唐無稽な話ではあるが、あの静流が示唆した話を一蹴出来るほど、隆は軍事に詳しくは無い。
 表向きは壱型丙の不調が原因で基地待機を命じられた自分と葵、そして洋平。 それを指示した静流は三人に一つの可能性を伝えて出撃して行った。
 抽象的な表現であり、しかもそれに明確な確証は無い。 現に葵は静流の言葉に半信半疑のようだが、こうして追われている以上、その可能性を真っ向から否定するのは安直過ぎる。

(―――とはいえ幾ら静流さんでも、流石にBETAは予想外だっただろうな)

 停止勧告を無視して走り続けると、並走していた装甲車は速度を落としLAVの後ろへと回りこんだ。

『これ以上警告に応じない場合は実力行使に訴えるッ!! 停車し、こちらの指示に従えッ!!』

 苛立ち気な声の後、数秒の間をおいたかと思った瞬間、金属が弾ける嫌な音が室内に響き渡った。

「う、撃ってきたッ!? 本気なのあの人達ッ!?」

「マジなんだろうなぁ!! きっとッ!!」

 言って隆はハンドルを大きく左に切って、格納庫の間にある連絡路へ車体を滑りこませた。
 7.62㎜弾程度でLAVの装甲板を撃ち抜けるとは思えないが、追いかけてくる装甲車は12.7㎜の重機関銃も装備している。 流石にその口径の砲弾を使われれば、LAVの装甲が耐えられる保証は無い。 
 今はまだ牽制と警告がいり混じっているのか、向こうの射手もソレを使う気は無い様子だが、このまま逃げ続ければ本当の意味で攻撃される可能性があった。

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
 
 装甲が銃弾を弾く音に葵が悲鳴を上げる。
 隆だって悲鳴を上げたかった。 出来る事なら直ぐに止まりたかった。
 BETAと戦場で幾度と無く戦った隆だが、人間に銃を向けられることなどコレが初めてだ。
 所詮彼は一介のサラリーマン、明確な意志の元で銃を向けられて正気でいられる訳がない。
 
「―――ッ!!」

 漏れそうになる悲鳴を押し殺し、鳴り響く金属音から耳を背け、隆は必死に逃げ続ける。
 止まれば楽になれる、そんな考えが脳裏に浮かぶが、助手席で身体を震わせている葵を見て即座に馬鹿な考えと振り払う。
 警告の後とは言え、他国に所属する車両へ発砲してきた連中だ。 指示に従い、停車した後・・・・・・どんな扱いを受けるのか分かったもんじゃない!!

(―――くそッ!! このままじゃジリ貧だッ!!)

 車体を左右に振りながら隆は内心で弱音を吐き出す。
 小回りはコチラがきくかもしれないが、地の利は向こうにある。 しかも今は一台だが、援軍が現れれば逃げ切る可能性は低くなる。
 既に幾度と無く誘導路を横切り、様々な車両やコンテナを避け続けたお陰で、自分が何処を走っているか隆には分からなくなっていた。 目的地は機体が格納されている19番ハンガーなのに、ソレがどの方向にあるのかすら分からない。
 途方に暮れながらルームミラーに視線を向ければ、何時の間にか二台目の装甲車が映っていた。
 最悪な予想が的中したと確信した瞬間、視界の端を何かが通りすぎて行く。
 気のせいかと思いつつサイドミラーに目を向ければ、炉端の砂利をまき散らしながら疾走するバイクの姿がソコに映っていた。
 何だ? と隆が疑問に思うより速く、バイクに乗る人物はLAVを追いかける一台の装甲車に向けて何かを撃ち出した。
 煙の尾を引いて突き進んだソレは、装甲車のボンネットに触れた瞬間・・・・・・爆発する。

「―――んなッ!?」

 ミラーに映った光景に目を剥く隆。
 撃ち出されたのはグレネードの類だろうか? しかし衝撃と熱で対象にダメージを与えるグレネードでは、生身の人間なら兎も角、装甲車の装甲は破れない。

 ―――破れないが、搭乗者にショックを与えることは出来る。

 流石に自分達が攻撃を受けるとは思っていなかったのか、グレネードの直撃を受けた装甲車はスピードを落とし、格納庫の横に積まれていた何らかのコンテナに接触して動きを止めた。
 その様子を見て、残る一台も明らかに動揺した挙動を見せるも、その直後に容赦なく撃ち出された二発目のグレネードによって一台目と同じ運命を辿っていった。
 二台の装甲車を瞬く間に片付けたバイクはUターンをして隆達が乗るLAVに追いつき、横並びに並走し始める。
 そこで隆は初めてバイクに跨る人物の姿を確認する。
 黒いコートを翻し、ヘルメットも付けずにバイクを操る黒髪の男。
 知らない男だ。 少なくとも隆が知っている人物では無い。
 男を警戒し、車体を遠ざけようとする隆だが、

「―――黒さん?」

 葵が呆然とした様子で呟くのを耳にして、隆は内心の警戒レベルを少し落とした。

「葵、知り合いか?」

「ええ、第参開発局のメンバーの一人よ。 あまり顔を合わせた機会は無かったけど・・・・・・間違いないわ」

「・・・・・・そう・・・か」

 葵の言葉を聞き、隆はステアリングを握り締めていた手の力を抜いた。
 小刻みに震える自分の指を見て、力無い笑みを浮かべる隆。 驚異が去ったことで緊張感が抜けたのか、今更になって彼の身体は恐怖で竦み始めていた。

(この程度で・・・・・・我ながら情けないもんだ)

「隆さん、見て」
 
 葵に言われて視線を向ければ、黒が片手を上げて何かを伝えようとしていた。

(―――付いて来いってことか?)

 何処に案内されるかは分からないが、当ても無く基地内を彷徨うよりはマシと判断した隆は、頷いてその指示に従った。







 基地内某所 

 ソ連軍警備兵の一団は二つの大型コンテナの前で蹈鞴を踏んでいた。
 数日前、補給物資に紛れて基地に搬入されたソレは、資材置き場の影に隠れるように置かれて今まで放置されていた。 コンテナの表面には一切何も書かれておらず、窓があるわけでもないソレの中身が何なのか、外からでは一切窺い知ることは出来ない。
 この明らかに不信なコンテナが搬入される際、基地の警備部隊は当然の職務として内部のチェックを行おうとしたのだが、上から一切関わるなと突然通達されたお陰で碌なチェックもせずに基地へ搬入してしまっていた。
 本来ならばその指示を怪訝に思うべきなのだが、試作99型砲による凱旋祝賀一色の基地内の雰囲気は彼らに気の緩みを与え、余計な仕事をせずに済んだと喜ばせてしまったのだ。
 だが現在、基地はコード202が発令され総員退去が決定している。
 規定に従い基地に残る人員に退去を促していた彼らは、このコンテナの周りに人影が集まっているとの情報を聞いて駆け付けたのだが、

「警報が聞こえないのかッ!? もうすぐ此処にはBETAがくるんだッ!! 死にたくなかったら速く逃げろッ!!」

「・・・・・・」

 日本人らしきスタッフに声を掛けるも、彼らは一切取り合おうとしない。
 その反応に苛立ちがつのり、警備部隊の指揮官は彼らを見捨てて脱出するのも已む無しと思うも、相手が例え他国の人間とて職務を放棄し見捨てて逃げようものなら・・・・・・後で政治将校のチェックリストに名を連ねる可能性がある。
 だからこんな場所で蹈鞴を踏んでいるわけにはいかない。 この場所の他にも同じコンテナが設置された場所が基地内には後『三ヶ所』もあるのだ。
 BETAへの恐怖と、自身の保身と、二重の楔に囚われた彼らは必死に退避する旨を告げるのだが、彼らは一切耳を貸さずに何らかの作業を続けていた。

「―――いいのか?」

 喚き散らすソ連軍警備部隊を脇目に、孝之は機体整備を担当していた整備主任に問うた。

「構いません。 それに中尉の搭乗を確認した後、自分達もすぐさま脱出しますのでお気遣い無く・・・・・・ 先程も言いましたが、今回はデバイスが搭乗しておりませんので仕様はB装備で調整してあります。 合わせて跳躍ユニットも換装しましたので通常の戦術機と同じ機動も可能です」

 整備主任の説明を頷いて聞く孝之なのだが、含まれた言葉に胸がチクリと痛んだ。
 デバイス・・・・・・彼がそう呼ぶ代物が、あの白い少女であることは孝之も知っている。
 人と同じ見た目、中身なのに、一部からは人として扱われることの無い少女に同情してしまうのは、それが他人事だと思っていないせいだろう。

「では鳴海中尉、お気をつけて。 この機体も・・・・・・そして中尉も、部長の計画には欠かすことの出来ない存在ですので、無事の帰還をお待ちしております」

「分かってるさ・・・・・・退避、早くしろよ」

 そう答え、孝之は外部から完全に隔絶されたコンテナの中へ入る。
 彼の心境は複雑だった、マユをデバイスと言った男が発した先ほどの言葉・・・・・・欠かすことの出来ない存在。
 それは人としての存在では無い。 彼が言った言葉の本当の意味は、G弾の被験者として貴重なモルモットをこんな場所で失いたくない・・・・・・有り体言えばそんな処だろう。

(―――ったく、早いとこ水月や遙がいる横浜に帰りたいよ)

 大きく肩を竦めた孝之は、着慣れない強化装備に辟易しながらタラップへ上る手摺に手を伸ばした。

「孝之ッ!!」

 しかし唐突に名を叫ばれ背後を振り向くと、強化装備に着替えた慎二が走って追いかけてくる姿が見えた。

「―――よう慎二、よく間に合ったな?」

 肩で息をする悪友へ苦笑を送りつつ孝之はそう告げた。
 彼もまた強化装備を身に付けていた、但し自分とは違う通常の衛士強化装備だ。

「はぁ・・・はぁ・・・突撃癖のあるお前を・・・・・・一人で行かせられるかよ。 俺はな、奈華宮大尉から自分の代わりにお前の手綱を握ってろって言われただぜ?」

 息を整えた慎二はそう言ってニヤリと笑う。

「よく言うぜ、何時も俺に付いてくるので精一杯の奴が」

「だからお前は気兼ねなく突っ込める・・・・・・そうだろ?」

 皮肉交じりの応酬に二人は揃って笑みを浮かべる。
 数奇な運命を歩む者同士の連帯感、もしくは単に訓練校からの付き合いで気心が知れた相手だからか、二人の関係は悪友のソレだった。

