DONの落書き部屋

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit   

「Muv-Luv 小説」
第二部

ソ連編 6話

   ―――閃光が瞬く戦場。

『なんなんだ、なんなんだよコイツらッ!!』

『駄目だ、跳躍ユニットをやられたッ!! 飛べないッ!!』

『冗談じゃないッ!! 中央のお守りで死ぬなんて俺は嫌だぁぁぁッ!!』

『エレメントを崩すなッ!! 全機後退、体勢を立て直せッ!!』

『キート05ッ!! 返事をしなさいッ!! ゴランッ!!』

『オイ、そこのウスノロッ!! 突っ立てないで援護しろよッ!!』

 ―――閃光が瞬く合間に、数多くの絶叫と怒声が交錯する。

『手痛いしっぺ返しやなッ!! 連中の動きは予想できへん・・・・・・これだからBETA戦ってやつは始末が悪いんやッ!!』

『無駄口を叩くなランサー02ッ!! ランサー05よりCPへ!! 連中の進路が変わったッ!! 第一区に上陸したBETA群は方位をSWに変更、俺たちだけじゃ塞き止められない!! 直掩機を回すか砲撃支援を・・・・・・しまッ!?』

「ッ!! 隆さんッ!?」

 僚機が突撃級に弾き飛ばされる光景を目の当たりにし、真奈美は漸く現実に引き戻された。
 大地に叩き伏せられた僚機の元へ駆け寄るべく、跳躍ユニットに火を入れた不知火の背後で再び閃光が起きる。
 夕空を切り裂く光、そして大気を震わせる轟音が響き渡った直後、戦術マップの大部分を占める赤い光点がごっそりと消え失せた。
 その様を脇目に見ながら、真奈美は向かってくるBETAを長刀で切り伏せ、こちらに見向きもしないBETAの横をすり抜け、混乱に飲まれた戦場を疾走する。 

(なんで・・・・・・)

 操縦桿を握り締めながら彼女は自問する。
 あの光を、あの神々しいまでの光に、一刻とはいえ希望を抱いたのがいけなかったのだろうか?
 
「・・・・・・ッ!!」

 驚異的な旋回力で持って、突然目の前に現れた要撃級に息を飲む真奈美。
 だが、無意識領域にまで操縦技能が叩き込まれた彼女の体は、本人が意識せずとも戦術機を操る。
 薙ぐように振るわれた衝角をくぐり抜け、一方の跳躍ユニットの出力を上げてその場で旋回、その勢いを利用して手にした多目的追加装甲で横合いから殴りつける。 装甲が要撃級の感覚器官に触れた瞬間、装甲表面に設置された指向性爆薬が起爆、衝撃と爆圧で要撃級の後ろ半分が吹き飛ぶ。
 無駄のない、流れるような動作で放たれた一撃だ。 見るものが見れば感嘆の吐息を漏らしたであろう。
 観客のいない戦場でダンスを踊る真奈美、鬼気迫るステップを踏みながら有象無象のBETAを葬る。

(希望なんて・・・・・・ あるわけないッ!!)

 使い物にならなくなった多目的追加装甲を放棄し、背部兵装担架から引き抜きいた長刀で突撃級の足をすれ違いざまに両断する。

「すがるような希望なんて私には必要無いッ!!」

 押えきれない思いを口から吐き出し、真奈美は尚も前に進む。

 他者から与えられ、見せられる希望など彼女は必要としていない。
 いや、そんなものに期待していないと言うべきだろう。
 彼女は一度、本物の絶望を味わっている。
 希望なんて欠片もない、思い出すだけで吐き気がする絶望をだ。
 だから彼女は力を求め衛士になった。
 与えられた希望にすがるのではなく、自分で未来を選ぶために衛士になったのだ。

「ああああああァァっァァァァっ!!」

 絶望に満ちた世界で彼女は剣を振るう。

 理想や信念では無く、ただ己のためだけに・・・・・・















 ソ連編  かれらが見た希望と絶望


―――冒頭より30分前
 2001年8月13日
 カムチャッカ州 コリャーク自治管区 ミリコヴォ地区
 第一区・BETA上陸予想地点


『BETA上陸予定時刻より45分が経過。 依然としてソノブイに感無し』

「・・・・・・はふ・・・・・・そりゃ結構。 何事も平和が一番だ」

 ヘッドセットから定期的に聞こえてくる機械音声。 その声に気のない返事を返しながら、隆は網膜に映る周囲の光景に視線を巡らせた。
 前面に展開した機甲部隊、後方に控える打撃支援部隊、洋上を哨戒する戦艦群。
 いつも通りの布陣だ。 これまでに参加したほぼ全ての作戦における、対BETA戦のセオリー。
 強いて違うと言えば、打撃支援部隊よりも更に後方・・・・・・ 待機中のヘリ部隊と低空を飛翔する爆撃機の編隊といった、この地方でのみ有効に稼働する航空戦力の存在だろう。

(―――ついでにアイツらもか)

 彼自身が搭乗する不知火を含め、一個大隊規模の戦術機に周囲を囲まれている一機のソ連軍機に隆は目を向ける。
 ソ連製準第三世代戦術機・SU-37UB、紫と白に塗分けられた露軍迷彩が鮮やかなその機体は、多くの戦術機たちの中にあって明らかに異彩を放っていた。
 
「イーダル・・・・・・試験小隊ねぇ・・・・・・」

 呟いた彼の脳裏に、先日出会った二人の少女の姿が過ぎる。
 決して友好的とは言えない出会いと別れを果たした二人、その護衛の一端を自分が担うことになるとは・・・・・・どうにも運命って奴は無駄な出会いはさせないらしい。
 直接二人と顔を合わせたわけではないが、あのSU-37UBに搭乗しているのが、クリスカとイーニァだと言うことはキート隊の面々の話から間違いないだろう。
 ジャール隊の年少兵ほどではないが、キート隊の彼らもまた試験小隊の存在を快く思っていないようだった。 
 それも無理の無い話だろう。 用意された舞台でしか戦闘を許可されない試験小隊が使用する新鋭機に比べ、今後も前線に居座り戦闘を継続しなければならない彼らが使用する機体は、破損したMIG-27の代わりに用意された旧式のMIG-21だ。

(―――ま、試験部隊なんてエリートは、前線から尊敬されるよりも妬まれるほうが多いんだろうな)

 彼らと似たような立場であるインパルスの姿が脳裏に浮かぶ。
 インパルスと同じように、試験衛士なんて立場であるクリスカやイーニァは、見た目とは裏腹に凄腕の衛士に違いない。 キート隊の戦力低下に伴い、増援として自分を含めた三機の不知火が彼女たちの直掩についたわけだが・・・・・・他の二人は兎も角、自分にその任が務まるのだろうか?

(・・・・・・っても啖呵切った手前、無様な姿は見せられないからなぁ)

 先日のやりとりを思い出しながら、隆が内心で唸っていると・・・・・・

『・・・・・・暇やなぁ』

『・・・・・・暇ですねぇ』

 戦闘を前にしていると言うのに、そんな緊張感ゼロの言葉がヘッドセットから聞こえてくる。
 隆にソレを言う権利は一切ないのだが、一応小隊の指揮官を任されている彼は、僚機を叱責すべくレシーバーのスイッチを押す。

「あ~テステス。 ・・・・・・二人とも、周りの連中には聞こえてないが海軍さんの耳には入ってること忘れるなよ?」

 機密保持のために、帝国軍機は全て帝国海軍のデータリンク網を通してソ連軍側とリンクを繋げている。
 それは常時接続と言った形では無く、必要に応じて接続する方式なので、コチラの無駄口を聞き咎められることはないのだが、中継してくれている帝国海軍には筒抜けなのだ。
 ―――だから静流とタメ張って真奈美が恐れる海軍大尉の耳に入るのは、とってもとってもよくないような気がする。

『・・・・・・了解です』

『・・・・・・了解や』

 思いのほか素直に返ってきた返事に満足し、隆は自分が随分とリラックスしていることに気付いた。
 BETAの上陸予定時刻はとっくに過ぎているが、早期警戒衛星が捉えたBETA群の侵攻に間違いはない。
 もう直ぐ・・・・・・必ず奴らはやってくる。 人間の尊厳を喰い荒らすために現れるはずだ。

「・・・・・・ふん」

 海岸から上陸するBETAの姿を想像し、隆は小さな失笑を漏らす。
 それはBETAを侮ってのことではない。 最初は失禁するほど恐れていた相手だと言うのに、奴らとの戦闘を前にして特に焦りもしない自分自身に笑ったのだ。
 最早慣れてしまったのかもしれない・・・・・・ BETAと戦うことに。
 この世界に飛ばされ、戦車級や兵士級に追い掛け回されたのが始まりだった。 その後、衛士なんて職業に就き、北海道、新潟、欧州の各地で様々な戦闘に参加し、腕は兎も角、隆は戦闘経験だけなら既にベテランの域に片足を踏み込んでいた。
 最早彼は、『死の八分』なんて言葉で怯える新兵とは違うのだ。
 例え望んでいないくとも、戦場で積み重ねた経験は彼をこの世界の色に染めつつあった。

(戦争なんて血生臭いことに慣れる・・・・・・か。 引き返せるうちにとっととこんな仕事から逃げ出したいんだけど・・・・・・まぁもう暫くは無理か)

 今は8月、帝国軍への派遣期間終了まで残り2ヶ月ある。
 以前、派遣が終了したら次は光菱に行けと夕呼が言っていた。 もしそれが本当ならば、戦争行為からは距離が置けるに違い無い。

(早いもんだな、もう少しで一年か・・・・・・ この世界の経験は俺自身を成長させたのか堕落させたのか・・・・・・どっちなんだろうな?)

 と、内心の自問に答えてくれる人など居る筈もない。
 仕方なく、少しぐらいは度胸が付いたかな? と、一人で彼が納得していると、

『社中尉。 脈拍に乱れを確認。 緊張しているのか?』

 ―――訂正、体は感情と違い正直らしい。

「・・・・・・かもな。 だけどソレはお前なんかと一緒に乗ってるせいだよ」

 隆は嘆息しつつ、先程から聞こえる機械音声の主にそう答えた。

『一緒にと言うことは、複座の機体に社中尉のみが乗っていることに不安を感じていると推察。 砲手がいなくとも当機体の運用には何ら支障が無いと既に説明済みだが、もう一度説明を要求するのか?』

 スラスラと淀みなく隆の言葉に答えるのは、彼が座る複座型管制ユニットに搭載されたAsura-daと呼ばれる人ではない機械だ。
 人工知能、もしくはAI。 そう言った言語はこの世界に存在していないが、元の世界で見たSFに登場するそれらと同じようなものだろう。
 葵の話では、当初この不知火に搭載する予定はなかったそうだが、専門の技師のお陰で調整が済んだらしく、データ取りも含めて急遽搭載する運びとなったらしい。

「結構だ。 その点は気にしちゃいないが・・・・・・ いざという時、強化外骨格も無しで脱出せにゃならんかと思うと・・・・・・気が滅入るよ」

 Asura-daを積んでいるお陰で、機体を捨てる際衛士の最後の頼みの綱である強化外骨格をこの複座の管制ユニットは搭載していない。 その事実のほうが、後席に誰も乗っていないことより隆の心情を不安にさせていた。

『損傷しなければ問題ない』

「はッ? 当たらなければなんとやらか? 瞳ちゃんクラスの腕を持ってればそう言い切れるが、生憎とそこまでの腕を俺に求められても困るぞ」

『機体ログから社中尉の操縦データは確認済み。 杉原大尉が搭乗したと仮想した状況に対し、社中尉の操縦では機動性と安定性が著しく欠落する。 生存率においては、30%ほど下方修正が必要になるだろう』

 Asura-daの回答に、隆はぐうの音も出なかった。
 それは紛れもない事実であり、隆は少しでも彼らの頂に近づこうと足掻いてはいるものの、多少の努力で届くほどその高みは低く無い。

「―――ご指摘ありがとうよ。 善処するさ・・・・・・・・・・・・ にしても操縦補助だけじゃなく、CPの真似事もこなせるんだな、お前は?」
 
 容赦無く事実のみを伝えられたことに肩を竦め、彼は手元のコンソールを弄ること無く表示される様々な情報を目にして、Asura-daの有効性を実感していた。
 搭乗者総合支援システム、端的に言えばそれがAsura-daの果たす役割だそうだ。
 操縦補助から戦域管制、果ては搭乗者をリラックスさせるためのおしゃべり機能と・・・・・・ コレを作った連中が何処か狂っているのは間違いないが、システムとしての性能だけは十分実用レベルにあるだろう。

『当然だ。 社中尉のような未熟な衛士を生かすために私は作られた』

「私・・・・・・私ね。 人間臭い奴だよな、お前って奴は・・・・・・」

 まるで人間のように自己を語るAsura-daの返答は隆の笑いを誘った。
 人のように会話が出来ても所詮は機械だ、この会話も予め登録された会話パターンに従って返されているのだろう。 
 当たり前だが機械に自我は無い。 元の世界に比べれば遥かに巫山戯た世界だが、コンピューターに自我を持たせられる程の技術を確立しているとは到底思えない。

『先程、杉原大尉と比べて生還率が30%は落ちると伝えたが、私がバックアップをする限り15%までは引き上げられる。 余計なことは考えず、社中尉は操縦に専念して貰いたい』

 と、自身満々と言った様子?で答えるAsura-da。
 だが、不知火の機体動作パターンの算出が十分で無いことから、以前見せた自立機動は不可能だろうと葵から報告を受けている。 機械が大見得を切るはずが無いとは思うが、恐らくは今までに蓄積した数少ないデータで補正した結果を言っているのだろう。
 そんな気遣いともとれるAsura-daの言葉に隆は苦笑するしか無かった。

(くだらない話でも、会話をしていれば退屈しなくて済む・・・・・・か。 ムカつく口調だが、気晴らしになるのは間違いないな・・・・・・)

 上空を飛び退る哨戒ヘリを目で追いながら、何処かで動きでもないかと受信専用にしたオープン回線を開くと、ここ数日で聞き慣れた声が幾つも耳に入ってきた。


『―――ったく、いい迷惑だよなぁ、甘ちゃんたちのお守りなんてさぁ!!』

『ホント、貧乏クジもいいとこだよな。 流れ弾でとっとと死んでくれば楽なんだけどよ』

 いきなりの暴言に面を喰らったものの、会話の内容と発言している連中の声から、それがジャール隊の年少兵たちのものだと隆は気づいた。

(・・・・・・またか。 アイツらよっぽどブリッジスで遊びたいのか?)

 槍玉に挙がっているのはどうやらブリッジスのようだ。
 皮肉や妬みをぶつけやすいのだろう・・・・・・彼が米国人だからこそ。
 ジャール隊の年少兵にとって、恐らくその捌け口の相手は誰でもいいはずだ。 たまたまソ連に派遣された試験部隊に中に米国人の彼がいたからこそ矛先はブリッジスに向けられたが、もしかしたら隆がブリッジスの立場になっていたかもしれない。
 正直、気の毒だとは思うが犬に噛まれたと思って貰う他無い。
 それにこう言ってはなんだが、ジャール隊の年少兵の境遇に比べればブリッジスは遥かにマシな生活をアメリカで送ってきたはずだ・・・・・・妬まれるのも当然と言えるだろう。

「っと・・・・・・それを言えば一番妬まれるのは俺だな・・・・・・間違い無く」

 隆は、誰にも語ることが出来無い記憶を思い返し、自嘲気味な笑みを浮かべた。
 どんなにこの世界のアメリカが他の国より裕福だとしても、生まれただけで勝ち組と言われた元の世界の日本と比べれば遥かに見劣りするに違いない。
 幸せ・・・・・・なのだ、隆は。
 確かに彼はこの世界で悲惨な現実を体験したが、それは一時的なものであり、このどうしようも無い世界で長い年月を積み重ねてきた訳ではない。
 例えこれから先何年この世界で生きようとも、元の世界の平和な暮らしを知っている彼は、本質的な意味でこの世界の人間の境遇に共感することは出来無い。
 それが不幸なのか、それとも幸福なのか・・・・・・ そのことにすら気づかない隆に判断出来るわけが無いだろう。

『―――オイ、聞こえてくるくせにだんまりかよ。 情けないねぇッ!!』

『こっちは守ってやってるってのに、礼儀知らずなアメ公だなッ!!』

 ブリッジスへの暴言は苛烈さを増しつつあった。
 誰かが止めるべきなのだろうが、アルゴス試験小隊の周囲を囲んでいるのはジャール隊の面々と帝国軍から派遣された彼の同僚達。
 ジャール隊の指揮官であるラトロワが何も言わない以上、彼の仲間が口を挟む道理は無い。 
 まぁ例え道理があったとしても、向こうにいる彼の上司や仲間が他所の揉め事に首を突っ込むとは思えないが。

(いや、橘あたりがしゃしゃり出てもおかしくはないんだけどな・・・・・・ まぁ、好き好んで米国人の擁護はするわけないか)

 帝国軍人であれば、何らかの禍根を米国人に抱いていてもおかしくはない。
 だからこそ、世話焼きな彼女でもブリッジスを庇おうとしないのかもしれないが・・・・・・ 出撃前、少々様子がおかしかった彼女の姿を隆は思い出した。
 当初の予定では、複座の管制ユニットに隆が搭乗した際には彼女が同席する予定だったのだが、キート隊の人数不足からそれが叶わなくなり、こうして隆が一人で乗る羽目になった。
 そのことに関して間違いなく彼女が不平不満を垂れるであろうと隆は予測していたのだが、静流からそのことを告げられた栞は予想に反し特に意を挟むこと無くあっさりと承諾してしまったのだ。
 その時の彼女は・・・・・・ 普段と比べて何処かおかしかった。

(橘に何かあった・・・・・・とは聞いてないんだが・・・・・・)

 普段は見せない、彼女の作り物めいた笑みが隆の脳裏に浮かぶ。
 何かあったのかと葵に話を聞こうとしても、彼女も彼女で態度がおかしく声を掛けても顔を真赤にして口も聞いてくれなかった。

「・・・・・・なんだってんだよ。 ああ・・・・・・もしかして二人ともあの日か?」

 と、デリカシーゼロな発言を彼が呟いた直後、

『―――賑やかですね・・・・・・向こうは』 

 ヘッドセットから不意に聞こえてきた暗い声を聞いて、隆は自身の心拍数が跳ね上がったような・・・・・・気がした。 

「いや、賑やかでは・・・・・・ないと思うぞ? 向こうの試験小隊の連中にとっちゃ、青スジ立ててもおかしく無い話だし」

 むしろコイツがあの日か? と網膜に映る不機嫌そうな真奈美の顔を見ながら返答する隆。
 ・・・・・・正確には合成食料と各種薬剤の服用によって、前線で戦う女性兵士は女性特有の辛い日から解放されているのだが・・・・・・それはまた別のお話。

『―――そうですか? 私は聞いてて何度も頷いちゃったんですけど』

 何故か可愛らしく首を傾げて答える真奈美。
 ブリッジスへの罵倒を聞いて頷くようではマズイ、彼女のストレスが結構限界近くまで来てるんじゃないかと隆は判断したくなった。

(ああ・・・・・・静流さん言うとおりだったんだなぁ)

 網膜に映るバストアップされた真奈美を眺めつつ、ほんの数時間前に静流に言われた言葉を隆は思い出していた。
 イーダル試験小隊の警護につくキート隊の戦力が整っていないため、こちらから何人か増援として回す必要があると話していた時のことだ。。
 候補に上がったのは隆、洋平、そして真奈美。
 それを伝えられた際、隆は人選に問題ありと静流に変更を願い出た。
 イーダル試験小隊にはクリスカとイーニァが所属している。 先日のいざこざを考えて、自分が二人の警護につくのは互いのためにならないと思ったからだ。

「―――ふむ・・・・・・事情は分かった。 が、今回は真奈美を優先する・・・・・・ 色々溜め込んでいる様子だからな、これ以上ストレスを抱え込むのはチト問題だ」

 それを聞いた静流はあっさりとそう言い放ち、隆の願いが聞き入られることは無かった。
 現場にいなかったのでよく分からないが、久志の話によると真奈美はアルゴス試験小隊・・・・・・正確にはブリッジスと先日一悶着あったらしい。 真奈美の心情は理解できる、と久志が言うくらいだから彼女に問題があったとは思いたくない。
 ようは、その辺りを鑑みてアルゴス試験小隊から真奈美を遠ざけるために、彼女をジャール隊の警護に回すと決めたそうだ。
 自分も同じなんですけど、と隆は静流に言ってみたが 「子供じゃないんだ、そつ無くこなせ」 と一蹴されてしまい諦めるしか無かった。
 任務に私情を挟む真奈美は軍人として失格だが、どんなに衛士として優秀でも彼女はまだ18歳の子供だ。 
 大人として彼女をフォローしてやるのは当然と言えるのだが・・・・・・

(だからって俺が小隊指揮官かよ・・・・・・・・・・・・人の命を預かるなんて柄じゃないだけどな)

 半ば押し付けられた立場に彼が肩を落としていると、

『・・・・・・二人とも聞き耳を立てるなとは言わへんが、障子に耳あててスクランブルを聞き逃すなんてヘマするんやないで』

「―――流石は洋平、いいタイミングで突っ込んでくれる。 ・・・・・・そんな冷静な川井中尉殿に、臨時小隊長の任をお任せしたいのですが?」

 助け舟とはこのことか、隆は真奈美の暗い問答をスルーし、もう一機の僚機である洋平に軽口を叩いた。

『謹んで自体するわ、社臨時小隊長殿。 折角隊長から仰せつかった任を投げ出すのは関心せんなぁ』

「あんだよ、適材適所ってやつを知らんのか? 静流さんの思惑はどうあれ、操縦練度も戦闘経験もお前のほうが上だろう? 先任は先任らしく、後任のお守りをしてくれよ」

 我ながらなんと情けない言葉を言っているのだろうと隆は実感していたが、事実は事実だ。
 お前には適正があるとかなんとか静流は言っていたが、にわか軍人より歴戦の軍人が指揮を取ったほうがいいに決まっている。

『はッ 以前のヒヨッコに毛が生えた程度の隆だったらそうするわ。 ・・・・・・今のお前は自分で思ってるほど無能やないで? それが分かってるから隊長も指揮を命じたんや、もっと自分に自身を持つんやな』

 だと言うのにも、洋平はニヤリと笑いながらそう言い放つ。
 その笑みを見て、彼が今の状況を楽しんでいるだけと隆は気づいた。

「洋平・・・・・・前衛はお前に任せるからな、BETAだけじゃなく背中にも気をつけろよ。 ・・・・・・生憎と俺はまだこの機体に慣れてないからなぁ」

 ガシャガシャと、背部兵装担架に搭載した突撃砲を展開しながら暗い声で答える隆。
 
『何言っとるんや? 乗り始めて一週間とは思えんほど不知火を乗りこなしとるくせに・・・・・・』 

 呆れと関心が入り雑じった声で洋平はそう答え、何処か遠くを見るような瞳で続けた。

『―――実戦完熟が前線の作法か・・・・・・あながち間違いではないわけやな』

 そんな珍しい彼の態度に隆が首を傾げた直後、

『振動波感知。 波形パターンネガティブ。 HQよりコード911の発令を確認』

 Asura-daの報告と同時、ヘッドセットから警報が鳴り響く。
 様々な通信が交差し、騒然とした雰囲気が周囲に形成されていくのを肌で感じる。

「お出ましか・・・・・・ 回れ右してウチに帰ればいいものを」

 周囲の状況を他所に、隆は嘆息を漏らしながら待機状態だった乗機の出力を上げる。
 操縦桿を握る手は・・・・・・振るえちゃいない。
 大丈夫、今回も何時ものように上手く立ちまわるだけ、そう自分に言い聞かせながら眼を閉じて深呼吸をする隆。