 ―――そして二人は、申し合わせたかのように目の前に横たわる機体に視線を向けた。

 整備担架に固定されたその機体の全容を、二人の位置からでは把握することは出来ない。
 だがその機体を形作る装甲の色は見ることが出来る。
 最低限の照明しか設置されていないコンテナの中にあっても、純白に煌く白き装甲板を。
 孝之が着る漆黒の強化装備と相反する色を持った白亜の戦術機、ソレが今から彼が乗り込む機体だ。
 光菱が第参開発局に渡した機体を彼らの持つ技術で改良を施し、通常の戦術機とは一線を越える代物になってしまった戦術機。

 ―――白百合。 

 それは正式名称では無い。 第参開発局のメンバーが勝手に呼ぶ便宜上の呼び名だ。
 試験以外で運用された機会は此れ迄にたったの二回。 そしてその何れも搭乗したのはマユであり、彼女以外の人物を乗せて機動するのは・・・・・・今回が初めてだった。

「―――死ぬなよ、孝之。 あの二人のためにも」

 噛み締めるように呟いた慎二の言葉に、孝之は深く頷いて答えた。
 無論、こんな場所で死ぬつもりは無い。
 横浜にいる二人の顔をもう一度見るまで死ねない、死ぬわけにはいか無い。

 だが、どうしてそうまでして彼女達との再会を望むのか、明確な理由に孝之は気づいてはいない。

 同期だったからか、
 仲間だったからか、
 競い合うライバルだったからか、
 
 ―――それとももっと別の何かか、

「―――ああ、お前もな」

 それは二人に再会した時に確認すればいいだろう。
 今はただ、目の前の悪友と生き残ることだけを考え、孝之は白百合に搭乗すべくタラップを上り始めた。
 白百合の隣には慎二が乗る壱型丙も固定されている。
 慎二も足早にそちらへ向かおうとするも、

「秘匿通信? ・・・・・・ソ連側のコードで回線が繋がっている?」

 何かに気付いた彼の声が、薄暗いコンテナ内部に響き渡った。







 補給基地 第19番格納庫付近

 黒が駆るバイクに先導されLAVで走り続けると、漸く自分達が目指していた格納庫が見えてきた。
 ここまで来ると、周囲にすれ違う車両の姿は何処にも見えなかった。 格納庫群の中でも一番西側に位置する区画なので、何処よりも速く退避が行われたのだろう。

「―――洋平ッ!! 何処にいるんだッ!?」

 格納庫の出入り口にLAVを横付けし、車から飛び出した隆は叫びながら内部へ足を踏み入れた。
 だが日本から来た整備員や光菱の人間で溢れていた格納庫の内部には誰一人おらず、不気味なほどに静まり返っていた。 12機もある整備担架にも空きが目立つため、殊更に閑散とした雰囲気を作り出している。
 静寂が支配する内部の様子に、隆の脳裏に最悪な想像が幾つも過ぎる。
 先ほど自分達を追い掛けてきた連中、それと同じ考えを持った人間に此処にいた人たちが襲われたのではないかと考えてしまう。
 床や周囲に人が争った形跡は無いので、警報を聞いて退避したと思いたいのだが・・・・・・

「―――隆さん・・・・・・ もしかして」

 葵も同じ想像に至ったのか、顔色を真っ青にして周囲の様子を伺っていた。
 整備を行っていた整備員の中には光菱から出向してきた人間もいる。 軍属でも無い彼らに何かあれば、本国で彼らの帰りを待っている人になんと伝えればいいのか、そんな葵の気持が痛いほど隆には分かった。

「―――ッ!! 誰か、誰かいないのかッ!?」

 消沈した葵の姿を見ていられなくなった隆は、声を張り上げて奥へ足を進める・・・・・・と、

「―――なんやお前らか、随分と遅いご到着やな」

 ひょっこりと、近くのコンソールの陰から洋平が顔を見せた。

「無事・・・・・・だったか。 他の皆は?」

 その姿に胸を撫で下ろした隆は、そう言って他に誰かいないのかと周囲を見回す。

「他の連中ならとっくに退避させたわ。 ソ連さんがエライ親切でなぁ・・・・・・ 警報鳴った直後に輸送ヘリで迎えに来たんや」

 言葉とは裏腹に、不満そうに鼻を鳴らしながら答える洋平なのだが、その回答を聞いた葵はペタリと冷たい床に座り込んでしまう。

「良かった・・・・・・ 皆、無事なのね」

 心から安堵したかのように呟く葵、隆は彼女の細い肩をポンっと叩き洋平に質問した。

「洋平、お前は一緒に逃げなかったのか?」

「そうしたかったんやけどなぁ、三澤隊長からアレコレ言われてたし・・・・・・何よりお前らがきっと戻ってくると思ってな。 ・・・・・・誰も残ってなかったら寂しいやろ?」

「はッ、ぬかしてろ。 けど無事で何よりだ・・・・・・てっきりソ連軍の連中と一悶着ぐらいはあったと思ってたからな」

 その一言に思い当たる節があったのか、洋平は忌々しげに眉尻を上げる。

「そうやそうや、なんなんやアイツら? 胸くそ悪い高圧的な態度で退避しろって言ってきたわ。 わいは残るって言ってるのに耳を貸そうとせぇへんしなぁ、しかも緊急時だから不知火で迎撃にあたれとか寝ぼけたこと言ってくる始末やし・・・・・・ まぁそんな物騒な雰囲気で凄まれたんは確かやけど、コレ見せたら連中スゴスゴと逃げ出して行ったわ」

 そう言って洋平は近くに停車していた輸送車の後部ドアを開ける。
 輸送車の車体側面にはJNの二文字、帝国海軍が保有している車両だ。
 先んじて海軍の輸送部隊は基地から撤退したはずなのに、それが何故かまだ一台残っている。
 隆が疑問に思いながらも輸送車の空いた後部ドアから中を覗くと、そこには大量の重火器が所狭しと並んでいた。

「海軍さん、帰り際にこの一台を置いてってな、どうやら隊長が話しを通しといてくれたらしいんや」

 隆は洋平の言葉に頷きながら、黒光りする銃火器を呆然とした面持ちで眺め続ける。
 単純な小銃もあれば、分隊支援火器である重機関銃もある。 他には、手榴弾を含む各種爆薬、果てはSMAW(対戦車ロケット)まで用意されているのを見て、頼もしいはずの武器なのに何故か言いようのない不安を感じてしまう。

(静流さん・・・・・・貴女は一体何と戦わせる気だったんだ?)

 これだけの武器があればBETAの小型種程度ならば相手に出来るだろうが、果たして彼女はそう考えて海軍にコレを用意させたのか。
 BETAの出現だけは誰にも予想出来ない。
 念には念を、ならばいいが・・・・・彼女は必要とあれば自分達にコレを 【人間】 に向けて使わせる気だったのだろうか?
 確かにソ連軍の動向には注意しろと言われ、必要とあればいかなる自衛の手段を用いても構わんと言われた。
 だが・・・・・・人に銃を向けるなど、人に危害を加える覚悟など、自分にあるわけが無い。

「―――川井中尉、一機用意できたわ」

 思案に耽る隆の耳に、女性の声が届く。

「ベールレイ中尉? それに七瀬少尉も・・・・・・君達まで残ってたのか?」

 声が聞こえたほうへ隆が視線を向けると、担架に固定された不知火の足元、そこに設置されたコンソールで作業を続ける二人の女性の姿があった。

「ええ、気がついたら川井中尉に機体の機動準備を頼まれてね」

「よく言うわ、人が逃げろって言ったをきかんかったくせに。 隆、その姉ちゃん見た目に反して随分と頑固やで」

 ニッコリと笑みを浮かべて答えるミースをジト目で見る洋平。
 そんな呑気な二人の姿に安堵の吐息を漏らしていると、何時の間にかバイクから降りた黒がミースや凛の元へ近づいていく。

「黒さん、どうして此処に? 確か部長から要件を頼まれてたはずじゃ・・・」

「それはもう済んだ。 二人とも、部長からのメッセージだ。 『穏便に済ませられるなら、それにこしたことは無い』 意味は分かるな?」

 凛の言葉を遮り、黒は隆たちには聞き取れない声音で二人に声を掛けた。

「―――ええ、でもご覧の通り。 不確定要素だらけで予定通りには進みそうにないわ」

「―――分かった。 なら後は鳴海と平に任せ、俺達は基地から離脱するぞ」

「―――そうしたいのは山々なんだけど・・・・・・ね」

 答えながらミースが視線を上げる。
 その先にあるのは胸部ハッチが開いたままの壱型丙。

『―――社中尉、お戻りをお待ちしておりました。 このまま置いて行かれるのではないかと、不安に思っていましたので』

「なんだよ、こんな時だけ敬語かお前は? まぁ俺としては置いて行っても構わなかったんだが・・・・・・」

 頭上から響く声にうんざりした様子で答えた隆は、ヨロヨロと立ち上がる葵を一瞥して肩を竦める。

「―――そうもいかないからな。 アシュ公、壱型丙との接続はやはり無理か?」

『―――チェック。 ・・・・・・エラー、起動出来ません』

「駄目か。 さて・・・・・・どうしたもんかね」

 Asura-daの返答に隆が腕を組んで悩み始めると同時、格納庫の外からスキール音が聞こえてくる。
 見れば隣のハンガーの前に駐車した高機動車から唯依が降りてくる所だった。

「皆さんッ!? まだ残ってたのですかッ!?」

 こちらに気付いた唯依が駆け寄ってくるも、彼女の視線は隣のハンガーに釘付けた。
 説明されずとも、彼女が此処に現れた理由が試作99型砲であることぐらいは分かる。
 だが自分達よりも先に此処に向かったはずの彼女の到着が遅かったことに疑問が残る。 何処かで別の案件を処理していたのか、それとも自分達と同じように追われでもしていたのだろうか?

「社中尉、試作99型砲のスタッフの姿が見え無いのですが、全員先に退避したのですかッ!?」

 なんてこちらの心配を他所に血相を変えて詰め寄ってくる唯依。 その剣幕に圧され、隆は後ずさりながら洋平を指さして答えた。

「す、すまない篁中尉、詳しい事情はそこの洋平に聞いてくれ」
 
 彼女の心中を察しながらも隆はそう言い切って周囲を見回す
 格納庫の外から聞こえてくる重低音は次第に大きくなってきている。 それは紛れも無くBETAが接近している証拠だろう。

(どうする・・・・・・ベストな回答を考えろ)

 唯依は試作99型砲を守りたい。
 葵はAsura-daを守りたい。
 だが使える手段はそう多く無い。
 それに時間もそれ程残されちゃいない。
 何かを守るために何かを失う。
 失う何かを少なくするために、隆は思案を続ける。

 ―――そして自分達の立場と、守るべき物の優先度を考えたすえ・・・・・・

「機動準備が終わった不知火で、試作99型砲の運搬を行うべきだな」

「隆さん!! それじゃAsura-daが・・・」

 言いかけた葵を手で制し、隆は言葉を続ける。

「ベールレイ中尉、残り一機の不知火は?」

「機体整備は整備班の人たちが避難する前に終わらせてくれたから、後は管制ユニットさえ搭載すれば行けるわ」

「よし、だったら俺達はもう一機の不知火を機動させてAsura-daを運ぶ・・・・・・君たちは隣で篁中尉の作業を手伝ってくれ。 こちらの進捗状況に関わらず、危険と判断したらそのまま脱出してくれて構わない」

「待つんや隆。 不知火を使わせるにしても、わいらがこっちの作業してたら誰が乗るんや?」

 唯依への説明を終えた洋平が聞いてきた質問に、隆はその場にいた全員を眺め・・・・・・一人の少女に視線で止めた。

「―――七瀬少尉、君が不知火に乗るんだ」

「なッ!? し、しかし私はシミュレーターでしか機体の搭乗経験が・・・・・・」

「非常時だ、悪いがやってくれ。 ―――篁中尉、彼女たちが試作99型砲の運搬に手を貸す。 本当なら俺達もそうしなければならないんだろうが・・・・・・こちらにも事情があってね」

「はい、ある程度は城崎中尉から聞いております。 しかし・・・・・・宜しいのですか?」

「宜しいも何も、それはこっちの台詞だよ・・・・・・後で職務放棄したとか上に告げ口しないでくれよな?」

 隆は苦笑しながら唯依にそう告げる。
 彼女は一瞬複雑な表情を浮かべはしたものの、直ぐざま隣の19番ハンガーへ向けて走り出して行った。
 責務と情、その狭間で揺れた彼女の顔に隆が苦笑を漏らしていると、

「珍しいもんやな・・・・・・お前さんが率先して指示を出すなんて」

 シミジミと洋平がそう呟いた。
 確かに彼の言うとおりだろう。 今まで隆はこのような状況の中では何も発言せずに、周囲の発言を待ってその行動に従っていた。
 百里やナルサルスアークで起きた事件は例外中の例外だ。
 洋平が知る限り、彼は周囲に指示を出すような決断をしたことは余り無い。
 決断するような立場にいなかった・・・・・・と言うほうが正しいのかもしれないが。

「―――黙って流されてるだけじゃ、何時まで経っても成長しないからな」

 肩を竦めてそう答える隆。
 洋平はそんな隆の態度に 「さよか」 とぶっきらぼうな返事を返す。
 しかし彼としては、隆の心境の変化は寧ろ好ましいものであった。
 絶えず一歩引いた場所から周囲を見まわし、それでいて何かあれば躊躇いなく踏み込んでくる。 だがそれは日常でのことであり、軍事が絡むと酷く消極的で自分から率先して動く気配が無くなる。
 それが洋平の抱く社隆と言う男の人物像なのだが、此処に来て僅かながらも前に出た隆の態度には期待せざる得なかった。
 20代も半ばをから過ぎての成長。 人からは遅咲きと言われるかもしれないが、ここで一皮向ければ・・・・・・隆はきっと上に立つに相応しい資質を得るだろう。

「まぁええわ。 じゃ、わいらはわいらの仕事をするとしますか? 社小隊長殿?」

「止めろ、お前にそんなこと言われると身体中がむず痒くなる。 葵、システムの立ち上げはお前に任せる。 俺と洋平は管制ユニットの準備だな・・・・・・ フォークリフトか、乗り方忘れてないといいが」

「大丈夫よ隆さんなら・・・・・・ タイヤが付いてれば手足見たいに動かせるわよ」

「そりゃ誤解だ。 洋平も知っての通り二輪は全く駄目だからな・・・・・・ それは兎も角、フォークリフトなんて前にバイトで乗った以来だから・・・・・・あ、いや、なんでも無い。 さっさと準備するぞッ!!」

 わざとらしく激を飛ばした隆の背後で、凛が搭乗した不知火がゆっくりと格納庫から出て行く。
 本人は自身が無さそうだったが、危なげ無く格納庫のゲートを潜る不知火の姿を見るに問題はなさそうだ。

『―――社中尉、一つ宜しいでしょうか?』

 準備を始めようかと、歩き出した隆の頭上から声が響く。 隆は顔を上げ、管制ユニットが解放された状態の壱型丙に目を向けた。

「なんだ?」

『この状況の中、私を回収するプランを作成頂きありがとうございます。 ・・・・・・ですが、この機体はどうするつもりなのでしょうか?』

「置いていくさ。 使えない機体なんだから当然だろう?」

 Asura-daの質問に隆は迷うこと無く答えた。
 壱型丙に今から別の管制ユニットを搭載し、出撃出来るよう調整を施す時間などある訳がない。 
 貴重な機体を残して行かねばならいのは心残りだが、打つ手が無い以上仕方のないことだった。

『―――そうですか、とても残念です』

 機械音声に感情は無い。
 だと言うのにも、Asura-daが答えた声は・・・・・・落胆した人間のソレだった。






 コリャーク自治管区 ウスチ=ボリシェレツク地区

「―――【ウィッチーズ】、試験小隊と合流した模様です」

「―――そう。 すると三澤大尉の部隊は?」

「基地に引き返したとの報告が・・・・・・ 妙高から送られてきた監視衛星のデータでは、既に相当数のBETAが基地に侵入している模様です」

 部下の言葉に麻香はもう一度「そう」とだけ答え、既に見えなくなったц04前線補給基地が存在する方角へ視線を向けた。
 彼女の部下はそんな麻香の態度に戸惑っている様子ではあったが、報告すべき内容を続ける。

「―――ц03基地からの迎撃部隊の出撃を確認しました。 それ以外にも、エリゾヴォ地区に展開していた部隊にも収集が掛けられた様子です・・・・・・例え基地がBETAに占領されても、直ぐに取り返せる戦力が整いつつあります」

「―――こうなることを予想していた。 で、なければ有り得ない布陣ね」

 麻香の言葉に情報士官は頷きかけ・・・・・・首を横に振った。

「ソ連軍はBETAの行動を予測出来る術を持っている・・・・・・大尉はそうお考えなんでしょうか?」

 それは有り得ない事実だ。
 確かにハイヴ周辺に群れるBETA群の個体数から、ある程度の進行時期の予想は出来る。 だがそれはある程度であり、明確な時間までは指定出来無い。
 その瞬間まで部隊を待機させるにしても、それに関わるコストを考えれば現実的な手段とは言えないだろう。

「予測・・・・・・じゃなく、現れるのを待っていた。 そんな処でしょうね」

「・・・・・・ソ連なら、確かにやりかねませんが」

 コスト・・・・・・少なくとも人的なコストであれば、ソ連は如何様にも捻出出来るだろう。
 先程の考えに自信を持てなくなった彼は、変わらず窓の外を眺める上司の言葉を待った。

「―――妙高の現在位置は?」

 だが聞かれた言葉は、彼が望むものとは別の言葉だった。
 それでも彼は不満を漏らすこと無く、麻香の質問に答える。

「現在、オクチャブリスキーの南西20㎞を、時速14ノットで北上中・・・・・・既にц04基地は有効射程圏内です」

「貴方は艦長が撃つと思う? 」

「まさか・・・・・・BETAが襲撃中とは言え他国の基地です。 下手に手を出せば国際問題になりかねません」

「―――そうね。 ・・・・・・国際問題になると知っていれば、撃たないでしょうね」

 意味深な言葉を呟き、麻香は微笑を浮かべる。
 いつも浮かべる、作り物めいた笑みだ。
 彼はその笑みを浮かべる彼女が嫌いでは無かった。
 武家の身でありながら、陸軍では無く海軍に鞍替えした麻香。
 幾ら瀬戸少将の後押しがあったからとは言え、敵対派閥とも言える海軍の中で彼女が生きていくのは並大抵のことでは無かった。
 だから彼女は、本音を相手に悟られること無く、絶えず余裕を浮かべて周囲に弱音を見せないための微笑を浮かべ続けた。
 それを続け、決して崩さなかった麻香を、彼は強い女性だと心から敬愛していた。
 
 ―――だが

「・・・・・・・・・・・・」

 微笑を消し去り、物憂げな表情で窓の外を眺める彼女の横顔は、彼の知っている麻香の顔では無い。
 あの前線基地で何かあったのかと、出過ぎた真似だと自覚しつつも彼が質問しようとしたが、

「どうやら、私たちに出来ることは何も無いようね。 ・・・・・・悪いけど少し寝るわ。 色々あって疲れたから」

 そう先に言い放たれ、彼は質問する機会を失ってしまった。
 麻香は眼を閉じる前に、もう一度ц04前線基地があった方角に目を向け・・・・・・

「事情は後で必ず聞かせて貰うわ・・・・・・隆」

 誰にも聞こえない小さな声で、そう呟いた。








 ц04前線基地 19番格納庫内

『七瀬少尉ッ!! 今から三番ガントリーのロックを解除する。 マウントアームでの接続はそちらに任せるぞッ!!』

「りょ、了解ですッ!!」

 震える声で唯依へ答えながら、凛は握りしめた操縦桿を少しだけ傾けた。
 凛の操作に従い、彼女が搭乗する不知火が格納庫の中をゆっくりと進み始める。 一歩一歩確実に、足元を邪魔する雑多な機材を踏まないように。 それは搭乗者に負担が掛かる細かなマニュアル制御では無く、機体のセンサーが最適な足場を見つけて自動で足を踏み出す自律制御で行われていた。
 だがそれでも狭苦しい格納庫の中で戦術機を動かす行為は、凛の神経を加速度的に摩耗させていく。

(シミュレーターと実機で・・・・・・こんなにも感触が違うなんてッ!!)