『振動源増大。 BETA群、上陸まで残り10・・・・・・9・・・・・・8・・・・・・』

 それは殺し合いが始まるまでのカウントダウンであり、非日常の世界へ誘うハーメルンが奏でる音色。
 Asura-daの機械音声に促されるように、周囲に展開した戦術機大隊が突撃砲の銃口を海岸に向ける。 
 
『4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1・・・・・・エネミーコンタクト』

 機械に感情など無い。
 ただ事実を告げられた直後、海岸に幾つもの水柱が立ち上った。
 浅瀬に浮かぶ機雷が爆発することで出来上がった水柱の向こうに、見慣れた異形の生物が見え隠れするも、続く砲弾とミサイル群によってBETA群の先陣は脆くも吹き飛んだ。
 幾ら強靭な生命力を持つBETAといえど、それら圧倒的な火力の前には無力にも見えたが・・・・・・

『・・・・・・薄いな~ これじゃ面制圧で削れる数もたかがしれとるわ』

『戦車が足りませんからね、その分私達が頑張る必要があるんでしょうけど・・・・・・』

 砲火を前に、冷静に呟き合う僚機。
 その言葉の通り、圧倒的に見える砲撃も無限に続けられるわけではない。 装填や冷却といったプロセスを消化する際に生じる間を無くすために、各車両が効率的なローテーションを組むことで途切れのない砲撃を可能とするわけだが・・・・・・ この区域に展開している砲撃部隊は従来の規定数を大幅に割り込んでいる。
 その穴を埋めるかのようにTu-22部隊が低空をフライパスして爆弾を投下していくが、所詮は一時的なものでしか無く、砲撃の合間を縫うようにしてBETAが次々と上陸を果たして行く。
 隆はその光景を眺めながら、予定よりも早く自分たちの出番が回ってくるだろうと予想していると、

『―――アルゴス01よりジャール01。 支援砲撃強化を要請すべき認む』

 砲撃が薄いことを察したのか、ブリッジスが護衛部隊の指揮官へ援護の要請を求む通信が耳に届いた。

『・・・・・・ふん。 あの人、この程度で支援を求めるんですね』

 真奈美もそれを聞いていたのか、心底呆れた声でそう呟いた。
 声にこそ出さなかったが隆も彼女と同じ気持ちだった。
 BETAとの戦闘において、満足な支援が望めない状況など幾らでもある。 特に欧州での戦闘は複雑な地形と内陸部での戦闘が多かったため、打撃支援が望めない機会が多々あった。
 この程度は想定の範囲内だ、一々わめき散らすようでは程度が知れる。
 
(・・・・・・米軍・・・・・・いや試験衛士ってことで優遇されてたのかね)

 ブリッジスに軽い失望を漏らす隆。
 だが隆たちは知らない。
 ブリッジス達よりも一足空きにこの地に訪問し、ソ連軍と共に戦闘に参加していたことで彼らはブリッジス達が知ることが出来ないソ連軍の実情を知っていたことを。
 当然、ソレはブリッジス達に伝わっていると思っていたのだが、彼ら試験部隊はその性質上半ば隔離された状態であり、更にソ連軍側が必死になって隠匿していたせいで知る由も無かった。

『キート01よりランサー05へ。 司令部より命令がきた、ブリーフィングに変更は無しとのことだ。 ・・・・・・情けない話だが、宜しく頼む』

 ブリッジスの通信を冷めた気持ちで聞いていた隆に、キート大隊を率いるロヴァノフより通信が入る。

「ランサー05了解。 精々逃げまわって見せますよ」

 MIG-21より圧倒的に勝る不知火の機動性を持ってBETAを撹乱、陽動、それが彼ら帝国軍の衛士に任された役割である。 
 自らの力不足を恥じ入るロヴァノフだが、全ては効率を優先させた結果であり、陽動を務める彼らも納得して参加している以上、恥を感じる必要はなかった。
 確かに陽動任務は危険だが、所詮ここは光線級が存在しない戦場だ。 いざとなったら高度を上げればいいだけだと隆は考えていた。
 上陸を果たしたBETAの先陣が地雷原に突入したことで、盛大な土煙が巻き起こる。
 足を吹き飛ばされ、それでも地面を這う突撃級の滑稽な姿が目に映るも、次第に戦線は内陸に近づきつつある。 次の斉射で戦車隊は一端後方に退避し、代わって戦術機甲部隊による遅滞戦闘が始まるだろう。

「前衛は二人に任せる。 離れたとこから見ててやるから頑張って跳ね回れよ?」

 僚機へそう声を掛けて跳躍ユニットに火を入れようとした隆だったが、自分達よりも前に進む機体を目にしたことでその動きを止めるしかなかった。

『イーダル01からキート01へ。 こちらは作戦計画に従い試験項目を消化する』

 クリスカの抑揚の無い声がヘッドセットから聞こえてくる。
 彼女たちは後方支援のはずでは? と隆が当初のブリーフィングの内容を思い出していると、ロヴァノフが厳しい口調で彼女を止めに入った。

『待てイーダル01、貴官達は後方支援の任が命令されているはずだ。 今回の作戦における試験部隊のテストは、帝国軍機が扱う新型火器による支援砲撃のみ。 焦る気持ちは分かるが、作戦に従って行動して貰いたい』

 言い聞かせるような内容だが、その言葉には苛立が含まれていた。
 貴重な機体にもし何かあれば、その責任は警護部隊を指揮する彼に集中するに違い無い。
 ただでさえイーダル試験小隊は、当初この作戦には組み込まれていなかった部隊だ。 警護部隊の拡充と言う、余計な手間が増える原因になった彼女たちを快く思うわけがない。

『―――問題ない。 先ほど司令部から許可が出たはずだ』

『なに? ・・・・・・待て、確認する』

 その心情を他所に、堂々と言い放つクリスカの物言いを耳にしたロヴァノフは、直ぐ様部隊に待機を命じて司令部へ通信を繋いだ。
 そのやり取りを脇目に見ながら隆は上陸を果たしたBETA群に目を向けると、左翼に展開していたジャール隊のSU-27が、地雷、砲撃をくぐり抜けた突撃級へ向けて機動砲撃を行っている場面だった。

「へぇ・・・・・・ 大したもんだな、あの連中」

 統率された動きでもってBETAを次々と狩るSU-27の集団を見た隆は、素直な感想を口から漏らした。
 生意気な子供ばかりだと思っていたが、あの大層な口ぶりは明確な実力に裏付けされたものだったようだ。
 彼らを子供扱いした自分だが、それは彼らのプライドを傷つける行為でしかなかったのかもしれない。
 そんな今更な後悔を隆が感じ始めていると、再びロヴァノフから通信が入る。

『・・・・・・キート01より各機へ。 司令部から戦車隊の後退が開始されたとの通達があった。 我々は現区域において彼らの後退を支援する。 ・・・・・・喜べジャール01、その支援に貴様を参加させろとのことだ』

 唸るような声音から、彼がその命令を心から承服していないことが伺い知れる。

『了解した。 先方は我々が務める。 貴官たちはこの場所で迎撃に当たられたし』

 クリスカはそう言い放ち、機体を一歩前進させる。
 一緒に搭乗しているイーニァが何も発言しないことを隆は訝しげに思ったが、作戦中は年かさのクリスカが全ての発言権を握っているのだろうと判断した。 そして、自ら先方を務めると言い出した彼女の態度を見て、クリスカに感じていた軍規に縛られた冷たい女というイメージを訂正した。

『それは許可できない。 交戦許可は出たが貴官達は試験小隊だ。 必要以上に戦闘に参加し、貴重な機体にいらぬ傷をつけることは我々だけでなく祖国や党にとって不利益なことになる。 ブリーフィング通り、帝国軍の彼らの力を借りての遅延戦闘を行う』

『―――我々の大地を自らの手で守ろうとせず、属国風情に任せるというのか?』

『言葉を慎めビャーチェノワ少尉。 随分と自信有り気だが、生憎と我々のMIG-21では貴官のSU-37UBの援護を行うことは性能的に不可能だ。 たった一機の機体で何をするつもりだ?』

『愚問だ。 我々はBETAを葬る。 それ以外に何がある?』

 余程の自信があるのか、それとも会話の意図が通じていないのか、一歩も引く態度を見せないクリスカの態度を察し隆は仕方なく横から口を挟んだ。

「・・・・・・押し問答もいいが、無駄な時間を費やす分だけ多くの同志とやらが危険に晒される可能性が増えるってこと・・・・・・わかってるか?」

『・・・・・・』

 クリスカは何も答えない。 答えないが、ソレ以上の軽口は許さんとばかりに、無言の圧力を送ってきているように隆は感じた。

『―――すまないランサー05、貴官の言う通りだ。 ・・・・・・悪いがイーダル01の支援、そちらに任せても構わないだろうか?』

「ん? あ、ああ、ランサー05了解。 こちらとしては問題ないんだが・・・・・・」

 突然振られた問いに曖昧な返事を返すほかない。

『―――キート01、私にコイツらと飛べと言うのか?』

『そうだ。 彼ら帝国軍が使用している機体は噂に名高いTYPE94、第三世代機ならば貴官に追従できると思うが? そんなに戦いたければ彼らと行動を共にしろ、でなければ貴官達には戦車隊の随伴にまわってもらう。 それも支援行動に違いは無いからな』

 ロヴァノフの物言いに、クリスカは一言 『了解』 とだけ答えた。
 その言葉には、BETAへの憎しみよりも戦闘行為への執着心が勝っているようにも感じ取れたが、戦闘狂なら兎も角、クリスカがそんな自分の意志を優先させるような人間には見えない。
 ・・・・・・オルフィーナとは違った意味で、クリスカも自己が欠落しているように見える。

『なんや・・・・・・ 面倒なことになったもんや・・・・・・』

 キート隊を後方に従え進出するBETA群に向けて噴射跳躍を行うと、それまで黙っていた洋平がポツリと呟いた。
 隆は何も答えず自機の背後にピッタリと追従してくるSU-37UBに視線を送り・・・・・・洋平と同じく、面倒なことになったと内心で肩を竦めた。
 不知火とSU-37UBで連携を組む・・・・・・異種機体間では連携を取りづらいとされるが、それは彼らに取ってさしたる問題ではない。 異種機間での連携など、隆が胡蜂で百里に来てから当たり前のように行ってきたからだ。
 問題は搭乗者の癖や、向こうの機体のスペックが分からないと言うことだ。 試験部隊が扱っているような機体のデータなど、不知火のデータバンクには登録されてはいない。

(・・・・・・武装を見る限り強襲掃討仕様か。 俺と一緒に後方からの砲撃を任せればいいか)

 SU-37UBの武装を確認した隆はそう判断し、伝えようとレシーバーのスイッチを押した瞬間・・・・・・






 ―――戦場の空を、神々しい光が切り裂いた。








 ▽
 妙高級重巡洋艦・妙高
 艦内CIC

「・・・・・・これほどとはな」

 モニターに映し出された戦場の光景を目の当たりにし、瀬戸は心から感嘆とした声音でそう呟いた。
 弐型・・・・・・いや、試作99型砲の威力は絶大だった。
 たった一度の射撃で数百体のBETAを屠るその威力は、単機の持つ火力として規格外と言っても過言ではない。 妙高のCICにて戦域管制を務める情報士官たちも、これまでに見たことのない戦場の様相を垣間見て、コンソールを操作する手が止まっていた。