 厳しい訓練によって、自分の身体に染み付いたと思った技能がまるで生かされていないことに、内心で悲鳴を上げる凛。
 それも無理の無い話だ。 凛が衛士資格を取得したのは斯衛軍専用の訓練校であり、そこにあるシミュレーターには瑞鶴、そして武御雷のデータしか使われていない。
 搭乗機を限定する斯衛、その体制が齎す弊害に凛は直面していたのだ。
 シミュレーターですら搭乗したことの無い機体、しかも実機を動かす精神的疲労は並ではない。
 自分よりも戦術機への搭乗経験がある唯依が乗ればと思うも、計画責任者である彼女にしか出来ない作業が残されているのでそれは出来なかった。
 ミスをしても、初めてだから、なんて言い訳は絶対に許されない。
 凛は精神を擦り切らせる思いで不知火を動かし、重圧に押し潰されそうになる自分を必死に奮い立たせていた。

「・・・・・・いきますッ!!」

 意を決し、機体を試作99型砲の前で屈ませ、肩部に接続されたマウントフレームを操作する。
 長大な試作99型砲を機体に接続出来るこのマウントフレームは、各種戦術機が採用する背部兵装担架に代表される汎用品では無い。 弐型、もしくは壱型丙の肩部装甲にのみ接続出来るよう設計されている専用品だった。
 二者の原型機である不知火は辛うじて設置は出来るものの、接続部分の強度不足から砲撃は出来ない。
 だが保持するだけならば問題無いと唯依が判断し、マウントフレームを用いて試作99型砲を運び出す算段となったのだ。
 うして肩に試作99型砲を搭載出来れば、両手で給弾コンテナも運び出すことが出来る。
 一機の機体の管制ユニットに、四人もの人間を乗せるのはかなり厳しいが、これが現状で出来る最良の手だった。

 凛の操作に従い、不知火の肩に接続されたマウントフレームのアームが伸びる。
 ゆっくりと伸びたアームが試作99型砲本体の接続箇所と接触すると同時に・・・・・・

「―――ッ!?」

 アラーム音と共に網膜にポップアップされる警告表示。
 BETA接近、その表示を凛が読み取るよりも速く、外部スピーカーが発砲音を拾う。
 何時の間にか数体の戦車級が格納庫のゲート付近に姿を見せていた。
 赤い蜘蛛を思わせる外見、だがその造形には思わず嫌悪感を抱かせる歪さが備わっている。
 全長20m近い不知火から見れば、戦車級など歯牙にも欠ける相手では無いのだが、初めて肉眼で見たBETAの姿に凛の身体は竦んでしまう。

「凛ッ!! 黒だけじゃ長く持たない!! 作業を中断して戦車級を排除しなさいッ!!」

 ミースの叫びで我に返り、凛は機体を格納庫のゲートへ向ける。

(―――こんな初歩的なミスを犯すなんてッ!!)

 BETAの接近に今の今まで気付かなかったのは、戦術マップのウィンドウを表示していなかったせいだ。
 幾らデータリンクが途絶されていても、機体に搭載された振動検知機で接近するBETAの存在に気づけたはずなのに!!
 凛は内心で己を罵倒しつつ、動きが制限される格納庫の中を進みながら思考を巡らせる。

(突撃砲は使えない・・・・・・ナイフならッ!!)

 一瞬、背部兵装担架に格納されている突撃砲に目が行くも、ミースや唯依が間近にいる以上衝撃波と轟音を吐き出す火器は使えない。
 視線で腕部に格納されている65式近接戦闘短刀を選択。 即座にナイフシースから短刀が吐き出され、機体にそれを装備させて進ませる。
 黒が帝国軍から拝借した重機関銃で牽制している戦車級は二体。
 たった二体、大丈夫、落ち着いて対処すれば短刀一本でも十分殺れる。

「はぁぁっぁぁあッ!!」

 不必要だと理解しつつも雄叫びを上げ、短刀を戦車級へ突き立てる。
 鋭い刃はあっさりと戦車級を刺し貫き潰し、尚も止まらずアスファルトの床に深々と突き刺さる。
 赤黒い肉塊へ変貌した戦車級の絶命を確認し、直ぐ様残る一体へ目を向けると、目前で仲間が殺されたことに怯む様子も無く、戦車級は蹄の音を鳴り響かせながら自機へ近寄ってくる。
 ガチガチと、歯を噛み合わせる音までもがヘッドセットのスピーカから聞こえた。
 身の毛もよだつその音は、平静と取り繕っていた凛の精神の糸を切らせるのには十分だった。

「ち、近寄るなぁぁぁッ!!」

 恐怖で逸る気持ちを押え切れず、凛は操縦桿を必死に動す。
 結果、必要以上の力が短刀へ掛かってしまい、刀身が半ばから折れてしまった。
 走り寄る戦車級は速く、その一瞬の間で不知火へと飛び掛かった。

「い、いやぁぁぁぁぁぁあッ!!」

 眼前に広がる醜悪な戦車級の姿。
 不知火を屈ませていたのが災いしてか、戦車級は不知火の頭部へ張り付き、その頑強な顎でセンサーへ喰らい付く。

「やだッ!! こないでぇぇぇぇ!!」

 頭部センサーが損傷したことで網膜に映る映像が次々に欠けて行く。
 凛は自分の顔が齧られていると錯覚してしまい、必死に払い除けようと操縦桿から手を離してしまう。 途端、機体が姿勢を崩して側面に倒れそうになるが、オートバランサーが即座に起動し、機体が転倒するのを防ごうと自動的に姿勢を制御した。
 脚部に設置されたセンサーは、足元にあった小型トラックの存在を感知していたが、機体を統括するCPUは機体姿勢を保つことを優先させ躊躇うこと無く足を踏み出させる。
 小型トラックは不知火に踏み潰された衝撃で粉々になり、その部品の一部が・・・・・コンソールを操作していたミースと唯依を襲う。

「きゃぁぁぁッ!!」

 二人の悲鳴を耳にし、凛は少しだけ平静を取り戻す。
 戦車級が装甲を齧る音から必死に耳を背け、震える指で再度操縦桿を掴み機体を操作する。
 不知火の両手が持ち上がり、頭部にへばり付く戦車級を掴み、そのまま握りつぶした。 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

 肩で何度も息を吐いて動悸を沈め、沈黙した頭部センサーから予備の胸部センサーへ切り替えて床に倒れている二人の状態を確認する。 
 トラックの破片が直撃したコンソールは大きくひしゃげているも、二人の外見には特に目立った外傷は見つけられなかった。 二人に駆け寄った黒も問題無いと此方に手を振っている。

(―――良かった)

 そう安堵した凛だが、改めて網膜に映る戦術マップに視線を向け・・・・・・愕然とする。
 何時の間にか格納庫の周囲は、多くの赤い光点で塗り潰されていた。
 今さっき相手にした二体どころの騒ぎではない、数十・・・・・・下手をすれば百体以上のBETAが周囲に被占めている。

「―――ッ!!」

 漏れそうになる悲鳴を必死に抑える凛。
 もし声を上げてしまえば、その赤い光点が一斉に襲いかかってくると考えてしまったからだ。
 だが・・・・・・そんな彼女の努力を嘲笑うかのように、赤い光点は次々と格納庫の中へ侵入してくる。

「黒さん!! もう無理です、二人を連れて退避すべきです!!」

 戦車級のみならず闘士級の姿まで確認した凛は、不知火に防衛行動を取らせるのも忘れて悲鳴混じりの声でそう叫んだ。
 動きの速い闘士級の相手は、歩兵のみならず戦術機にも荷が重い。
 何せ的が小さすぎるのだ。 36㎜砲弾の斉射でどうにかなる相手だが、突撃砲が使えないこの閉所空間では闘士級が小さすぎて対処の仕様が無い。
 闘士級には戦術機の装甲を破る力は無いので無視してもいいのだが、生身の三人はそうもいかない。
 試作99型砲の回収は最早無理だ。 即刻三人を拾いあげて退避するべきだと凛は判断するも、

「―――駄目だ七瀬少尉・・・・・・私は置いて行ってくれて構わん。 だが99型砲だけは・・・・・・試作99型砲だけは回収してくれ」
 
 唯依の消え入りそうな声が耳に届く。
 彼女の責務を考えれば、その回答は当然とも言えるだろう。
 自分の命よりも、帝国にとって利を成すモノを守る。
 それは斯衛の一員として・・・・・・いや武家の人間として模範的な答えだった。
 武家の息女として恥ずかしくないように、何時かは自分も彼女の境地へ達しなければならない。
 だが何も・・・・・・それは今でなければ駄目なのだろうか?
 だって怖いのだ、BETAが。 出来ることなら今すぐにでも逃げ出したい。 このまま不知火の跳躍ユニットに火を入れ、三人を見捨てて逃げ出したい。

「ええいッ!!」

 そんなこと出来るわけがない!!
 斯衛の白を纏うものとして、第参開発局のメンバーとして、戦術機を駆る衛士として、
 何より・・・・・・そんな恥知らずな行為をしようものなら敬愛する兄へ金輪際顔向け出来ないッ!!

(お兄様・・・・・・不肖の愚昧をお許しくださいッ!!)

 不知火に残るもう一本の短刀を装備させ、凛は侵入してくるBETAに立ち向かう。

 覚悟は決まった。 だが操縦桿を握る手と、フットペダルに添えた足は、未だに震えが止まらない。
 だから凛は今一度自分の立場を、与えられた責務を思い出す。
 当初は監視だった。
 奈華宮家の息女を監視しろと言われたのが始まりだった。 
 武家社会に大きな歪を齎した奈華宮家は一部から危険視されており、現当主は半ば更迭状態、その後を継ぐ娘たちも斯衛からは程遠い場所に追いやられている。
 だがそれでも、彼女たちを恐れる一派は存在しており、必要以上の措置を取ろうと画策していた。
 何らかの失態、もしくは不穏な動きがあれば即座に報告しろと言われた凛だが・・・・・・第参開発局に配属後、そんな考えはあっさりと霧散してしまった。
 恐らく凛を差し向けた一派も、今頃は諦めているに違い無い。
 第参開発局・・・・・・何より石井正と言う男に敵対する行為は、彼ら自身の首を締める結果になるからだ。
 名目上の理由を失った凛は、麻美から新たな責務を言い渡される。

 ―――生きて経験を積み、何れ七瀬家の頭首となる兄の良き協力者になること。

 当たり前のことだが、それが麻美から改めて言われた自身の責務だった。
 どんな思いで、彼女がそれを自分に告げたのか・・・・・・それを考えた凛は複雑な気持になってしまう。
 自分が出来なかったことを私に託そうとしている、そんな思いがその言語には含まれているような気がするのだ。

「黒さんッ!! 確か試作99型砲にはメンテナンス用のハッチが幾つもあったはずです。 そこに二人と一緒に身を隠してください。 乗り心地は悪いでしょうが、その状態で砲ごと皆さんを運びますッ!!」

 だからそう、此処で死ぬわけにはいかない。 兄を支えるものとして、臆病風に吹かれるわけにはいかなかった。
 凛の告げた意図が伝わったのか、黒は直ぐ様二人を抱えて走りだす。
 後は時間稼ぎをすればいいと、群がってくる戦車級へ意識を向ける凛。
 短刀一本で何処まで出来るかは分からないが、三人が試作99型砲に乗り込むまで此処から一歩も引くわけにはいかない。

 凛が覚悟を決めたその瞬間・・・・・・一体の戦車級の感覚器官が突然吹き飛んだ。

 「―――え?」

 その光景の意味を認識できず間の抜けた声を上げる凛。 その間にも、格納庫に侵入してきた戦車級の感覚器官が次々と吹き飛んでいく。
 全て一撃、正確無比な狙撃で放たれた銃弾が戦車級を撃ち貫く。
 一射で戦車級を無力化できる砲弾を撃てる武器は、戦術機や戦車の兵装以外では大口径の対物ライフルしか存在しない。
 現に不知火の音響センサーは、砲弾の着弾後に響いてくる重低音を捉えていた。
 銃弾は全て不知火の後方、BETAが侵入してくるゲートとは逆の基地南側に面したゲートから飛来してきている。
 凛が不知火の後部モニターに目を向けると、一台の高機動車が砂煙を上げながら格納庫へ近寄ってくるのが見えた。
 さらに倍率を上げると、車外に上半身を晒し長大なライフルを構えた女性の姿が確認できる。

 断続的に光るマズルフラッシュ。
 放たれた砲弾は不知火の股を潜って戦車級へ襲いかかる。

 凛は知っている。
 斯衛でただ一人、米衛士顔負けの射撃センスを持つ一人の女性を。
 それもそのはず、その人は斯衛で唯一米軍へ出向していた人物であり、国内情勢が反米感情に傾かなければ、斯衛の教導官にすら抜擢されたかもしれない逸材なのだ。

 ―――誰よりも強くて。
 ―――誰よりも厳しくて。
 ―――誰よりも権力の坩堝に飲まれた人。
 監視対象だったはずなのに、何時の間にか目標となった女性の名を、凛は呼んだ。

「―――奈華宮大尉ッ!!」







 19番格納庫内

 ―――状況は最悪を通り越して、最早絶望的だった。

「うぁぁぁぁぁッ!!」

 重機関銃の反動を身体全体で押さえつけながら、隆はトリガーを引き続ける。
 格納庫のゲートを食い破り内部へ侵入しようとしてくる戦車級が、12.7㎜砲弾をその身に受け、体液をまき散らしながら崩れ落ちる。
 イヤープロテクターを装着せずに発砲しているせいか、発砲音に晒された耳が痛む。
 一射ごとに身体を突き抜ける反動を抑えこむのが次第に辛くなっていく。

(くそッ!! あと少しだったのにッ!!)

 内心で人生の不条理を叫ぶ隆。
 既に管制ユニットの搭載は終わっている。 後は不知火を固定する整備担架のロックボルトをパージし、葵のシステムの立ち上げを待って機体に乗り込むだけなのだが・・・・・・次々と格納庫へ侵入してくるBETAは、そんな余裕を与えてくれなかった。

「くそがぁぁぁっぁぁぁぁッ!!」

 コンテナの上に重機関銃を設置した洋平も叫びながらトリガーを引き続ける。
 二丁の重機関銃で濃密な弾幕を形成するも、押し寄せてくる戦車級の前に次第に彼我の距離は狭まりつつあった。
 数百発の銃弾をあっという間に撃ち尽くしたと同時、時間稼ぎのために手榴弾を放り投げ直ぐ様給弾作業に取り掛かる。
 本来であれば2~3人のチームで扱う兵装を、たった一人でやり繰りするには相当の無茶が必要になる。
 火傷も厭わずに熱を帯びた銃身を引き上げて弾装を交換する。
 そして再びトリガーを引くも、

(―――照準が・・・・・・上手く定まらないッ!!)

 声には出さずに、隆は胸中で苦悶を漏らす。
 幾ら三脚で固定してあるからと言っても、フルオートでの斉射は凄まじい反動を射手に与える。
 それに隆がこれだけの重火器を扱った経験は、横浜でまりもに指導を受けた時だけなのだ。
 必死にまりもに受けた訓練を思い出そうとするも、身体は碌に言う事を聞かず、曖昧な照準のままトリガーを引き続けてしまう。
 幾ら戦術機に乗って戦場でBETAと戦うことに慣れても、生身でBETAと殺り合う場面に彼が平静を保てるわけが無かった。

『―――三時方向から戦車級2、接近』

 頭上から響くAsura-daの声を聞いて右手に視線を向けると、隔壁の壁を食い破って侵入してくる戦車級の姿が確認出来た。

「くそったれッ!! 手が回らんわッ!!」

「ちぃ!! 俺が行く!! 此処はお前が持たせろ!!」

 隆はそう叫び、数個の手榴弾とSMAWを手に走り出した。
 怖い、途轍もなく怖い。 つい先ほどソ連軍の装甲車に追われた時に感じた恐怖などとは比べ物にならない恐怖が身体を蝕んでいる。
 それなのに・・・・・・足が動く。
 もう一年近くも前になるが、この世界に飛ばされた直後、兵士級を前にして恐怖で竦みあがった自分が、何故か今は恐怖を感じながらも走ることが出来る。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ」

 ともすればもつれそうになる足を前に出し、コンテナの影を縫うように走り続ける。

 誰だって怖い。 洋平だって葵だって・・・・・・死ぬのが怖いわけ無い。
 だから走る、自分だけじゃなく二人を死なせないためにも走る。

 機関銃の音に呼ばれるように、二体の戦車級はコンテナを乗り越えながら洋平へ向けて突き進む。

(は・・・・・・間近で見るとランクルと同じ大きさだな)

 整備担架のクレーンの陰からその姿を見て、隆は皮肉気に笑う。
 そして再びまりもに教わった訓練を思い出しながら、手にした手榴弾のピンを抜き戦車級へ向けて投擲する。
 投げたと同時に再びクレーンの影に隠れ、爆音と衝撃に備える。
 一瞬後に腹に響くような衝撃と共に爆音が響き渡った。
 直ぐ様隆は身を翻し、SMAWを肩に担いで照準を戦車級へ合わせる。
 舞い上がった煙の中、足を吹き飛ばされコンテナの上で藻掻く二体の戦車級の姿を確認し、躊躇うことなくトリガーを引く。
 シュポっと軽い音を立てて吐き出された成形炸薬弾は一瞬で戦車級へ到達し、手榴弾とは比べ物にならない爆発を引き起こした。

「―――ッ!!」

 吹き飛ぶ戦車級の姿を確認したと同時、足に猛烈な痛みを感じて隆は顔を顰めた。
 それは針を挿したような痛みだ。 隆は自分の背後を見て舌打ちをする。
 背部を考えずにSMAWを使用したお陰で、SMAW後部から吹き出した燃焼ガスが後ろにあったコンテナで吹き返り、足に火傷を負わせてしまったのだ。
 
「くそッ!! 俺は一体彼女から何を教わってきたんだよッ!!」

 酷くなる足の痛みと、自分自身の不甲斐なさに悪態を付いた直後、

「きゃぁぁぁぁぁッ!!」

 葵の悲鳴が響き渡る。
 慌てて隆が振り向くと、12.7㎜の弾幕を掻い潜った戦車級が一体、二人へ近づきつつあった。
 射手が一人減ったお陰で弾幕が薄くなり接近を許してしまったのだろう。 
 洋平は弾が切れたM2機関銃を手放して手近にあった小銃を撃つも、5.56㎜弾で戦車級は止まらない。
 コンソールを操作していた葵も小銃を構えるが、例え二丁に増えたところで結果は変わらない。

 このままでは二人が死ぬ。 喰い殺される。
 死体も残らず・・・・・・人としての尊厳すら残らない形でこの世界から消え失せる。

「やらせるかぁぁぁぁぁッ!!」

 らしくない咆哮を上げた隆は、痛みを振り払って全力で駆け出した。
 なんとしてでも二人を助ける。
 だが武器が無い、今から輸送車に寄って武器を調達する時間などあるわけが無い。
 走りながら隆は考える、武器になりそうなもの、なにか戦車級の注意を引けそうなもの。
 周囲を見回した隆の目がある一点で止まる。 管制ユニットを運ぶ時に使用したフォークリフト。 鍵は挿しっぱなしで動力はまだ生きている。 
 瞬時にそれを判断した隆はフォークリフトに飛び乗りアクセルを踏み込んだ。
 初期トルクに優れるモーターが唸りを上げて回転し、車体を一気に加速させる。 
 レバーを操作し前部の爪を持ち上げ、二人に襲いかかろうとしていた戦車級に横合いから突撃した。
 爪が戦車級に喰い込み赤黒い体液を周囲に撒き散らす、それでも隆はアクセルを緩めること無く踏み続け、戦車級ごとコンテナに激突する。
 耳障りな金属音が響き渡り、戦車級から零れ落ちた体液から硫黄の匂いが立ち上る。

「くぅ・・・・・・」

 激突した衝撃でハンドルに胸を打ち付けた隆が呻き声を上げた直後、フォークリフトのキャビンが戦車級に殴られた衝撃で砕け散る。
 爪で身体を刺し貫かれ、おびただしい体液をまき散らしながらも、戦車級はまだ生きていた。

「・・・・・・しぶといんだよッ!!」

 割れたガラスの破片をその身に浴びながらも、隆はハンドルを切ってアクセルを全力で踏み付けた。 
 タイヤが白煙を上げながら回転し、滑るように横合いに振り切られた爪はそのまま戦車級の肉を抉り続け、やがてその身体を横一文字に引き裂いた。
 グチャッと音を立てて崩れ落ちる戦車級、まだ息はあるようだが二度と動きまわることは出来ないだろう。