「・・・・・・海兵隊が、アレの制式採用を躍起になって推し進める理由が分かりましたね」

 ポツリと、抑揚のない麻香の声がCICに響き渡る。 その声を耳にした情報士官たちは一斉に我に帰り、自分たちの仕事を再開し始める。

「―――確かにな。 これだけの威力を見せ付けられれば、誰もが咽から手が出るほど欲しがるだろう。・・・・・・現に私も、アレを機動力のある駆逐艦に搭載できればと考えてしまったよ」

 傍らに立つ麻香へ瀬戸はそう答えながら、内心では今後起きるであろう権利争いを想像して小さく溜息をついた。
 今回、試作99型砲が齎した戦果は帝国軍に様々な混乱を生むだろう。 今まで机上の空論とされていた技術が実証され、明確な形となって結果を見せたのだ。 それまで試作99型砲に見向きもしなかった連中が、今回の結果を目にして群がってくるのが容易に想像できる。
 そんな瀬戸の不安を他所に、再び弐型が使用した試作99型砲によって多くのBETAがレーダーから消える。

「―――試作99型砲の威力もさることながら・・・・・・ 弐型を操る試験衛士、ユウヤ・ブリッジス少尉だったかな? いい腕をしている。 流石は米軍の衛士・・・・・・シミュレーターでの経験も無しに、アレだけの巨砲を苦も無く扱っているのだからな」

 自身の不安を打ち消すかのように、微笑を浮かべながら瀬戸は麻香へ声を掛けた。
 混戦の中、ブリッジスは見事な射撃で的確にBETAを狙撃し続けている。 同じ不知火を扱う帝国衛士の中でも、あれだけの狙撃能力を持つ人間は果たして何人いるだろうか?

「・・・・・・・・・・・・」

 瀬戸の言葉を受け、モニターに映る弐型を見据える麻香の脳裏に、それを可能とする衛士が一人浮かんだ。

「ふむ・・・・・・麻美君ならば、彼と同じようにアレを扱えるかな?」

 ポツリと呟いた瀬戸の言葉に麻香は頭を横に振った。
 帝国軍、いや斯衛軍において、射撃技能に関しては並ぶモノがいないとまで言われた逸材である麻美は、二人の共通の知己である。 そんな彼女の腕を知っているために、どうやら同じ人物に思いついてしまったらしい。
 だが麻香は、瀬戸ほど自分の妹の腕を評価していなかった。

「―――いえ、麻美の得意分野は高機動砲撃戦ですので・・・・・・ 彼ほどの狙撃能力は持ちあわせてはいないでしょう」

 端的に事実のみを伝える麻香。
 確かに彼女の妹は卓越した砲撃能力を持っている。 その技術の裏付けがブリッジスと同じものだとしても、あの落ち着きの無い妹に狙撃のセンスなどあるはずがない。

「―――相変わらず君は麻美君に厳しいな・・・・・・ 帝国軍の衛士なら兎も角、米軍へ出向経験のある斯衛軍の衛士など中々いないと言うのに・・・・・・」

「その経験を碌に活かせなかった愚妹です。 ・・・・・・私に言わせれば、閣下こそアレに少々甘過ぎるように見えますが?」

 有無を言わさぬ麻香の返答に、瀬戸は小さく肩を竦めて頭を振った。
 奈華宮麻美は五年前・・・・・・まだ日米友好条約が正常に機能していた頃に、日米技術交流の一環としてアメリカに身を寄せいていた時期がある。 その頃に培った技術があるからこそ今の彼女がいるわけだが・・・・・・ 当時なら兎も角、現在の帝国に米国に身を寄せていた武家の息女を好意的に思うものは少ない。
 だが、それは色眼鏡で見るモノたちの話であり、家族である彼女までもが厳しく言う必要はないのだが・・・・・・ そう言わざる得ない彼女の立場を思い返し、瀬戸は溜息混じりの言葉を吐き出した。

「甘いか・・・・・・確かに甘いかもしれんな。 だがソレは、他でも無い君の妹だからだ。 金谷麻香・・・・・・いや、奈華宮麻香の妹だから私は彼女を甘く見てしまうのだよ。 ・・・・・・ふん、これでは軍人として失格だな」

 言って瀬戸は帽子を深くかぶり直し、自嘲気味に口元を歪める。

「閣下・・・・・・ 申し訳ありません、言葉が過ぎました」

 深々と、自分の発言の非礼を詫びる麻香。

「―――構わんよ。 君の立場であれば、そう言わざるえないのは理解している。 だが、麻美君はあの米海軍が誇る特殊機甲強襲連隊・・・・・・ ストライク・ワイバーンズに所属し優秀な結果を残したのだ。 同じ船乗りとして、連中の鼻を明かしてくれた彼女を悪く言う人間は海軍の何処にもいやせんよ・・・・・・ いや、いたとしても俺が許さんがな」

 鼻を鳴らして話していた瀬戸だったが、最後にはニヤリと笑みを浮かべてそう言い放った。
 その笑みに戸惑いながら麻香は、心の中で再度部下に・・・・・・いや家族に甘い上官へ深々と一礼した。

 そのとき、そんな二人のやり取りに水を差すような声がCICに響き渡る。

「いや~ 綺麗なもんですねぇ~ まるで花火じゃないですか~?」

 相変わらず脳天気な言葉を吐きながら現れる石井の姿に、二人は小さく溜息をつくことしか出来なかった。

「・・・・・・BETAの血煙と破片が舞い散る光景が花火ですか。 石井大佐の狂った価値観は今尚健在のようですね」

「む、酷いですね麻香さん。 確かに本場の花火に比べれば風情は事欠きますが、この光景は人々を楽しませることに変わりはありませんよ?」

「・・・・・・楽しむ? ・・・・・・この光景をですか?」

 訝しげな麻香の問いに、石井は満面の笑みを浮かべて頷く。

「ええ、勿論ッ!! あのBETAがまるで水風船のようにはじけ飛ぶ姿なんて・・・・・・ 連中に煮え湯を飲まされた人々なら諸手を挙げて喜んでくれるに違いありませんよ!!」

 心底、心底楽しそうに石井は両手を広げてそう叫ぶ。
 不謹慎な物言いではあるが、その言葉には一理あった。
 家族を、戦友を、住む場所を、大切なものをBETAに奪われた人間は数多く存在している。
 だからBETAを憎むことを否定することなど出来無い。
 麻香にもBETAを憎む気持ちはある。 亡き彼女の夫も、間接的に見ればBETAに殺されたようなものだからだ。
 だが・・・・・・顔に笑みを貼りつけ、心底楽しそうにモニターを眺める男の心には、BETAに対する憎しみなど本当にあるのだろうか?

 ある・・・・・・に、違い無い。 その理由を知っているが故に麻香もソレを確信しているが、道化じみた彼の普段の姿を見ていると、その本心を忘れてしまいそうになる。

「―――喜ぶのもいいが・・・・・・いいのかね? アレ以上の見せ場・・・・・・君は用意できるのかな」

 瀬戸から一瞥と共に送られた言葉に石井は、「問題ないでしょう」 っと気楽に答えた。

「第壱開発局とウチとじゃベクトルが違いますからねぇ・・・・・・ それに試作99型砲は素晴らしい兵器ですが、量産の目処が未だに立ってない欠陥品です。 だと言うのに、それでお茶を濁そうとする巌谷中佐には少々失望しましたが・・・・・・ まぁあの人の思惑を考えれば、あんなモノに固執する必要など無いんでしょうけどね」

 ヘラヘラと笑いながら一端そこで言葉を区切り、大仰に肩を竦めて彼は続けた。

「利用出来るものは最大限に利用する。 その気概は僕も同じです・・・・・・ 見せ場なんてものは幾らでも用意してみせますよ。 そのために今回は閣下のお手を拝借したわけですし」

「・・・・・・それが無駄手間にならないことを願うばかりだな」

 皮肉にも聞こえる返答を返された石井だが、特に気にした様子も無くモニターに映る弐型に視線を向ける。

「―――第壱開発局の皆さんはアレの解析に難儀しているようですが・・・・・・ 僕も気になりますねぇ、一体、どうやってあの出力を確保しているのか」

 心意の読み取れない笑みを浮かべ、ポツリと石井は呟く。
 モニターは試作99型砲が放つ光条によって幾度となく激しい光を放っている。 その光に照らされながら、石井は涼し気な口調で続けた。

「・・・・・・魔術の秘技。 その根源を解き明かすことが科学の発展に繋がる・・・・・・ だからこそ行き過ぎた科学は魔術と混同される。 人ならざる手によって生み出された外法であるが故に・・・・・・ね」

 喜怒哀楽の一切を見せない微笑の仮面、その奥に潜む真意を伺い知ることは出来無い。
 
 石井正、この男の台頭によって世界は変わる。
 ゆるやかに・・・・・・だが確実に、世界を渡る男が望む未来とは別個の未来が築かれる。

 【ものがたり】は始まる ・・・・・このソ連の大地から。








 ▽

『な、なんですかッ!? 何が起きたんですかッ!?』

 突然の光景を見て軽くパニックに陥った真奈美の叫びに、隆は呆けていた意識を覚醒させた。

「アシュ公ッ!! 状況報告ッ!!」

 隆はCPに説明を仰ぐよりも、搭乗している機体に搭載された支援システムに聞いたほうが早いと判断。 その予想通りAsura-daは簡潔に現状を知らせてくれた。

『アルゴス試験小隊が試作火器を使用した模様。 凡そ300程の個体がレーダーから消えている』

(一瞬で300ッ!? レールガンって奴はそんなに威力あるのかよッ!!)

 内心で驚愕しつつ、隆は再び戦場を震わせる轟音と閃光に肩を竦める。
 直後、戦術マップに表示されていた赤い光点が、隣の区画から一直線に伸びた形でごっそりと消えている
 その表示結果に戦慄を覚え、試作99型砲を扱っている弐型をズームアップした瞬間、目を潰さんばかりの閃光が銃口から煌き、再びBETAの光点が大量に消え失せた。

『・・・・・・戦場が変わる・・・・・・ BETAとの戦いがコレで変わるかもしれへん』

 ポツリと洋平が呟いた言葉に、隆を含めてその場にいた全ての将兵が頷いた。
 たった一機の機体が持つ火力で数百、いや数千のBETAを殺せる。 今はまだ試作段階かもしれないが、アレが量産され前線に配備されれば、死と隣り合わせの戦いから抜け出せるかもしれない。

 誰もがそんな未来を夢見、ユウヤが搭乗する弐型が放つ閃光に見惚れ・・・・・・・・・・・・現実に引き戻された。

『―――BETAを前に、余裕だな貴様らは』

「ッ!!」

 クリスカの冷淡な言葉を耳にし、隆を含めた三人の帝国軍人は直ぐ様我に帰ったが、展開していたキート大隊の面々はその反応が一瞬遅れ、結果数機のMIG-21がBETAの波に飲み込まれた。

『こ、こいら急に進路を変え・・・・・・あぁぁぁっぁぁッ!!』

『なんなんだ、なんなんだよコイツらッ!!』

『駄目だ、跳躍ユニットをやられたッ!! 飛べないッ!!』

『冗談じゃないッ!! 中央のお守りで死ぬなんて俺は嫌だぁぁぁッ!!』

『エレメントを崩すなッ!! 全機後退、体勢を立て直すッ!!』

 ロヴァノフが必死になって部隊の統制を回復させようとするも、彼の部下の反応は絶叫と共に次々と消え失せる。

「くそ・・・・・・ こんな動き、見たことないぞッ!!」

 こちらに向けてただひたすら突進してきたBETAだったが、その動きが突如として変わった。
 何か目的のモノを見つけたかのように、一斉にその進路を変えたのだ。
 予想外の行動に対処できなかったキート隊のMIG-21が数機墜ちたが、BETAが目の前の敵を無視して動き出すなど誰にも予想できるワケが無い。

『進路算出。 アルゴス試験小隊所属機、不知火弐型がいる地点に向けて進路を変えたと推測』

「はぁ!? レールガンなんて火器があるから、BETAの脅威度が変わったってっかッ!? いい迷惑だな、オイッ!!」

 Asura-daの回答に戦技教本の一項目を思い出しながら隆は叫んだ。
 歩兵よりは戦車を、戦車よりは戦術機を、戦術機よりはミサイルを、BETAは脅威度の高い順に狙いをつける習性があるとされる。
 差し当たって、この戦域では弐型と試作99型砲が最も驚異とBETAに判断されたと思えば、この突然の進路変更にも頷ける。

『手痛いしっぺ返しやなッ!! 連中の予測は全くできへん・・・・・これだからBETA戦ってやつは始末が悪いんやッ!!』

『無駄口を叩くなランサー02ッ!! ランサー05よりCPへ!! 連中の進路が変わったッ!! 第一区に上陸したBETA群は方位をSWに変更、俺たちだけじゃ塞き止められない!! 直掩機を回すか砲撃支援を・・・・・・しまッ!?』

『6時。 突撃級3』

 自身の驚愕とAsura-daの警告音が重なる。

 「ッ!! んなくそぉぉぉッ!!」

 機体を反転させて背後から迫る突撃級へ120㎜を放つが、撃ち貫けたのは二体のみ。
 残った一体が土煙を上げながら迫る。 必死に回避コマンドを入力するが・・・・・・・・・機体が動きだすと同時、突撃級の衝角が不知火を襲った。

「ぐぉぉぉぉぉぉッ!!」

 凄まじい衝撃に体を揺さぶられれ苦悶の声を上げる隆。 飛びそうになる意識をなんとか繋ぎ止め、揺れる視界で機体の状況を確認する。 右脚部がロスト、どうやら突撃級の衝角をモロに喰らって吹き飛んだらしい。 回避機動中だったせいか、それ以外の箇所に大きな損傷が無いのは救いだった。

「ッ!! 隆さんッ!?」

 真奈美の悲痛な叫びが耳に届く。 だが、その声が聞こえることに隆は感謝した。

(生きてる・・・・・・ まだ生きてるッ!!)

 最早二度と歩けない状態ではあるが、死んでいなければどうにかなる。
 殆どのBETAが一直線に弐型に向かっており、動きを止めた自機に向かってくる個体はいなかった。
 だが状況は予断を許さない、連中の気まぐれがこちらに向けばそれで終わりだ。

『社中尉。 システムの再起動は済んだ。 戦闘の続行は可能』

「・・・・・・はいはい、全くお前のその口調をプログラムしたのはどんな奴なのかね・・・・・・ 会ったら嫌味の一つでも言わないと気が済まなないぞ」

 急かすAsura-daにそう答え、隆は機体を立て直そうとするも・・・・・・片足を失った戦術機に満足な戦闘は望めない。 幸い武装の類は問題ないので、この場所で固定砲台の真似事はできるが・・・・・・

(・・・・・・銃口向けた途端に襲いかかってきたら、今度こそ終わりだな)

 悲惨な現実を想像し、隆の背筋に冷たい汗が流れる。
 慣れた・・・・・・もう感じ無いと思っていた恐怖が、鎌首をもたげて自分を狙っている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 要撃級の一体と、目があったような気がした。
 その瞬間、頭痛と同時に悲惨な死体の姿が彼の脳裏に幾つも浮かび上がる。
 脈拍が、心拍が、意志とは裏腹に乱れていくのが自覚できる。
 悲鳴を漏らしそうになる口をなんとか閉じ、湧き上がる恐怖に足掻らいながら、隆は機体をなんとか立たせようと操縦桿を押し込んだ直後・・・・・・

『3時方向。 要撃級2』

 絶望的な状況に相応しい、Asura-daの無機質な機械音声。
 視線をそちらに向ければ、土煙を上げながら突進してくる二体の要撃級の姿が確認できる。
 這いつくばった状態ではあるが、右腕の突撃砲を向けて36㎜砲弾を斉射。 砲弾は一体の要撃級の脚部を砕き、その場に転倒させることに成功。 もう一体も、近づいてきたところを冷静に120㎜砲弾で狙い撃って撃破。
 辛くも危機を脱出したかに見えたが、その光景に引き寄せられたのかのように、戦車級の一群がワラワラとはい寄って来る。

 【戦死した仲間の墓参りがしたければ、戦場で戦車級を拝め】

 誰から聞いたか忘れたが、そんな格言にも似た忠告が隆の脳裏に過ぎる。

「―――死ねるかぁぁっぁぁぁッ!! こんな場所でぇぇぇぇぇッ!!」

 戦車級を間近にしたことで、隆の中で何かが・・・・・・切れた。 
 両手の突撃砲、そして背部兵装担架に搭載した突撃砲を稼働させ、水平掃射で戦車級を迎え撃つ。
 残弾が凄まじい勢いで減っていくにも構わずにトリガーを絞り続ける隆。
 そんな目の前の敵しか見えていない隆は・・・・・・指揮官として間違いなく失格だった。 僚機の存在を確認するよりも、目の前のBETAを殺すことを優先させてしまったのだ。

 恐怖感から、などという言い訳は通用しない。
 軍人として適切な教育を受けていないから、などという言い訳は更に通用しない。
 彼の実力と判断力を評価して、静流は彼に小隊の指揮官を命じたのだ。
 隆はそんな彼女の機体を裏切った・・・・・ 一番、見苦しい形で裏切ってしまったのだ。

 重ねて言う、例えこの恐慌が過去に受けた後催眠暗示による結果だとしても、言い訳にはならない。

「・・・・・・た、弾切れッ!? 弾装の交換を・・・・・・ッ!!」

 突撃砲の残弾がゼロになって、隆は初めてソレに気付く。
 地に伏した状態では、副腕を用いても腰部に収納された弾装を取り出すことは出来無い。
 カチ、カチ、っと反応の無いトリガーを引き続ける間にも、仲間の死骸を乗り越えて戦車級が次第に距離を詰めてくる。
 このままでは喰われる。 あの強靭な顎で、戦術機の装甲ごと貪り食われる。
 咄嗟に機体から脱出しようかと考えたが、この機体には強化外骨格が搭載されていない。 生身一つで外に出るなど・・・・・・出来るわけがないッ!!

「くそッ!!」

 意を決し、突撃砲を捨て腕部ナイフシースから短刀を引き抜く。
 その鈍く光る刃の刀身を見て、漸く隆の理性が少しだけ回復する。
 僚機は? 真奈美と洋平の不知火は? キート隊のMIG-21は一体何処にいる?
 自分を救ってくれる存在を思い出した直後、周囲に近づいてきた戦車級に砲弾の雨が降り注いた。
 安堵と、未だ拭えぬ恐怖心の狭間で、隆は自分を救ってくれた機体を仰ぎ見る。

 紫と白で塗り分けられ、凶悪な面構えを持ちながらも儚げな二人の少女が操る戦術機を。

『タカシ。 こわがらなくてもだいじょうぶだよ』

 まるで子供に言い聞かせるかのような、優しげな声が彼の耳に届く。
 それがイーニァの声だと隆が理解するよりも早く、両手に持った突撃砲をBETAに向けたSU-37UBが不知火の前に降り立った。

『マユミからいわれてるの。 おにいちゃんにあったらまもってあげてって・・・・・・だからまもるよ。 ね? クリスカ?』

『・・・・・・・・・・・・祖国の大地を、貴様のような奴の血で汚したくないだけだ』

 恐ろしく素直なのか、それとも弄れているのか、ぶっきらぼうに答えるクリスカの言葉に呆気に取られている間に、二人が乗るSU-37UBは向かってくるBETAの迎撃を始める。

『隆さんッ!! 生きてますかッ!? 隆さんッ!!』

『落ち着くんや真奈美ッ!! バイタルで生きとるのは確認できるわ。 隆、さっさと起きるんやッ!! 寝腐っとる場合やないでッ!!』

 SU-37UBが迎撃行動に移ると直ぐに、悲痛な叫び声を上げながら真奈美と洋平の乗る不知火が近づいてきた。
 三機の戦術機に周囲を守られ、パニックに陥りかけていた隆の脳が次第に冷静さを取り戻していく。

「・・・・・・すまん・・・・・・大丈夫だ」

 頭を振って搾り出すような声で二人にそう答える。
 両手に保持した残弾の無い突撃砲を破棄、開いた手で機体の上半身を起こすも、足の無い不知火ではソレが精一杯だった。

『機体を放棄しろ。 貴様が脱出するぐらいの時間は作ってやる』

『ソ連さんの言うとおりや、メットつけてさっさと出てくるんやッ!!』

『私の機体に乗ってくださいッ!! 隆さんが出てきたら直ぐにハッチを開けますッ!!』

 隆の状態を確認したクリスカの提案に同意する二人。
 この状況でその案を否定することは出来ないのだが・・・・・・ Asura-daのことを考えると隆はどうしても二の足を踏んでしまう。
 この口の聞き方がなってないAIもどきを心配しているわけではなく、葵を初めとする光菱の技術陣がコレに入れ込んでいる姿を見てしまうと、この場で機体ごとAsura-daを放棄するのが心苦しくなってくるのだ。
 僅かな逡巡のすえ、隆は自身の腕を信じることにした。

「機体の放棄は出来無い。 ・・・・・・ビャーチェノワ少尉たちの前で言うことではないが、ここはソ連領内だ。 帝国軍の貴重な機体を・・・・・・残骸とは言え、彼らの手に渡すわけにはいかない」

『なッ!? 何言ってるんですか隆さんッ!! 自分の命よりも機体が大事だって言うんですかッ!!』

「・・・・・・少なくとも、試験小隊の連中ならそう言うだろうな」

 言いながらSU-37UBに視線を向ける隆。 自身の発言に対し、クリスカが何かを言ってくるかと思ったが、彼女は何も語らず向かってくるBETAに砲撃を続けている。
 
『だったらどうするつもりやッ!! この場所を確保できるのも時間の問題やぞッ!?』

「・・・・・・どうやら戦車隊の撤退は済んだようだ、俺達もとっとと撤退することにしよう。 後始末はブリッジスに任せればいいさ」

 試作99型砲の砲撃は今尚断続的に続いている。 あの威力ならば、上陸を果たしたBETAをあらかた殲滅できるだろう。

『退避って、隆さんはそんな状態でどうやって退避するつもりですかっ!?』

 真奈美の言うとおり、足を失った機体で退避するのは不可能に見えるが、生憎と戦術機は人型であって人型では無い。

「―――こうするんだよ。 アシュ公、機体補正は任せるぞ」

『了解』

 内心の動揺を押し殺し余裕たっぷりに口元を歪めた隆は、簡潔に答えるシステムに一抹の不安を覚えつつも、意を決して機体を操作し始めた。
 片足を失った人間は立てない。 杖をつくか、何かに捕まらないと立つことが出来無い。
 だが戦術機はどうか?
 人型と言う、二足歩行で大地を踏みしめる戦術機もその例外では無いが、戦術機には人には無い部分が多々ある。

「・・・・・・・・・・・・潰れるなよ」

 小さな希望を呟き、隆は操縦桿だけでなくコンソールまでも操作して不知火に一連の動作を入力する。
 上半身を持ち上げていた腕部に許容量を超える電力を送り、戦術機の筋肉とも言える電磁伸縮炭素帯が損傷するのも厭わず・・・・・・機体をその場で倒立させる。