「ざまぁ・・・・・・みろ」

 息も絶え絶えに返り血をBDUの袖で拭う隆。
 気がつけばサングラスを掛けていないことに気づく。 今の衝撃で何処かに弾き飛ばしてしまったのかもしれないが、今はそんなことにかまけている余裕は無かった。
 無理をさせたせいか、動かなくなったフォークリフトから離れようとした瞬間、格納庫に激震が走る。
 
 耳をつんざくような轟音と衝撃。 ゲート付近にいた戦車級がまとめで吹き飛び、見慣れた機体が格納庫へ滑りこんで来る。

『―――三人ともッ!! 無事ですかッ!?』

 機体から轟く真奈美の声、そして彼女が駆る不知火の姿を見た三人は一様に胸を撫で下ろす。
 そして格納庫の外から断続的に聞こえる36㎜砲弾の発射音。 真奈美だけはない、他にも誰かが駆けつけてくれたようだ。

「・・・・・・助かった・・・・・・つぅ!!」

 プッツリと緊張の糸が切れたのか、足の痛みを思い出した隆が顔を顰める。

 ―――その瞬間。

「隆ッ!! 余所見するんや無いッ!!」

 洋平の叱責が聞こえたと思った直後・・・・・・これ以上ない衝撃を受けた隆はフォークリフトごと宙を舞った。







 19番格納庫・南ゲート付近

「―――聞こえるかそこの不知火ッ!! 誰が乗っているッ!?」

 耳につけたインカムに向けてそう叫ぶも、聞こえるのは先程から変わらぬノイズのみ。
 目視出来る距離でありながらも無線が使えないことに苛立ちを覚えながら、麻美は手にしたバレットM82を構えて発砲。
 ライフルを固定した高機動車の車体が反動で軋むも、放たれた砲弾は不知火へ近寄る戦車級の感覚器官を正確に吹き飛ばした。
 
(随分と間の悪い時に合流したものねッ!!)

 内心で悪態を付きつつ次弾を装填。
 瀬戸の計らいで慎二の迎えを待たずにカムチャッキー基地から出発出来たはいいも、まさか目的地である補給基地がBETA襲撃の真っ最中だと誰が思うだろうか?

「マユッ!! このまま格納庫の中に侵入してッ!!」

 インカムを放り投げ高機動車のステアリングを握る少女へそう指示して、麻美は再びライフルのトリガーを引く。
 二人の他に搭乗者がいれば、間違いなく生きた心地がしなかっただろう。
 何せ高機動車のステアリングを握るのは・・・・・・少女だ。
 シートを目いっぱい前にズラして、それでも足りなくて背中にクッションを当て、手足をこれでもかと伸ばした少女が高機動車を操っているのだ。

「うん、任せてお姉ちゃんッ!!」

 だが少女は器用にステアリングを操作して格納庫のゲートをくぐり抜け、不知火の背後へ車両を停車させた。

「全員、無事かッ!?」

「軽傷が二名だ。 ・・・・・・まさか間に合うとは思っていなかった」

 黒は試作99型砲にミースと唯依を横たえながら、高機動車から飛び降りてきた麻美へそう答えた。

「―――優秀な姉のいらぬ善意のお陰だ。 不知火には誰が乗っている?」

「七瀬だ」

「凛が? 何故、帝国軍機に凛が・・・・・・まぁいい、凛、聞こえるなッ!?」

 怪訝な顔を一瞬見せた後、麻美は頭部を失った不知火へそう叫ぶ。
 
『は、はい!! 聞こえていますッ!!』

「よくやった、お前のお陰で三人は無事のようだ。 最早遠慮することは無い、背部兵装担架の突撃砲で奴らを薙ぎ払えッ!!」

『しかし、閉所空間での36㎜砲弾の使用は・・・・・・』

「私たちに気を使うな。 鼓膜と命、天秤に掛ける必要が何処にある?」

『―――了解ッ!!』

 力強い返答の後、不知火の背部兵装担架が展開しBETAへ向けて36㎜砲弾を吐き出した。
 一斉射でゲート付近に群がっていた戦車級がミンチに変わる。

「んにゃぁ~~耳が痛いよぉぉ」

 ヨロヨロと、耳を抑えながらマユが高機動車から降りてくるのを見て麻美の頬が僅かに綻ぶ。

「奈華宮、状況の説明は必要か?」

「いや・・・・・・」

 黒へ生返事を返しながら麻美は周囲を見渡し、

「必要無い。 大方その試作99型砲とやらを運搬するのに手こずっている、そんな処だろう?」

 と答えると彼は無言で頷いた。

「―――で、そこのメンテナンスハッチに乗り込み砲ごと凛に運んで貰うか。 まぁ妥当なプランだな」

「ベールレイは俺が連れて行く。 奈華宮は彼女を頼む」

 一方的に黒はそう言って、ミースを担いで試作99型砲に取り付けられたタラップを登り始める。
 唯依に肩を貸そうと麻美がしゃがみこむと、気を失っていた彼女が目を覚ました。

「奈華宮・・・・・・大尉? どうして・・・・・・此処に?」

「いいから喋るな。 気絶していたところ見るに頭でも打ったのだろう? 説明なら後でゆっくりしてやるから今は大人しくしていろ」

「し、しかし・・・・・・試作99型砲が・・・・・・それに不知火一機では運搬し支障が・・・・・・」

「大丈夫だ、壱型丙に搭乗した慎二が此処に向かって・・・・・・」

「平中尉が? どうして壱型丙に・・・・・・―――ッ!! 大尉ッ!! 後ろです!!」

 唯依の言葉に麻美は慌てて背後を振り向くと、コンテナの影から現れた闘士級が、その長い鼻を彼女へ向けて飛び掛る瞬間だった。
 その鼻のような手が麻美の頭部を掴み、まるでトマトを潰すかの如く赤い飛沫が飛び散る。



 ―――はずだった。



 何の前触れも無く、麻美に襲いかかろうとしていた闘士級の脚部が吹き飛ぶ。
 足を失った闘士級がアスファルトに体液の跡を残しながらのた打ち回るのを見て、唯依は眼前の状況が把握出来ずに混乱してしまう。
 銃撃の音は聞こえなかった・・・・・・何の脈絡も無く吹き飛んだのだ。 しかもその吹き飛び方は銃弾によるものでは無く、もっと違う・・・・・・不可思議な力が内部で破裂したようにも見えた。

「―――な、なにが?」

 何が起きたのかを理解できず、唯依は呆然とした表情で麻美に視線を向け続けるも、彼女は目の前で起きたことも、唯依の視線にも気にした様子を一切見せず、顔にこびり付いた闘士級の体液を服の袖で拭い落としていた。
 その姿にほんの少し冷静さを取り戻した唯依だが、再び現れた闘士級の姿に息を飲む。
 既に格納庫の外壁は戦車級が食い破って穴だらけだ、小型種である闘士級が何処から現れてもおかしくは無い。

「大尉ッ!! 早く退避をッ!!」

 痛む身体に鞭打って、唯依は麻美へそう声を掛けて立ち上がるも、見た目とは裏腹に機敏な動きを見せる闘士級は一足飛びに二人へ襲いかかった。
 武器を・・・・・・と唯依が闘士級を迎え撃とうと周囲に目を向ける。
 だが麻美は微動だにせず、飛び掛ってくる闘士級に視線を向けたままポツリと呟いた。

「―――マユ、やれ」

 直後・・・・・・鈴の音のような、少女の声が唯依の耳に届いた。

「―――潰れちゃえ」

 悪意の欠片も無い、無邪気な少女の声。
 だがその声が響くと同時に、再び闘士級の脚部が吹き飛んだ。
 先の一体と同じく、アスファルトに体液を撒き散らして蠢く闘士級。 
 足を失っても尚、二人に襲いかかろうと鼻を伸ばすのだが・・・・・・ 一瞬後、グチャッとと嫌な音を立てて二体の闘士級は肉塊へと成り果てた。

「・・・・・・・・・・・・」

 一言も漏らすことができず、その光景を呆然と見ている唯依の前に、白い少女が軽やかな足取りで現れる。

「むぅ、服が汚れちゃった・・・・・・ウジ虫の血・・・・・・キモチ悪いなぁ」

 っと呟く少女の言葉とは裏腹に、その表情には薄い笑みが浮かんでいた。
 楽しそうにクスクスと・・・・・・場違いな笑みを浮かべて少女は笑っている。
 その笑みを見た唯依は、言いようのない不安と悪寒を感じて竦み上がってしまう。

 見てはいけない。 これは見ることも、知ることもいけないモノだ。
 唯依の直感がそう告げている。 目の前にいる白い少女は、自分の理解の及ぶ範囲の遥か外に位置していると。

「―――篁」

 ただ名を呼ばれただけなのに、唯依の背中に冷たい汗が流れる。
 振り返り、自分を呼んだ麻美を見れば・・・・・・彼女は酷く寂しげな表情を浮かべながら言葉を続けた。

「これから見ることは全て忘れろ。 ―――お前まで日陰者になることは無い」

 その言葉に、唯依はただ黙って頷くことしか出来なかった。







 第19番格納庫

(―――間に合ったッ!! 皆生きてるッ!!)

 三人の姿を確認した真奈美は内心で歓喜の叫びを上げた。
 基地に到着する前からチラホラと出現し始めたBETAを迂回し、漸く基地に到着してみれば西側はBETAで埋め尽くされている始末。
 障害となる個体のみを排除して自分達が使用していた格納庫に到着してみれば、ソコには内部に出入りする多くの戦車級の姿があった。
 外から見た格納庫の姿に、もし三人が此処に残っていれば絶望的だと思っていたのだが、

『―――助かった』

 集音マイクが隆の声を拾う。

「ランサー06、三人を確認しましたッ!! 無事です、生きてますッ!!」

 喜びで震えそうになる声を必死に抑えつつ、真奈美は格納庫の外で戦車級を牽制している栞へそう伝えた。
 
『―――了解。 流石、しぶとい連中ね。 一人ぐらい減ってるかもって、覚悟したのが無駄になったわ』

 返ってきた軽口に苦笑する他無い。
 本当なら誰よりも速く彼らの無事を確認したかったはずなのに、その任を自分に譲って周辺の掃討を買ってでた栞。
 ・・・・・・もしかしたら皆が死体になっている姿を見たくなかった。 そんな思いがあったのかもしれないが、三人が無事なことを喜ぶ気持は同じだった。

「―――突撃砲を廃棄し、三人を回収します」

『待って、その前に格納庫周囲の戦車級を排除して安全を確保するわ。 07はそこから中に入り込もうとしている戦車級を叩いて。 私はその間に周囲をある程度・・・・・・』

 そんなハキハキとした栞の指示に耳を傾けた直後―――

『隆、余所見するんや無いッ!!』

 唐突に、洋平の叫び声がスピーカーから響き渡った。
 真奈美は慌てて足元にいる三人へ視線を落とすと、フォークリフトに乗った隆へ一体の戦車級が襲いかかる瞬間だった。

(―――ッ!!)

 真奈美が息を飲むよりも速く戦車級はフォークリフトに激突し、衝撃で隆が宙に投げ出される。

『隆さんッ!!』

 受身も取れずにコンクリートの床に叩き付けられ、転がり回る彼の姿を見た葵が悲鳴を上げる。
 力無く床に横たわった隆へ、蹄の音を響かせながら戦車級が迫る。
 洋平が機関銃の銃口を向けて発砲するも戦車級は止まらない。 

 自分も何かしなければ。
 彼を助けないと。
 だが哀しいかな、戦術機の装備を振るうことは出来ない。 
 突撃砲が放つ36㎜砲弾や120㎜砲弾では、戦車級諸共隆を吹き飛ばしてしまう。
 短刀へ装備を切り替える時間は無い。

(―――ああ、あああぁぁぁぁっぁぁッ!!)

 焦る気持が冷静な判断を阻害し、目の前の光景を止める最良の行動に移せない。




 コンマ一瞬、誰も何も反応が出来ない一瞬が過ぎ去り。








「があぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああッ!!」









 ―――皆の目の前で、隆が喰われた。











*Edit ▽TB[0]▽CO[25]   

~ Comment ~

あとがきもどき 


テレパシーがあるならサイコキネシスがあってもいいじゃないッ!!

―――もち、異論は認めます。
やっちゃったな~的な感想をお持ちの方も多いでしょうが、まぁやっちまったもんは変えようがありません(ヒラキナオリ

とまぁ詳しい話は何れ本編で詳しく説明したりしなかったり(ェ
にしても今回は尻切れトンボの場面ばかりで誠に申し訳ありません。
もっと上手く場面場面を構成したもんです・・・・・・はぁ

ああ、マユの能力以外にも、ついでにやっちまったネタの懺悔を
七瀬ってなんで武家にしたんだろう・・・・・・
きっとアレだ、なにかのマブラヴSSでそんな設定の凛を見て、そう言うもんだってインプットされたんだな、うん。←責任転嫁とも言う。
まぁこれも今更変えられないのでこのまま突っ走って行く予定ですが・・・・・・広げた風呂敷がちょっと広くなりすぎてる気がします(汗

では次回ですが・・・・・・
年内にはソ連編を終わらせます。
クリスマス用のトップ絵を描きます。(もち霞だよ、他に希望ある?)
それ以外のトップ絵も描きます。
ソ連編の最終話には密かに中止した挿絵がつくかも。
・・・・・・の内、果たして何処まで出来るか・・・・・・期待せずにお待ちください。

PS
作中に登場した【流星】は欧州編で説明があったように、Arcadia様でsamurai様が書かれている『帝国戦記』に登場するオリジナル戦術機です。
当SSではチラッとしか紹介してませんが、帝国戦記本編では読み応えのある緻密な開発経緯が書が読めますので、気になった方は是非読んでみることをお勧めします。

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NoTitle 

更新お疲れ様ですDON総統代行殿!
隆…LAVでドリフト出来るなんてお前は化け物か!
軽装甲機動車(陸自使用)の奴なら納得ですが、ピラーニャ装甲車だったら隆君は変態的なドライビングテクニックを持っているようですねw

静流さんの保険は少しばかりは意味が合ったようですが、大局的には変り無しと…今のところはですけど。

魔神様にロックオンされました…サヨウナラ隆…しかもこの後には魔王様との遭遇フラグも立っていますから…頑張って生きるんだ隆!

隆が食われただと!?…マユミちゃんの念動力で間一髪の状況で助かるんですね分かりましたw
次回も楽しみにしております。

NoTitle 

更新お疲れ様です!
隆が喰われるとは予想してなかったです、流石はDONさんだ!
まぁ隆のことなのでサイコキネシスで助かるか、シスコンの力で自力で助かると思うので心配はしてないですがw
次回、トップ絵楽しみに待ってます。

 

更新お疲れです。

BETA襲来に対し、起動しなかった不知火が土壇場で起動。それに隆が乗ってみんなのピンチを救う、なーんて熱血かつ主人公らしい活躍をするかと思ったらそんなこと微塵もなかったぜwww


グラサンが喰われたのは腕か、足か。はたまた頭か。


次回が気になって気になって禁断症状がレッドゾーンに突入しそうですwww

NoTitle 

更新お疲れ様です!

テレキネシス……いえいえ、アリだと思いますよ。
それに、世の中にはもっと沢山不思議なことがあふれてますから…60mくらいのリムジンとか。

それにしても……駄目だ、
戦車級「ロリコンマズッ」(ペッ)
ぐらいしか展開が思いつかない……苦笑

NoTitle 

更新おめです。

LAVでドリフトかぁ。自衛隊のLAVは格好良いので買えるなら欲しいんですがね(笑)。
あとは試作だけ作られたFMC XR311とか。XR311については14年くらい前に一台だけ千葉県に現存していた事が確認されていますが、いまはどこにあるのやら……。
サンバーとかジムニーベースで作ってみようかなぁ……。
つか、マユも運転できるんか(汗)。

うわ、隆が食われた……。でも叫び声があるってことは、とりあえず頭を食われたわけじゃなさそう……。

>きっとアレだ、なにかのマブラヴSSでそんな設定の凛を見て、
凛ちゃんって結構堅物で融通利かなくて箱入り娘っぽいですもんね。

そして次回辺りは魔王様と魔神様の二人に同時に出会ってしまいそうなよ・か・ん(はぁと)。どう言い訳するのか。あるいは食われたショックで記憶喪失か(笑)。


楽しみにしています。

あとクリスマス用TOP絵の霞の希望は……、
①サンタウサギのコス
②バニーガールのコス
③オルタードのサバゲーのときのウサギのコスというか着ぐるみ
④戦術機ガールのコス
⑤オルフィーナとの絡み
⑥フルヌード(ウサギ耳飾り&尻尾付き)
⑦サンタコスの夕呼先生とトナカイのまりもちゃん(笑)
⑧トナカイ隆にそりを引かせているサンタコスの魔王様と魔神様(大笑)
と言うところでしょうか(笑)。あくまで希望ですが(希望的観測ともいう)。
多すぎてすいません。

追記:12月4日、ようやく海神ゲットだー!
    11月27日マクロスのモンスターとディフェンダーが再販だー!
    さらに来年にはA3がTMCというシリーズを追加して全国販売だー!
    コトブキヤも12月25日に不知火弐型が出るー!
    ……ボーナス出ないから金が足りねぇぇぇぇっ!!(号泣)    このままじゃ、冬コミで瑞鶴のTシャツや英国タイフーン買えねぇぇぇぇっ!!(マジ泣き)

NoTitle 

更新お疲れ様です。

隆喰われた!?
まぁ、隆本人よりもそれを見たランサーズの皆々(主に死亡フラグが立っている栞)の今後が気になります。
隆の心配はしていません。
だって、隆だし・・・。。。
予告漫画にあった隆の負傷が何だったのかわかったので、残りは魔王様と魔神様が気になって仕方のない今日この頃。
年内にはソ連編も終わるということで、ランサーズに被害なく終わることを夢みております。

それでは、次回を楽しみにしております。

NoTitle 

最新話、読みました。
修羅場通り越して、喰われるって隆…ご愁傷さまです。

クリスマス絵の希望は、瞳ちゃんと霞のコラボ希望です。

NoTitle 

更新お疲れさまです。
うわあ……さすがに今回はモゲロとは言えない。ご冥h…ゲフンゲフン、生還をお祈りします。それにしてもぶつくさ言いながら隆っていろいろこなしてますよね。いざという時にできる男っていいですね。

 

更新お疲れ様です。
静流さんの予感的中、流石は女帝ってことですかね

黒は格闘戦とかしませんかね?こうスタン警棒みたいなもので(笑)
マユがESPだったとは・・てっきりAMSみたいなものが体についているのかと

隆食われましたね、これは隆強化フラグで「00ユニット隆」とか「サイボーグ隆」とかになったりして・・・

悪運が強い彼なら何とかなる気がします。生き残れ、隆!

クリスマスのトップ絵にはイーニャを、イーニャを出してください!
次回の更新楽しみにしています。執筆作業がんばってください

NoTitle 

 まさか戦術機戦だけでなく小火器でのBETA戦闘までこなすとは・・・隆の兵士としての経験値がどんどんUPしていきますね。ただのサラリーマンだったのに人間って頑張れるんですねえ(遠い目)
 しかし最後にモゲロを通り越して美味しくいただかれるとは。普通なら彼女持ちなぞモゲロ!と言う所ですが隆に関しては「隆頑張れ超頑張れ。DONさん、彼にもっと優しくして!」と応援する気持ちにしかなりませぬw
 寒さが厳しくなりますのでお体に気をつけてください。

NoTitle 

壁||゜д゜)チラ

 お久しぶりで御座います(汗) 再起動しましたのでよろしくお願いします。
 つか黒さんすげえ! しかもバイク乗りだったのか! しかし、一体何を乗ってたんだろ? マブラヴ世界にはヤマホってのがあるから、勝手にVmaxで脳内変換しましたがw
 あとバイクを出してるとすれば、遠田か河崎か? どちらにせよ排出ガス規制と加速騒音規制とかなさそうだから凄いのあるかも? とか思ったけど、そんな余裕はないか(汗)
 米国にならありそうだけど……

 せっかく隆と麻香が出逢ったのにBETAめ! 空気嫁! て思ってたら、食われた! 頭をパックンチョならアウトだけど、手足なら擬似生体技術があるから何とかなるか……

NoTitle 

更新お疲れ様です。
麻香さんがこっちの世界の隆を悪く言ってたのは本心を隠すためだったのだろうか?
実は隆にデレデレだったけど、亡くなったショックとかであえて悪く言っていたとかそんな感じの。
いや、麻香さんの態度が意外でしたのでそんな妄想してしまいました(汗
まぁ冷静に考えれば元旦那なんだし、そう言った態度に出てもおかしくはないのか。