『んなッ!?』

 洋平の叫びを他所に、奇跡的に無事だった跳躍ユニットを反転させて機動。
 出力をゆっくりと上昇させて機体を持ち上げようとするが、それよりも早く自重に絶えきれなかった両腕部が過負荷で潰れた。

「んなくそッ!!」

 繊細なスロットル操作を行う余裕は最早無い。
 ロケットモーターにこそ点火しなかったが、隆は跳躍ユニットの出力を一気に上昇させて機体を浮上させた。 
 
「ドルフィンライダーなら・・・・・・コレぐらいの芸当は出来るはずだッ!!」

 フラつく機体を必死に制御し、跳躍ユニットの出力調整と角度調整を駆使して不知火を滞空させる。
 それは綱渡りの芸当だった。 ほんの少しのミスで機体はバランスを崩し、再び地面とキスすることになる。 しかも脆い第三世代機がそう何度も大地に激突して無事て済むハズがな。
 たった一度のミスも許されない繊細な機動操作を要求される芸当だが、あのイルカ乗りたちであればこの程度の曲乗りなど造作無くやってのけるに違い無い。
 彼らの高みを目指している以上、この程度で躓くわけにはいかなかった。

『・・・・・・器用な男だ』

『・・・・・・無茶する奴やなぁ・・・・・・ホンマ』

 呆れたような、それでいて何処か感心した声音で呟く洋平とクリスカだったが、網膜に映る機体ステータスに目を通した隆は乾いた笑みしか返せなかった。
 跳躍ユニットを絶えず吹かしているだけあり、推進剤が目に見えて減っていく。 そう長くは持たない、早急にこの区域を退避する必要があった。

「アシュ公・・・・・・キート隊の状況は?」

 猛烈な勢いで通りすぎていく突撃級を見下ろしながら、隆は同じくBETAに飲まれたキート隊の安否を尋ねる。
 絶大な威力を見せた試作99型砲だが、結果として前線ではそこかしこで混乱が生じていた。
 当たり前だ、事前に知らされていたとしても、突然戦場全体のバランスを崩しかねない力が振るわれたのだ。 今までに見たことの無い光景を前にして、全ての将兵がこの状況に対処できるワケが無い。

『反応がロストした機体は6機。 中破、小破した・・・・・・』

 Asura-daの報告と同じくして、試作99型砲から放たれた砲弾が前方を進むBETAを薙ぎ払った。
 光条が過ぎ去った後、そこには何も残っていなかった。
 BETAは肉塊を残すわけでもなく、砲弾が突き刺さった瞬間に赤黒い血煙となって消えた。 要撃級も突撃級も戦車級もみな等しく、極小の破片か体液の霧へと変貌する。
 音速を越える砲弾が通り過ぎた余波か、轟音と同時に機体を揺さぶる衝撃波が届く。
 衝撃波が機体を震わせる・・・・・・それ程の至近弾が数瞬前に通り過ぎたことに隆は戦慄を覚えた。

『殺す気か糞ヤンキーッ!! 調子の乗ってぶっ放すなワレぇぇぇぇッ!!』

『友軍がいるのにッ!! IFFを見てないのッ!?』

 友軍誤射の恐れを感じた洋平と真奈美がオープン回線で怒声を上げる。
 轟音が響き渡る中、それがブリッジスに通じたかどうかは分からない。
 もし通じていたとしても、己の腕に自信を持っているブリッジスは、そんなヘマはするかと笑っただろう。
 だが彼の実力など、三人は知らない。 
 ブリッジスがトップガンの一員だったと資料で知っていても、そんな紙に書かれた情報だけで彼に全幅の信頼が置けるわけがない。

「フレンドリーファイアをしなければ・・・・・・いいってもんじゃないんだぞブリッジスッ!!」

 そう吐き捨てた隆は、探していたキート隊の機体を漸く確認できた。
 BETAと試作99型砲の砲撃に翻弄されながらも、必死に生き延びようと足掻く彼らの姿を。

「ランサー05よりキート01ッ!! 退避だッ!! こんな状況での遅延戦闘は無意味だッ!!」

 当初の作戦は予想外の力で打ち砕かれた。
 BETAの力でも、天候による災害でもなく、同じ味方が放つ圧倒的な力によって全て崩壊した。
 強すぎる力は混乱を生む、それを肌で感じた隆は直ぐ様撤退すべきだとロヴァノフに伝えたかった。

『了解・・・・・・した。 ・・・・・・こちらも無事な機体から順次後退させる。 ・・・・・・もし可能なら、部下の後退を支援して欲しい』

 返ってきた返答は弱々しく、最悪の状況を隆に予感させた。
 直ぐ様隆はAsura-daに彼の位置を索敵させ、貴重な推進剤を消費しながらも彼が居る場所まで向かう。
 限定的なデータリンクしか繋がっていないことを隆は呪った。 僚機のデータは分かるのに、共闘しているソ連軍機のデータが一切送られてこない。

「ロヴァノフ大尉ッ!! 大尉も直ぐに退避を・・・・・・」

 肉眼で彼の機体を確認した隆はそう叫ぶも、その現状を目の当たりにして絶句してしまう。

『キート11ッ!! トーリャ、早く逃げなさいッ!!』

『できません、大尉達を残して逃げるなんて私には出来ませんッ!!』

『駄目だよトーリャ、君の機体は損傷が少ない。 貴重な戦力をここで失うわけにはいかないんだ』

『パブリチェンコ中尉まで・・・・・・ 嫌です、この部隊は私にとって家族なんですッ!! 家族を失うのはもう嫌なんですッ!!』

 要撃級の一撃を受けたのか、胸部に大穴を開けたロヴァノフの機体の周囲で、三機のMIG-21が必死に彼の機体を守っていた。
 損傷の少ない一機を、残りの二機が退避させようとするも、その一機は退避する気はないとばかりに突撃砲を撃ち続けている。

『・・・・・・トーリャ・・・・・・逃げろ。 俺達を家族だと言うなら・・・・・・生きて、生き延びてくれ』

 息も絶え絶えといった様子で懇願するロヴァノフ。
 バイタルが送られてこないので確認出来ないが、未だに機体から脱出していない様子と苦しそうな口調から見るに、かなり危険な状態なのかもしれない。
 しかも彼らの周囲には他の機体が存在しない・・・・・・既に脱出したと思いたいが、BETAの隙間から見え隠れする装甲片は少なく無かった

『なんで・・・・・・なんで、そんなこと言うんですか? 大尉だってアクロウ中尉のために死んじゃ駄目ですッ!! 二人の結婚式・・・・・・私だって楽しみに・・・・・・』

 感情の高ぶりで緊張の糸が切れてしまったのか、群がる戦車級を前にして棒立ちになるMIG-21。
 二機がそれに気づき、フォローに入ろうとしたが間に合わない。 戦車級がその脚部に飛び付き、搭乗している少女ごと食い荒らそうと顎を開く。

『トーリャッ!! 逃げてッ!!』

 アクロウの叫びも虚しく少女はその短い命を散らせる・・・・・・かに思えたが、少女が乗るMIG-21の傍に降り立ったSU-37UBが、腕部のモーターブレードで取り付いた戦車級を引き裂いた。
 その光景に呆気にとられた数瞬の間にも、獲物を定めた戦車級は次々と二機に飛び掛かるが、SU-37UBはモーターブレードを振るい自身と少女が乗るMIG-21に近づくことを許さなかった。

『司令部より、当区域からの撤退が指示された。 全機速やかに退避しろ』

 クリスカの声と共に、BETAの返り血を体中に浴びたSU-37UBがゆっくりと振り返る。
 紫と白の装甲はBETAの体液で赤黒く様変わりしているにも関わらず、その獰猛な猛禽類にも似た特徴的な頭部センサーは強い光を放っていた。
 その姿を間近で見たMIG-21に乗る少女は、我に帰ったかのように小さく呟く。

 【紅の姉妹】・・・・・・と。

『キート11、何を呆けている? ・・・・・・名前の通り、鈍重なキート【鯨】のつもりか?』

『・・・・・・なッ!?』

『貴様が乗る機体が党の貴重な財産だと言うことを忘れたのか? 呆けるなら、他の同志に機体を渡してからにして貰いたい』

 絶句する少女を他所に、クリスカは噴射跳躍を行い隆の機体に貼り付く。
 同じく滞空していた洋平と真奈美が反応するよりも早く、SU-37UBは隆の不知火の肩を掴み上げ、その区域から離れるために跳躍ユニットの出力を上げた。

「お、おいッ!! 彼らを見捨てるつもりかッ!?」

『そんなつもりはない。 私の助力が無くとも、損傷が少ない機体は自力で退避できるはずだ。 ランサー05・・・・・・社隆と言ったな? 私は貴様達帝国軍の衛士を何としてでも無事に帰還させろとの指示を受けた。 その命令に従い、今から貴様を安全区域まで退避させる』

 有無を言わさぬ口調で彼女にそう告げられ、隆の思考が疑問で埋め尽くされる。
 損傷が少ない機体? ロヴァノフ大尉の機体はその勘定に入っているのか?
 帝国軍の退避を命令? ソ連軍の司令部がなんで俺たちの生死に拘る?
 だが、声に出さない隆の疑問にクリスカが答えてくれるはずがなく、無情にもキート隊の機体を残したまま機体はクリスカの手によって戦域から遠ざかっていく。

『・・・・・・トーリャ、いやパーブロブナ少尉。 君も早く彼らの後を終うんだ』

 通信は・・・・・・まだ繋がっていた。
 ロヴァノフと二人の上官に促され、少女が乗るMIG-21が飛び立ったのが見える。
 上官を、仲間を置いて逃げたことが悔しいのか、泣きじゃくる少女の声を聞いていると、以前聞いた少女の絶叫が隆の脳裏に過ぎる。
 あの欧州の地で、助けられなった少女、救え・・・・・・いや殺してあげられなかった少女の絶叫が何故か聞こえた。

「・・・・・・ッ!!」

 強い頭痛を感じ、隆は顔を顰める。
 暗示により、思い出すことが無かった叫びが、少女の泣き声と重なって聞こえる。 
 あの戦場で、目を閉じれば聞こえた断末魔の絶叫が。
 頭痛と共に絶叫が脳裏に響く、それは後催眠による暗示が解けかかっている前兆なのだが、隆がそれに気付くわけもなく、泣きじゃくる少女の声と悲痛な絶叫に苛まれ、言い様のない不快感を感じていた。

『つらいおもいで・・・・・・ おもいださなくていいんだよ。 わすれてていいんだよ?』

 そんな隆を救済するかのように、優しげな天使の声が響き渡る。
 
『たのしいことをおもいだして。 そうじゃないと・・・・・・タカシはほんとうにこわれちゃうよ?』

『ソ連軍の衛士に告げる。 それ以上、社中尉に声を掛けることを止めて頂きたい』

 天使の声を遮るのは、魂無き合成音によって作られた偽りの声。

『?? あなたはだぁれ?』

『私はAsura-da。 この機体に搭載されたシステムだ』

『・・・・・・・・・・・・? ・・・・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・・・・二人いるの?』

『質問の意図が不明。 ・・・・・・バッフワイト素子に微弱な反応を検出。 対象を確認。 ESP発現個体と推定。 AL4、対ESP要項三条に従いAECMを起動・・・・・・・・・・・・エラー・・・・・・・再起動・・・・・・・・・・・・エラー・・・・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・マユミのおにいちゃんはどっち? ・・・・・・あなたはちがう。 あなたはわたしとおなじつくりものだから』

『いやぁぁぁぁぁっぁぁぁッ!!』

 ―――不可思議なやり取りは絶叫によって切り裂かれた。

 ノイズが起きるほどの絶叫を耳にした隆が我に返ると、弐型の砲撃に混じって放たれた砲弾が、戦車級ごと・・・・・・ロヴァノフが乗るMIG-21を貫く瞬間だった。
 群がっていた戦車級の一角が一瞬で消し飛び、戦車級に齧られ半壊していたMIG-21が粉砕される様から、使用されたのは大口径の砲弾だろう。 その着弾は脚部から漏れ出していた推進剤に引火を促し、彼の機体は戦車級諸共吹き飛んだ・・・・・・
 空に滞空する二機のMIG-21が生み出された火球に照らされて、太陽が沈みかけた空に浮かび上がる。
 
『―――あ? あ・・・・・・ああ・・・・・・・・・・・・』

 パラパラと彼の機体の残骸が熱風に煽られて巻き上がる。 そして彼自身のものか、それとも戦車級のものか分からない肉片を目にしたアクロウが呆然とした面持ちで意味を成さない言葉を漏らした。

 彼は死んだ。

 状況から見るに、助けられないと悟った僚機が引導を渡したのだろう。

 これが戦場だと隆は自分に言い聞かせる。
 誰も彼もがあっさりと死ぬ。 先程まで話していた相手がいなくなる、もう二度と話せなくなる。
 それがどんな人間でも、誰に愛されていようと、死は何時だってそんなものとはお構いなしにやってくる。
 
『キート03より、キート02へ。 大隊長であるキート01が戦死したことにより、指揮はキート02が引き継ぐべきと具申。 尚、早急に現区域からの撤退を提案する』

 大口径の巨砲を携えたMIG-21を駆るパヴリチェンコはそう言って、アクロウに撤退を促すも、

『・・・・・・・・・・・・パヴリチェンコ中尉。 何故・・・・・・彼を撃ったの?』

 怨念が込められていそうな声音で返答するうアクロウ。
 目の前でフィアンセを殺された彼女の心情を鑑みれば、それも当然の反応と言えた。 だが、ここは戦場だ。 人の私情などBETAの前ではゴミどころか、足枷にしかならない。

『―――命令だから』

 だからこそか、アクロウに答えるパヴリチェンコの言葉に躊躇いはおろか罪悪感といった感情は何も込められていなかった。

『なんでッ!! なんで彼を撃ったのッ!? 助けられたかもしれないのに!! 貴女が殺さなければ助けられたかもしれないのにッ!!』

『無理だよ。 どう足掻いてもニカは助けられなかった・・・・・・それはターニャも分かってるでしょ? 要撃級の一撃でニカの体は管制ユニットごと半分潰れてたんだ。 ・・・・・・だからトーリャが抜けて、戦車級が取り付いた時にニカは言ったんだ。 【殺してくれって】 ね。 僕はソレに応えただけ・・・・・・ 本当ならターニャが応えなきゃならなかったんだよ?』

『私が彼を殺せるわけがないじゃないッ!!』

『知ってる。 だから僕が撃ったんだ』

 淡々とした声音で答えるパヴリチェンコの態度に、隆は酷い違和感を覚えた。
 僕・・・・・・と言ってはいるが、パヴリチェンコはアクロウと同じソ連軍の女性衛士だ。 ブリーフィングや何やらで幾度となく顔を合わせたことがあり、隆は彼女のことをボーイッシュで活発な女性と言うイメージを抱いていた。
 だが、今はその影を潜め、感情の見えない冷徹な声でアクロウの問いに答えている。
 それは恋人を目の前で失い、錯乱しかけたアクロウを止めるための術だと思いたいが、その物言いや態度から決してそれだけではないと隆は感じた。
 物事を無理やり合理的に考え、感情と理性が何処かで狂ってしまったかのような・・・・・・狂気を。

『僕だってニカを撃ちたかったわけじゃない。 ・・・・・・ニカとの付き合いはターニャより僕のほうが長かったんだよ?』

『・・・・・・だからってッ!!』

『・・・・・・もういいよ、これ以上の問答はターニャのためにならないよ。 この通信だって聞かれてるんだ。 ・・・・・・折角生き残ったターニャが、戦意喪失、敵前逃亡の恐れありなんて嫌疑を掛けられたら、ニカが浮かばれないよ・・・・・・』

『・・・・・・スューラ・・・・・・あなた』

『だからね、帰ろう? ・・・・・・ターニャまで僕の手で殺したくないからさ』

 今さっき、ロヴァノフを撃ちぬいた巨砲を彼女へ向け、パヴリチェンコは明るい口調でそう告げた。
 アクロウが息を飲むのがヘッドセット越しに感じる。
 無理もない、パヴリチェンコが搭乗しているMIG-21が保持する火器は、試作99型砲と同じように戦術機には少々規格外な代物だ。
 ソ連軍が大戦中に使用していたデクチャリョーフPTRD1941と呼ばれる対戦車ライフルを、戦術機サイズまで巨大化させた砲を彼女が乗るMIG-21は装備している。
 反動があまりにも大きいため、第一世代の機体でなければフレームが歪むとされている代物をだ。
 要塞級や突撃級の装甲殻を正面から安々と撃ち貫ける代物を向けられたアウロウは、彼女の言葉に従うしかなかった。

―――三人がどんな関係だったが、隆は知らない。 

 恐らく今後も知ることはないだろうが、結婚を約束した女性を残して彼は死んだ。

 イーダル試験小隊の警護に付いたキート大隊は、大隊長を含む10機の機体が生還しなかった。
 だが、試作99型砲の活躍によって、今回の防衛作戦は人類側に圧倒的な勝利を齎した。 ・・・・・・機甲部隊における10機程度の損失など、何時もの被害に比べれば希少だと判断された。

 隆は弐型の戦果に色めき立つカムチャッカ基地に無事到着した後、歓声に包まれた弐型と試作99型砲に背を向けた。


 どんなに素晴らしい戦果が上がっても、その影で悲劇は必ず起きている。

 悲しみに暮れる人間を目の当たりにしてしまった隆は、英雄の姿を直視することが出来なかった。







 ―――後に真奈美は語る、あの日を境にして隆は変わってしまったと。
 


 本当の意味で彼の心に変革を促す事件は今暫く先の話だが ・・・・・・あの弐型と試作99型砲が齎した光と影が全ての始まりだったと、真奈美は彼の義妹に語ることになる。





*Edit ▽TB[0]▽CO[19]   

~ Comment ~

ソ連編 6話のあとがき 


申し訳ありません、今回のSSは厄介な痛みに苛まれる中で書いたせいか、かなり描写がおざなりになってしまいました。
ってかソ連のオリキャラ・・・・・・いやオリキャラとは言えませんが(汗
色々やってますけど気にしないでください、殆ど黒の契約者のオマージュです、本当ならニカはG・・・・・・もといBETAに食い殺されて欲しかったッ!!(爆

・・・・・・ソレは兎も角皆さん、体調管理にだけは気をつけてくださいッ!!

自分は、夏風邪→熱中症→中耳炎→内耳炎と、コンボを喰らってピヨっております。
ってか死ぬ、もう死ぬ。
風邪で熱が上がって寒気がする→布団に潜る→寒いのに汗が出る→水分を消耗し熱中症に→ニュースで見る室内での熱中症を経験→免疫能力が低下したせいか中耳炎に→痛い、凄く痛い。なんたって中耳炎ヴァージン、経験の無い痛みに悶絶→医者に通うも風邪をぶり返して症状悪化→中耳炎から内耳炎に→鼓膜の中の膿がもう大変、右耳が何も聞こえない→治っても下手したら難聴になるとの宣告・・・・・・・・・・・・もうやだ。

風邪を馬鹿にしたらいけません・・・・・・マジで皆さん気をつけてください。

唯一の救いはフルメタが完結したことぐらい。
読んでる時は痛みを忘れた・・・・・・と思う。
ボーイ・ミーツ・ガール、世界の運命やら戦争やらテロやら、色々あったけどその一言で片付けられる。
全ては、宗助と千鳥のお話だったわけですね。武と純夏のお話のように。
賛否両論あるでしょうけど、自分は本当に面白かった。
相変わらず酒癖は悪いようですが、賀東氏は素晴らしい作品を世に送り出してくれたと思っております。
・・・・・・10代の頃に読み始めた最初期の作品がまた一つ完結してしまったので、こうやってラノベとかから遠ざかっていくのかな

ではでは、相変わらず三人称と一人称の使い分けが出来ていない拙作ですが、今後も精進しますので何卒お付き合い下さいませ。


PS
次のトップ絵の題材を密かに募集・・・・・・

ご愁傷様です…… 

更新おめです。

え~、なにやら色々大変だったようで(汗)。
私もこの夏はイベントに二回出かけて二回とも軽い熱中症に(汗)。
百里はともかくコミケはきつかった……。しかもアージュの販売品も買えず……。
結局購入できたのは当初から購入予定のまんまん紙模型さんのタイフーンとその隣で売っていたタイフーンのTシャツだけでした。


>スラスラと淀みなく隆の言葉に答えるのは、彼が座る複座型管制ユニットに搭載されたAsura-daと呼ばれる人ではない機械だ。
Asura-da復帰おめ! でも予定と違ってハブられたしおりんがどう暴走するかが気になったり(笑)。

>―――後に真奈美は語る、あの日を境にして隆は変わってしまったと。
どういう風に変わるのか? 楽しみにしています。
誰彼かまわず手を出すような人間に……はならないだろうな(笑)。
そんなんになったら、姫さんたちが怖い。色々な意味で。


頑張ってください。

NoTitle 

更新お疲れ様ですDON総統代行殿!
隆が、闇の住人になりかけているような描写でしたね最後のくだりは。
隆にしてみればフレンドリーファイアはしていないが無茶苦茶な砲撃をしたユウヤは、親しくしていた人を間接的に殺した事になりますから喜べないんでしょうね。

アシュ公…この世界の隆の脳髄もしくは人格データを使用しているんでしょうね、イーニァとのやり取りを見ているとそうだとしか考えられませんがw

隆が機体を完全にお釈迦にしましたが…保守部品ってあるのだろうか、無かったら隆は基地でCP代わりですかね。

ストライク・ワイバーンズってフロントミッションからですか…確かに海軍所属だがこの世界での扱いも似たような感じなんでしょうかね。

次回も楽しみに待っております。


P.S TOP画ですが感想返しにあった夕呼=スカリエッティ
ヴァルキリーズ=ナンバーズ
霞=ルーテシア
隆=ゼスト
姫様達と影から見守るオーベルシュタインSS指揮官
のどれかが見てみたいです。

NoTitle 

更新お疲れ様です!って、おおぅ、大幅にLPを削られているご様子で。お大事に。

おのれBETA…窮地をあっという間に構築してくれる…
まぁそれでこそBETAというものなんでしょうが。
これ以上の事を経験してる真奈ちゃんだからこその答えか…

SU-37UBの露軍迷彩の紫は紫というより藤色と表現した方が近いと思いますよ?
試験小隊組みは護衛している連中の心情からすれば嫌われるのも当然かと。
連中だけこんなに護られているというのに、自分達の機体は旧式機。妬むのも無理ありません。
インパルスよりは幸せかな、と。だって、インパルスは戦場に出る事を許されず、
ただ籠の中の鳥(いや、イルカか?)をやっていればいいんですから。

誤字報告:常『備』接続

アシュ公…お前が女性型AIならどれだけ良かったことか…
アシュ公優秀ですね…にしても、口調からADAと似たものを感じる…

誤字報告:アメリ『ア』人

しおりん…壊れ始めたか…?少なくともあの日ではないでしょうが。
合成食料と各種ビタミン剤の服用によってあの日から解放されているのは初耳ですね。

誤字報告:あの日から『解』放

考えられない話ではないですが…二次設定?
真奈ちゃんの精神がもうマッハ状態!!な件。
あぁ…洋平と隆さんのこんなやりとり好き。搭乗一週間で洋平にそこまで言わせるとは、
隆さん、恐ろしい子…
何だか洋平の触れちゃいけないトコに触れてる気がしないでもありません。

光線属種がいない戦場とか、相変わらず羨ましい…
あ゛~、隆さんや、扱いは変えないのが望ましいですぞ。
彼らはまともに「子供」扱いされてないから。
うん、やっぱクリスカの自信満々な傲慢さ、「自分1人で何とかなる」とか思ってる思考パターン、
そして何より他者を見下しているあのスタンスにはやはりウヘりますねぇ…真ゲッター並みの
超機動戦闘で圧倒してやりたい。

やっぱ試製99型電磁投射砲TUEEEE…
殲滅戦には持って来いですね。
って、嫁は射撃型でしたか。それもスーパーエース…
ストライク・ワイバーンズ…どこかで聞いたような名前ですね(・w・)
石井大佐…アンタね…
科学も過ぎれば魔法と大差ない。クラーク氏の言葉ですね。

隆さん?つ「弾体威力×ローレンツ力」

隆さんどうしちゃったのよ…いきなり視野狭窄に陥るとか…

器用ですね隆さん。イルカの精神が刻まれているとはいえ、この変態め。
そしてニカさんの死亡フラグ発動。だから出撃前に約束事はするなと…

TOP絵ですが、ランサーズ女性陣(全員)のウエディングドレスでのバストアップを所望します。
できればタキシード隆さんと教会つきで。ヘタレ絵なら全身でお願いします。

NoTitle 

最新話、読みました。

今回は誤字指摘は↑であるので割愛。

隆の今後はどうなるんでしょうか?