さて、喰われてしまった隆。まさかこんな展開になるとは……。
と、一応心配はしているんですが、数話後でデレた麻香さんにパイナップルあ~んとかされて看病されてる隆の姿が頭にチラついて素直に心配できない自分がいます(汗

NoTitle 

二回目すいません。

ふと思ったのですが……まさか食われたのって隆の『ナニ』じゃ無いですよね!?(大笑)
そこを食われたら……いろんな意味で大問題だぞ!?
デンマークの王族からの突き上げとか魔王様とか魔神様とか瞳ちゃんとかまりもちゃんとか!
特に夕呼さんがそのことを知ったら取る行動はおそらく二つ!
そのままTS(性転換)したことにして女性器を造ってさらに胸を巨乳に改造する(笑)か、あるいは擬似生体で再生するか!
しかし擬似生体での再生の際に巨根とかイボイボとか触手状に動いて伸び縮みするとかに改造しそうだ!(激笑)

普段『もげろ』とか言ってもさすがにこのもげ方はちと可哀想です(大笑)


戦場の大地、生き残れ、隆美!!(ガンダムSEED風に)

話が逸れるが・・・ 

【マブラヴ架空戦記】マブラヴクロスオーバーズ
マブラヴ
ゼーガペイン
蒼穹のファフナー
戦闘妖精雪風
アルジェントソーマ
ガンパレードマーチ新たなる行軍歌
のクロスオーバーした神動画。
一見処か百見の価値あり!。

NoTitle 

更新お疲れ様です。
うーん、静流姐さんの保険も、最後はあのシーンに・・・
うん、大丈夫だ隆。 ショック死しない限り、「石井の魔王さん」が、「ふっかつのじゅもん」を唱えてくれる!w

「看護したい要員」は多いぞ! 戦いはこれからだ!

死んで欲しくないなぁ 

ええええぇぇぇ!?
隆が喰われちまった・・・
栞も隆も死んでほしくないなぁ
栞が不憫すぎちゃって(泣)
もう麻美なんかいいじゃん!って思ったのは俺だけだろうか・・
あ、最近このサイトを見つけた暇人というものです。
友達に聞いて見にきったのですが本当に面白いSSで、出会えたことに感謝してます
キャラも皆良いキャラばかりであっというまにこの作品のファンになっちゃいました笑
栞の健気さに栞スキーになったオレはクリスマス用のトップ絵に栞を希望します!

レス返し 


モンハンやってる暇あるならSS書け!!
と仰る皆さんの声が聞こえておりますm(_ _;)m
現在、封印してブログようのネタを鋭意製作中ですので・・・・・・もう少々お待ち下さい

亡命ドイツ軍人さん
隆がドリフトかましたLAVは陸自仕様の車両と言う事で(汗
ってか実物は愚か、LAVの簡単なスペックすら知らないので・・・・・・高性能なデフ系を積んでたら、どんなに頑張ってもドリフトなんか出来ないっすね(爆

532番さん
だって皆さんがモゲロって言うから・・・・・・ゲフンゲフン
トップ絵は現在進行形で悪戦苦闘してます(;´Д`)

反逆者さん
カッコイイ主人公なんて嫌いです!!(問題発言
隆はみっともなくていいんです・・・・・・だって普通の人ですから

村長さん
サイコキネシス、肯定していただきありがとうございます!!
60メートルリムジンは物理法則の遙か彼方の存在ですからねぇ・・・・・・(遠い目

taisaさん
写真ありがとうございました~!!
次の更新時に一緒に掲載させていただきますね~♫
ってかヤバい・・・・・・提示して頂いたクリスマスネタが面白すぎるw
時間があれば・・・・・・時間さえあれば幾つか描きたかったッ!!
おふぅ、棒茄子は無しですか・・・・・・何処も彼処も不況ですなぁ
だと言うのにも怒涛の新作ラッシュ!!それでも買っちゃうtaisaさんには痺れる憧れる~!!www
・・・・・・それと隆のナニが食われて触手って・・・・・・アレですね?よくある伝記ファンタジーな忍者エロゲ的なノリですね、ええわかりませんw

げんさん
>だって隆だし・・・・・・
これほど的を得た言葉がかつてあっただろうか?w
予告漫画・・・・・・あれ?そう言えばブログのカテゴリを弄った時に何処に消えたんだ?あの落書き漫画?
ね、年内には書き上げます・・・・・・現在20%ぐらいしか書けてませんが(滝汗

fujiさん
瞳ちゃんは描きます!!描く予定です!!
でも時間が無くてラフです、どうか許してください(TдT)

炭素さん
いえ、モゲロと言ってくださいwむしろそれが賛辞ですからwww
隆は器用貧乏と思って頂ければ・・・・・・ある程度はそつ無くこなしますが、深いトコまでは手が出せない(能力が無い
そんな中途半端な兄ちゃんですw

御言さん
黒、流石に電撃は使えませんwww
マユのESPは最初から考えていたんですが・・・・・・お披露目する機会が無くて無くて、今更な感がタップリです(爆
イーニァ・・・・・・ええ、勿論イーニァを描きましたよw

小鷺さん
でも隆はヘタレだから無駄弾撃ったり、火傷したりしとりますw
なので今後も変わらず・・・・・・いえ、より一層隆には厳しく接する所存であります!!www

変態さん
どもです、まぁ無理はせんでくだされや~
黒の乗ってたバイクは・・・・・・やべぇ考えてなかった(爆
陸自が使用してる二輪って何処のメーカーなんだろう?
きっと遠田のカプwはあの世界でも二輪ナンバーワンに違いないっすwww

黒豆おこわさん
麻香の本心はまだ秘密~♫
二人・・・・・・いや三人の馴れ初めを書ける時は果たして来るのだろうか?
ってかパイナップルあ~んって・・・・・・むしろ隆の頭がパイナップルに(ェ
でもまぁ・・・・・・心配はしなくていいですよ、別の誰かがデレますからw

通過人さん
ニコニコのマブラヴクロスオーバーズ、以前変態さんに教えて頂いたのでチェックしておりますw
あの作品を見てゼーガペインを全巻レンタルしたくらいですからwww

samuraiさん
やめて!!ネタバレは勘弁してsamuraiさん!!www
しかし・・・・・・看護したい要員か、それはそれで骨肉の争いになりそうですねw

暇人さん
ご友人からこのサイトをお聞きになったと?
・・・・・・アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ エライコッチャ~!!
せ、拙作ですが今後ともお暇なときに目を通して頂ければ幸いでございます。
栞・・・・・・ですか
元気にヤンデレしてた彼女が次の話では・・・・・・おっととりあえずトップ絵の栞は受け付けました。
が、ラフで・・・・・・いいですよね?(汗

NoTitle 

>陸自が使用してる二輪って何処のメーカーなんだろう?
不確かな記憶によると本田と川崎だったような……。
昔(三十年以上前)が本田のXL250(これは確定。放出車両に乗っていたので(笑))、その後川崎のKLXだったような気がします。

NoTitle 

陸自のバイクですが、前のはtaisaさんが書いているようにXL250(正式番号XLR250R)で今はKLX250ですね…民間用と大差は無いと陸自に行った友人が言っておりました。
陸自の偵察オートバイ兵は変態揃いです…陸自の演習を見に行った事があるのなら分かると思いますが、戦闘を想定しているのでギリギリまでバイクを寝かせて走ったり立ち乗りでそのまま走って小銃を討ったりしてますからねw

NoTitle 

はじめまして。
理想郷で幾度か言を交わしたことがあると思いますが(汗
じゃがりと申します。

今更ながら1話から拝読させていただき、最新話まで読み終えたところです。
先ず、最初の感想と申しますと
「何故今まで気付けなかった!?」といったところでしょうかw
大変おもしろく、また微笑ましく拝読させていただきました。
やはり長編作家様には頭が下がります。
しかもここまで素晴らしい作品となると特に。今後も応援させていただきます。
どうかお体に気をつけて、更新頑張ってください。

コメントへのお返事~ 


taisaさん 亡命ドイツ軍人さん
おおっと!?お二人とも詳しい説明をありがとうございます!!
ってか軍の放出車両に乗ってたtaisaさんって何者ですか・・・・・・(;´Д`)?
偵察隊は変態揃い・・・・・・警察の白バイですら変態なのに、それを遙かに上回る変態が陸自には揃っているのですね亡命ドイツ軍人さん?w

じゃがりさん
お名前に記憶があります、お久しぶりですじゃがりさんw
お褒めのお言葉、本当にありがとうございます!!
おもしろい、と言ってただけると、こうして二年近くもSSを書き続けて良かったと心から思えますw
今後とも、じゃがりさんのお暇なときにでも読んで頂ければ幸いです

NoTitle 

はじめまして(_ _)
ふらふらとSS探してさまよっていたらこちらを発見しました。

一気に最新話まで読んで思ったのは、上に書かれているじゃがりさんと同じように「何故今まで気付けなかった!?」という気持ちです。

一番個人的にツボだったのは、マヴラヴ本筋とは関係ないかもしれませんが、Asura-da(ここではアシュラーダですが),Al-zard,菅生,グーデリアンなどの一部の単語達ですが(笑)
アレは大好きだったので、名前見るだけでもすごい興奮してたりします(汗)
きっとAl-zardがダメになってもOGREがいるんだ・・・!
ISSUXARKやSPIEGELもいつかきっと出番が・・・!
などと、どうでもいいことまで考えてしまったりしています。

何処かで聞いたような更なるサイバーでフォーミュラな単語にも期待しつつ、これからは最新話を待つ新たな楽しみができました。

これからまだ寒い季節が続きますが、お体に気をつけて執筆がんばってください(_ _)

頂いたコメントへのお返事 


みりんさん
感想いただき、本当にありがとうございます!!
また、このような拙作を読むために、みりんさんの貴重な時間を奪ってしまい誠に申し訳なく思っております(TдT)

サイバーなネタに食いついて頂けたようでw
自分もあの作品が大好きなんですよ~何れは自分が一番好きな加賀さんのネタを使いたいと画策していたりいなかったりwww
しかしOGRE、そうだAl-zardの次はOGRE(正確には前でしょうが)がいるか!!と今更ながら気づかせていただきましたw 

お気遣い頂きありがとうございます、一気に冷え込んできたのでみりんさんもお体には気をつけてくださいね。
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