TOP絵はビキニでしょ、夏的に考えて。

NoTitle 

更新お疲れ様です。
石井大佐の台詞がなんだかフリーザ様っぽい。
鎧衣左近が微妙にあやしい者なら石井大佐は普通にあやしい者ですねw
今回ちらほら出てきたイルカという言葉で思い出しましたが瞳ちゃんはいつごろ隆たちと合流するのか、それと欧州姫様コンビも。
まぁストーリー上まだ先になりそうですのでその時までwktkしながら待ってますね。
そこでトップ絵の件、出番ない組みに何かしら出番を与えてみてはと思ったり。

BETAによって死亡フラグどおりの結果になってしまった犠牲者が・・・。
それを見た隆は今後どう変化するのか気になりますね。
暗黒面に落ちそうでちょっと心配。
自分の予想ではロリコンからババコンに変化するだろう踏んでるんですがいかがか?(キリッ
実は全然心配してないだろうって突っ込みは無しでw
ではお体大切にしてください。

NoTitle 

隆さん、壊れちまうのか、、、、、。

NoTitle 

どうも初めまして、Qと申します。
arcadia時代からこの作品には楽しませていただいています。
隆の今後が気になりますね……

完結目指して頑張ってください。

NoTitle 

この世界で壊れないのがおかしいんですよね。
武も逃げようとしたし、常人なら仕方のない事だと思います。
暗黒面に墜ちてパワーアップするならそれはそれで見てみたいですがw
無いか、隆さんだしww

NoTitle 

ようやく最新話を読みました。
戦場では、「情報」は戦場以外の場所以上に「Need to No」ですからねぇ・・・
それこそ、米軍やNATOが推し進めるLINK16でも全面的に共有していない限り。
今回はソ連側との情報共有は全く出来ていないですしね、意志の齟齬は当然ですね。

んで、隆もようやく「最悪の中の、最善」に直面しましたか。
これから内面がどう変わってゆくか、期待です。

最後に・・・「プロポーズ? 『ああ、三澤か? 俺だ。 あのな、お前の所のあの、ちょっと変わった変態な、うん、うん、そいつ。 そいつって、既婚者か? え? 知らない? プロポーズとかって話は? え? 部隊の部下の女の子達をけしかけている所だ? ・・・ふうん、いや何、こんなことを言ってきてな・・・』 さて、部隊長への弁明、ちゃんと用意しておけよ? 窮地での脱出方法も、自学自修するんだな」
ウチの種馬が、騒ぎのネタを仕込んだようですw 

NoTitle 

 感想遅くなってごめん(-人-)
 近いうちに書くと言っておきながらこのザマです(泣
 キャベツがね、キャベツが……キャベツがキャベツがキャベツがキャベツがあああああああああッ!(大泣

 しかし、おこあさんの感想で、鎧衣左近が微妙にあやしい者なら石井大佐は普通にあやしい者ですねwには吹いたw
 うーん。Asura-da欲しいな。こうなんつうか、仕事で的確な配送ルートとか速攻で出してくれそう。ってそんな事に使ったらいろんな方面から怒られそうだけど(汗
 霞分が足りないせいもあって、隆がヤバい方向に…… 
 真奈美のストレスとかも気になるし、ソ連編は欧州編以上に厳しい><
 さすがはUnlimitedといったところですかね><
 隆には踏ん張ってもらいたいところ。ロリ神様の為にも。

 トップ絵ですが、ここは隆と川井と桐嶋が仲良く飲んでる所とか←需要無し><
 欧州編終了時ぐらいの集合写真風とか。もちろんミツコが撮ってた事にして。
 最近ツイッター見てないから状況は分からんけど耳は大丈夫なん?無理だけは禁物でっせ!ではまた!

!? 

何の気なしに覗きに来たら水着姿の霞がいてびっくりしました

皆様へのお返事 


トップ絵のネタ、皆さん色々言ってくださりありがとうございます。
でもね・・・・・・要求してるハードルが自分には高すぎですがな!!
なので季節物 (まだ暑いからいいよね?) な水着で落ち着きました・・・・・・どうかコレで許してください。
霞ばっかり描くなこのロリコンッ!! と石を投げないで(滝汗

でも一応、一月でトップ絵は出来ているのかな?
SSの新作は・・・・・・今暫くお待ち下さいませ。


taisaさん
メールありがとうございました!!
武御雷デスサイズヘル、後ほど頂き物として掲載させて頂きます!!
コミケお疲れ様でした~アージュの販売品が買えなかったのは残念ですね。
なんでも昼過ぎには完売してたらしいので、徹夜か始発組しか買えなかったんだろうなぁ・・・・・・あ、あとチケット組かw


亡命ドイツ軍人さん
隆とアシュ公の関係は凡そ皆さんが考えている通りですw
不知火はもう駄目ですねぇ・・・・・・別の機体は勿論用意してありますよ。
ストライクワイバーンズのネタを分かっていただきありがとうございます!!
麻美は、リンが元ネタになっていたりするので・・・・・・突っ込んでくれて感謝です!!
>姫様達と影から見守るオーベルシュタインSS指揮官
ちょっと描いたらただのストーカー集団にしか見えなかった・・・・・・orz


ヴェントさん
誤字報告、ありがとうございます!!
ちなみに「あの日」が合成食料やらなんやらで解放と~
って話は勿論独自解釈ですが、普通にそこらの薬局でそういった薬が売ってますので、特に不思議な話でも無いですよw
>ストライク・ワイバーンズ
元ネタはフロントミッション5です、麻美とヒロインに共通点があったりなかったりw
>TOP絵ですが、ランサーズ女性陣(全員)のウエディングドレスでのバストアップを所望します。
・・・・・・・・・・・・私に死ねと?w

名無しさん
fujiさん・・・・・・ですよね?間違ってたらすみません(汗
無難と石を投げられそうですが、ビキニネタを頂きました♪


黒豆おこわさん
フリーザwww
ドドリアは!?ザーボンさんは誰なんだ!?
姫様の出番は結構早いですよ・・・・・・ソ連編終わったら出てきます(ぇ
出番の無い組みをトップ絵にする前に、連中の立ち絵を掲載しないとマズイ・・・・・・第参開発局か欧州組か、どっちを先に載せるか悩み中です。


名無しさん #433
壊れはしないですよw
ただちょっと、価値観が今までと変わっていくだけです(汗


Q さん
感想頂きましてありがとうございます!!
完結まであとどのくらい掛かるか分かりませんが、お暇なときにでも覗いて頂ければ幸いです。


金髪のグゥレイトゥ!さん
武はまりもちゃんの惨劇を垣間見て逃げた。
隆は・・・・・・・・・・・・乞うご期待!!(爆
ただ暗黒面に落ちるほど、奴はシリアスキャラじゃありませんwww


samurai さん
隆は武と違い、あの世界での覚悟が足りませんからね・・・・・・今回のソ連でいい加減覚悟を決めて貰う予定です。
その切っ掛けを与えるのは、ユウヤと同じくラトロワさんだったりなかったり・・・・・・w
>「変わった変態な」 で盛大に吹きましたwww
「ちょっとッ!! 変態って自覚はありますが、変わった変態ってどんな変態ですか種馬先輩ッ!?」
ソ連側にも変態のレッテルと認識されたグラサンからでしたw

変態さん
キャベツって何よッ!?何なのさッ!?www
アシュ公をナビにしたら絶対にウザイ、皮肉言いまくりですよ?w
集合写真なトップ絵は考えてたんですけどねぇ、難易度が跳ね上がりで断念しました(爆


ご無沙汰しています 

 こんばんは、昨日(か一昨日)twitterでフォローさせて頂いて、ソ連編を読みました。

 隆が帰ってこないというのは物理的にかなと思っていましたが、「あの頃の隆は~」見たいになるのかな?と、うっすら思い始めました。

 帯状疱疹が出そうな感じ(体を洗う時に、肌の下がゾワゾワする)だったので、月曜から今日まで一時的に禁酒&夜更かし封印しています。

 DON氏もどうかご自愛くださいませ。

                                         合 掌

NoTitle 

更新お疲れ様ですDON総統代行殿!
霞…君には未だ早すぎるよ…隆おにいちゃんが泣いてるぞ!
隆の新機体だと!?…SuシリーズかなそれともMigシリーズかな?
Suシリーズなら27か33(シーフランカー)Migシリーズなら31か29が良いですなw
オーベルシュタインSS指揮官がストーカー…当たらずも遠からずですな役割的にw

P.S TOP画の霞にオーベルシュタインSS指揮官が言いたいことがあるようです。
『社霞穣…君には大人の水着ではなく何と言ったかな…社嬢の兄君が酒の席で話していたのを柱の影で聞いていたんだが…確か帝國製の紺色の水着というのは覚えているんだが、それを着たほうが確か萌えるとか言っていたぞ』

NoTitle 

top絵更新しましたね。

リクエストが通って嬉しいです。

つか、名無しさんでカキコしてたとは…

NoTitle 

ども。

>後ほど頂き物として掲載させて頂きます!!
どぞ。
あと、エール吹雪(帝国軍仕様)もそのうち贈りますです。


頑張ってください。

頂いたコメントへのお返事 


hw@酔さん
こちらこそご無沙汰しております。
Twitterでのフォロー、ありがとうございました!!
隆の件はひとまず置いておいて・・・・・・(ぇ
何やらお体の具合が大変そうですね? 無理はしないでください、何事も自分の身体が一番の資本ですからね。


亡命ドイツ軍人 さん
隆の新機体、すみません・・・・・・ぶっちゃけると壱型丙です(オイ
東側の機体はちょっと制約が厳しいと思いまして・・・・・・でもSU系に載せようと思っている案は一応あります。かなり大雑把な案なので、期待はしないでくだいね(汗
して水着の件・・・・・・スクールだと余りにもありきたりだったから止めたんですが、やっぱりそっちのほうが良かったのかな・・・・・・


fuji さん
おお、やっぱりfujiさんだった。
間違ってたらどうしようかと思いました(汗
トップ絵のネタはバッチリ頂きですw

taisaさん
新作に合わせてタケミ~を掲載させて頂きましたw
エール吹雪も期待してますね~♪


NoTitle 

更新楽しみにしてますよ
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。